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第35期女流王位戦第1局(福間香奈女流王位VS加藤桃子女流四段) [将棋]

タイトル戦として、13回目の対決です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

タイトル戦同一カード通算13回というのはそれだけ両者が長期間にわたって活躍している証拠です。
始めての対決は2013年女流王座戦なので、いまから10年以上前です。そのときは敗れましたが、翌年女王を奪取して1勝1敗です。
ですが、そこから長いトンネルが始まり、5連敗。清麗戦でひとつ取り返すも、そこから4連敗。
通算で2勝10敗です。
ですが、圧倒的な実績を誇る福間女流王位相手にタイトルを2回奪取しているところが、加藤女流四段の強さを現していると思います。
さあ加藤女流四段は、久しぶりのタイトル奪取に向けた1勝をあげることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/35/joryu-oui202404250101.html

ということで、将棋です。
先手は福間女流王位で、代名詞ともいえるゴキゲン中飛車を採用です。対する加藤女流四段ですが、本局では超速を採用します。
いつものような序盤から、加藤女流四段の作戦は5筋から逆襲です。
加藤女流四段は先手の飛車を抑え込み、さらに桂馬2枚と角金の交換という大幅な駒得です。
悪い理屈はないと思うのですが、ここから福間軍にある4枚の桂馬が躍動します。
桂馬の利きを最大限に活かして後手陣の玉頭をほじくり返し、さらに駒損を回復すると、気が付いたら福間女流王位が勝勢になっています。
以降は手数は長かったものの、危なげなく寄せきり、防衛に向けた幸先の良い1勝をあげました。

第2局は5月9日(木)、北海道札幌市「ホテルエミシア札幌」で行われます!
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【映画】ザ・ライフルマン [映画評]

第一次世界大戦時のラトビアを舞台にした史実映画です。


ザ・ライフルマン 地獄の最前線 [Blu-ray]

ザ・ライフルマン 地獄の最前線 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2021/02/03
  • メディア: Blu-ray



原作は『BULLIZARD OF』(吹き荒れる魂)で、映画の原題も同じです。
原作者は第一次世界大戦に従軍して生き残りますが、戦後に独立したラトビアにソ連が侵攻し『BULLIZARD OF』は禁書となり、原作者は処刑されます。
そんな背景があります。
映画は少年兵の視点で戦争が語られます。
訓練時、従軍時、戦闘(突撃、毒ガス、狙撃等)、負傷など様々なエピソードが淡々とつづられますが、映画のラストで当時の写真が紹介されているので、実話を元にしたエピソードだと思われます。
第一次世界大戦勃発時において、ラトビアはロシア帝国の一員でした。
しかし、ドイツに進攻され、目の前で母と愛犬をロシア兵に殺されます。
主人公は戦争に志願しますが、どうしても人を殺せません。
親しい仲間が次々と命を落とし、父も戦死します。
そして戦地を脱出して、今度はラトビア独立のために占領軍であるドイツ相手に戦います。
そこでの主人公は、敵に向かって躊躇なく引き金を引きます。
そして負傷を負い、ラストは雪原で祈るところで映画は終わります。
この映画ですが、ラトビアで大ヒットしたそうです。
ラトビアの歴史を知らないと意味が分からないシーンもあります。
最後の戦闘は「ツェーシスの戦い」で、相手はドイツ軍ですが、最初はロシア軍と戦っていると勘違いしてしまいました。
すぐに占領されてしまう大国に挟まれた小国の悲哀です。
映画としては少年兵の心情に寄り添っており、何のために戦っているのかあいまいだったときは、まだ兵士になり切っていません。
ところが、目指すところが見つかったとき、少年兵は兵士へと変わります。
いろいろと考えさせられる映画だと思います。

第一次世界大戦におけるラトビアの悲劇を知りたいひとのために!
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【書評】倉知淳『月下美人を待つ庭で~猫丸先輩の妄言~』 [書評]

猫丸先輩シリーズの第5作です。


月下美人を待つ庭で (猫丸先輩の妄言)

月下美人を待つ庭で (猫丸先輩の妄言)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/12/21
  • メディア: 単行本



神出鬼没の三十路アルバイター猫丸先輩シリーズです。
収録されているのは5作ですが、いずれも日常の謎系です。

『ねこちゃんパズル』……パスワードのようなアルファベットが書かれた紙がだれも気が付かないような場所に貼ってあり、しかもその紙を謎の外国人が回収します。その謎が気になって仕方がない主人公に、猫丸先輩が不思議なパズルの話をふっかけます。さすがに無理があるかな、というのが第一感。
『恐怖の一枚』……心霊現象を扱う編集部に、へんてつのない写真が送られてきます。その写真を見た猫丸先輩が、撮影されたシチュエーションを解き明かし、隠された恐怖をあぶりだします。
まあ、普通はこんな写真を出版社に送ることはないとは思いますが。
『ついているきみへ』……変人で有名な同級生が、「For luck man」のメッセージカードともとにペットボトルの蓋をプレゼントしてきます。
いかにも重要そうな小道具を出しながら、実は無意味でいたずらというのは、ややアンフェアなような気も。
『海の勇者へ』……台風が接近する荒海にむかうひとすじの足跡が残されている。この足跡の正体は、という話ですが、バカミスに近いかも。
『月下美人を待つ庭で』……変哲もない庭に、次から次へと不審者がやってきます。この不審者の正体は、という話だが、もうちょっと設定をうまく作れるような気が。

この猫丸先輩のキャラが面白くて、とても読みやすい短編ミステリだと思います。
猫丸シリーズファンのために!
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第82期名人戦第2局(藤井聡太名人VS豊島将之九段) [将棋]

藤井名人の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者サイト〕
https://www.meijinsen.jp/

豊島九段と言えば最先端の研究を走りつづけていましたが、最近は力戦調の将棋が増えています。
一昨年の王将戦リーグで羽生善治九段相手に研究の手順前後で序盤なのに一手バッタリのような敗戦がありました。
名人戦のインタビュ―で明確に発言しているわけではありませんが、この将棋がターニングポイントになった可能性はあります。
後手番では振り飛車を採用したりして、元々若手時代はオールラウンダーでしたが、その若手時代に戻ったかのようです。
名人戦第1局は後手番で、振り飛車こそ採用しませんでしたが、相掛かりから横歩取り調の力戦へと誘導しました。
さあ名人戦第2局でも、豊島九段の力戦は見られるでしょうか!

〔囲碁将棋TV〕
https://www.youtube.com/watch?v=e7nuxX9Pzq8

ということで将棋です。
本局は相掛かりとなりました。
先手は豊島九段でしたが序盤の構想にやや穴があったのか、後手藤井名人から攻める展開となり、豊島九段はひたすら耐え忍びます。
満を持して端攻めを敢行したあたりでは、藤井名人の圧勝かと思いました。
しかしクリンチするような豊島九段の受けに藤井名人も手こずり、ついに先手が逆襲に入ります。
桂馬をポンポンと
お互いに持ち時間のないなかでのねじりあいです。
豊島九段のちゃんすは115手目でした。5二銀とクリンチしましたが、ここは先に金を使う5二金があったようです。
本譜のように7二銀とうけると、金の特性を生かして6二金を香車を取る手がありました。
しかしその手を逃し、一旦仕切り直しとばかりに当たっている金を3六に逃がした瞬間に体が入れ替わりました。、
5一角と打ち込まれると、先手は銀を渡せなくなり、急に手段が限られてしまいました。
一瞬の逆転劇で、126手まで後手藤井名人が2連勝、防衛まであと1勝と迫りました。

名人戦第3局は、東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で開催されます!

