SSブログ

【書評】横山秀夫『64』 [書評]

D県警シリーズ初の長編になります。


64

64

  • 作者: 横山 秀夫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: 単行本



主人公は県警の広報官というマスコミと警察を繋ぐ役目です。
マスコミを敵視する上司と現場に板ばさみとなる線と、県警と警察庁との間でポストを巡る線が絡みつつ、さらにはタイトルである昭和64におきた未解決誘拐事件、通称ロクヨン、が物語の背景としてずっと流れていきます。
細かい様々な伏線があり、一見すると無関係に見える事象が、すべて64に繋がっていく構成が見事だと感じます。
著者はこの作品を書き上げるのに大変な苦労をしたそうです。
連載を続けていたのに、完成度に満足ができず途中で中断し、その後、改稿を続けるもの記憶障害に襲われて執筆自体ができない状態となります。
そこから回復して書き上げた作品ですから、力の入れようが違います。
本書は作者にとって7年ぶりに刊行した作品ですが、ベストセラーになるところに作者の力量と人気が現れていると想います。

重厚な警察ミステリを読みたいひとのために!
nice!(6)  コメント(8) 
共通テーマ: