SSブログ

【書評】清水カルマ『カケラ女』 [書評]

2019年デビューの新人ホラー作家の3作目です。


カケラ女 (ディスカヴァー文庫)

カケラ女 (ディスカヴァー文庫)

  • 作者: 清水 カルマ
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2021/02/19
  • メディア: 文庫



1作目:『禁じられた遊び』ディスカヴァー文庫
2作目:『寄生リピート』幻冬舎文庫
ときて3作目はディスカヴァー文庫に戻ってきました。いずれもジャンルはホラーで、確実に地歩を固めている印象です。
本作の主人公は平凡な女子大生です。彼女が通う女子大にはアナウンサーや芸能人を輩出するミスコンがあります。
華やかな世界とは無縁と思っていた主人公ですが、ある偶然からミスコンの大本命であり、スクールカーストの最上位に君臨する女王の取り巻きグループに加わることになります。
陰の世界から陽の世界に引きずりだされた主人公。
そこから、主人公の暗転が始まります。
作品のテーマとしては復讐です。
多彩なキャラたちが持つ「憎しみ」「妬み」「欲望」といった負の感情が絡み合い、結果として復讐の念を凝縮させた「カケラ女」の跋扈を許してしまいます。
ホラーらしい怪物が暴れまわるシーンも見どころですが、その憎しみのエネルギーに飲み込まれていく主人公の悲しさも、印象に残りました。
陰から陽、陽から陰という場面の切り替えがうまいと思います。クライマックスも、陽と陰が重なり合います。
また、前半のシーンですが、女王のライバルだった女子学生が殺されるシーンも、ジワジワくる怖さがありました。
本書は著者のデビュー作である『禁じられた遊び』の続編のような部分がありますので、そちらに目を通してから本書を読むと、ラストの意味が分かると思います。

勢いのあるホラー作家の作品を読みたいひとのために!
nice!(6)  コメント(1) 
共通テーマ:

第46期棋王戦第2局(渡辺明棋王VS糸谷哲郎八段) [将棋]

糸谷八段の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

糸谷八段が奨励会のときですが、将棋クラブ24でよく将棋を指していました。
そこでプロ入りしたばかりの渡辺棋王に目を付けられ、レーティングが下がってくると「糸谷狩り」と称して糸谷八段に対戦を申し込み、レーティングを回復していたそうです。
このときのことを渡辺棋王が「糸谷は絶対に対戦が断らないから」と述べていたのが印象的です。
その後、糸谷八段も奮起し、後半は互角に近くなったようです。
ですが、プロ入りしたあとの対戦成績を見ると、渡辺棋王が圧倒しており、この「糸谷狩り」のイメージが残っているのかもしれません。
ただ、棋王戦第1局は見事に逆転勝ちして、狩られる側から狩る側に回りました。
さあ糸谷八段は、第2局でも”狩る側”に回ることができたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/46/kiou202102200101.html

ということで、将棋です。
先手は糸谷八段で、角換わりとなりました。
糸谷八段は序盤で1筋の位を取り、得意の右玉へと構えます。後手渡辺棋王は先手が序盤で端に手をかけたのを見て、早繰銀から銀交換に成功します。
さてと糸谷八段は6二玉と上がりますが、この瞬間に渡辺棋王は端から逆襲します。
先手としてはせっかく広げた端から反撃されてはたまりません。
しかし、銀交換で駒のある後手からの攻めは厳しく、午前中から渡辺棋王優勢になります。
これは事前準備が成功した形です。
糸谷八段も2筋の歩の突き捨てから1二角と怪しい角を放ちますが、渡辺棋王は素直に局面をすすめ、そのまま90手まで渡辺棋王の快勝譜となりました。

第3局は3月7日(日)に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行わます!

nice!(2)  コメント(11) 
共通テーマ:趣味・カルチャー