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【公募情報】第15回「おいしい記憶」コンテスト(随筆・6/10〆) [公募情報]

大賞は賞金30万円です。

〔主催者HP〕
https://yab.yomiuri.co.jp/adv/oishiikioku/

主催者は醤油で有名なキッコーマンです。
昨年度の対象は71歳の女性で、目の不自由な妹が春雨サラダを作る話です。
これがなかなか良くて、老姉妹の仲の良さがうかがわれて、じーんとさせれます。
受賞者の年齢層はばらけていて(地元千葉県が少し目立つかな、という程度)、選ぶ側のバランスの良さがうかがわれます。
制限文字数は1200字程度、応募締め切りは令和5年6月10日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:随筆
テーマ :美味しい記憶にまつわる、笑顔や優しさ、活力などを与えてくれる思い出やエピソード
キッコーマン賞:賞金30万円 
制限文字数:1200字程度
応募締切:令和6年6月10日
応募方法:主催者HP
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最近の日常【令和6年4月第4週】 [日常]

〔無線キーボードを購入した話〕
長男が一人暮らしを始めて部屋がひとつ空いたので、いまさらながらテレワーク環境を整えようと思い立つ。
ということで、無線マウスはあるので、無線キーボードを購入する。電池式が安いけど、電池だといつも揃えておかないと切れたときに困るので、とりあえず充電式にする。
あとはキータッチが優しいタイプに。
1000~2000円の差なので、このくらいは普通に自己投資ということで。

〔ノートPCを閉じてもスリープにならないモードの話〕
さてノートPCからモニターに飛ばすと、ノートPCが邪魔になる。閉じたままにできなかなと思い、いろいろと調べると、そのようなモードがあることを見つける。
いままで知りませんでした。
電源のオプションから設定ですね。
必要は発明の母といいますが、必要は調べるの母とも言えそうです。
パソコンは機能が大量にあるので、また必要になったら調べようかなと。
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【映画】オールドボーイ [映画評]

2003年公開の韓国映画のリメイクですが、原作は日本漫画です。


オールド・ボーイ [Blu-ray]

オールド・ボーイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: Blu-ray



主人公は酔っ払いで自堕落なビジネスマン。
妻とは離婚し、養育費の支払いを忘れ、娘の誕生日にも駆け付けません。
仕事はいい加減で、友人からも見放されます。
そうした主人公が、突如として監禁されます。
監禁中にテレビを見て、娘が成長していることを知ります。そして、自分を蘇らせようと努力します。
解放されたのは20年後。
主人公は自分がなぜ監禁されたのか、だれに監禁されたのかを知ろうとします。
という感じのストーリーです。
韓国版も面白いですが、配役の都合か、主敵が同級生の兄に見えないという欠点がありました。
米国版は年齢関係もしっくりきます。
評論家の評価は割れたようですが、ラスト寸前までは素直に面白いと思います。
グロテスクで無駄に暴力的なシーンも散見されますが、これはハリウッド的なエンタメということなのでしょう。
偶然知り合った医療関係の娘と、ステップを踏みながら、真相に近づいていきます。
監禁前はつれない態度だった友人も、主人公が変わった様子を見て、今度は協力的になります。
ただ、いま見るとラストが微妙かもしれません。
復讐劇にしてはあまりに大掛かり過ぎて、主敵の悲しみとのバランスが取れていない気がします。
儒教精神が強い韓国だからこそ、罠にはめられた主人公の嘆きがしっくりくるし、主敵の悲しみとのバランスが取れるといいますか。
これを解決する方法もあったと思いますが、するとまた別の面でひっかかる可能性がありますし。
いろいろと難しいところがあると思います。
結果として、製作費30百万ドルで、興行収入5百万ドルの爆死映画となってしまいました。

名作日本漫画を原作とする映画を楽しみたいひとのために!
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【書評】倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』 [書評]

猫丸先輩シリーズの初長編です。


過ぎ行く風はみどり色【新版】 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 文庫



ストーリーはというと、金持ちで勇退した不動産会社の元経営者が離れで撲殺されます。
その犯人が分からないまま交霊会が行われ、今度は交霊会の最中に怪しげな霊媒師が殺害されます。
家族と霊媒師を否定する科学者たちがいるなかでの事件です。
そこから科学者が事件の真相を暴いている途中で、さらに科学者が毒殺されます。
さて、著書はあとがきで「これが最期の本になるかもしれないと思って、アイデアを全てつぎ込んだ」とあるように、アイデアのてんこ盛りです。
密室殺人、心霊現象、叙述トリック、手品に推理合戦と、サービス精神満点です。
かといって複雑なトリックがあるわけではなく、サブストーリーがこんがらがっているわけでもなく、物語は直線的で読みやすいです。
そうした直線的なストーリーラインに散りばめられた伏線が、ラストで一気につながり、解決する。
この開放感が本書の魅力です。
複雑なトリックを使わずに、プロットと構成でミステリを成立させる。
登場人物のさわやかさと言い、なかなかの傑作だと思います。

猫丸先輩シリーズファンのために!
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第95期棋聖戦挑戦者決定戦(佐藤天彦九段VS山﨑隆之八段) [将棋]

どちらが勝利しても、藤井棋聖との初タイトル戦になります。

〔主催者サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/

山﨑八段は独創的な棋風で知られています。
極端な力戦系なので、手損を厭わず、悪形も苦にせず、相手の事前研究を完全に無効化できるという強みがあります。
直観力が優れているからか早指しに強く、NHK杯2回優勝、JT杯1回優勝など、一般棋戦には8回優勝しています。
タイトル獲得経験はなく、タイトル挑戦も第57期王座戦のみです。
相手は羽生善治王座ですが、このときの棋譜中継のコメントが、いまだにコピペして使われています。
もう15年も使われているということは、それだけインパクトがあったとの同時に、山﨑八段の人気を表していると思います。
山﨑八段を「諦めない」ファンはたくさんいると思います。
さあ山﨑八段は久しぶりのタイトル挑戦を果たすことができたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/95/kisei202404220101.html

ということで、将棋です。
先手は佐藤天彦九段で向かい飛車となりました。
序盤は後手番の山崎八段がらしい手順でなかなか正体を見せず、最終的にはプロ間では珍しいトラック囲いを出現させます。
序盤の駆け引きですが、途中で佐藤天彦九段が異筋ともいえる飛車を支える歩を撃ちます。
一・九段目ならありますが、八段目は非常に珍しいです。
中盤戦は振り飛車側の駒が捌けつつあり、美濃囲いの固さが生きそうな展開です。
ただ103手目の4七金という大人の手がやや甘かったらしく、この当たりから居飛車側が攻め、振り飛車側が耐える局面になっていきます。
局面は互角に近くなります。
先手玉は徐々に金銀がはがされ、粘りが効かなくなってきます。
後手陣は馬の存在が大きいです。
182手の長手数となりましたが、山﨑八段が見事な逆転勝ちを収め、藤井棋聖への挑戦権を獲得しました。

五番勝負第1局は6月6日(木)、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行わます!
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【掌編】齊藤想『しゃぼんの本』 [自作ショートショート]

2022年超ショートショートに応募した作品です。
テーマは選択制ですが、「本」を選びました。
本作はブレインストーミングの技法を活用して作成しています。
具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は5/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!

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『しゃぼんの本』 齊藤 想

 言葉が浮かんでは、すぐに消える。まるで会話のようだ、と少女は思った。
 きっかけは近所の雑貨屋で購入した石鹸だ。その石鹸の包み紙には「しゃぼんの本」とプリントされていた。雑貨屋の主人に勧められ、お小遣いでも買える値段だったので、少女は買うことにしたのだ。
 少女がさっそく風呂場で泡立ててみると、不思議なことに、次から次へと泡に言葉が浮かび上がった。その言葉を並べるとある日は詩となり、ある日は学術書となり、ある日には恋愛小説にもなった。その石鹸で体を洗うと、全身に言葉が貼りつき、まるで耳なし芳一のようになる。
 少女は泡の本を心から楽しんでいた。せっかく生まれた言葉たち。少女は何度も泡の言葉を書き留めようとしたのだが、不思議なことに泡を流すと綺麗さっぱりに忘れてしまう。まるで、このうえなく心地よい夢のように。
 泡だから消えるのは仕方がないのかもしれない。
 少女はそう思いながら、今日も「しゃぼんの本」で泡を立てる。新しい言葉たちと出会い、至福の時間を過ごすために。

―――――

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