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【書評】三島由紀夫『金閣寺』 [書評]

三島由紀夫の代表作というだけでなく、近代日本文学を代表する傑作のひとつと見なされています。


金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫



モチーフは昭和30年に発生した金閣寺放火事件です。
重度の吃音症である学僧が、永遠と思われている金閣寺の美を崩すことで、世界は行為によって変えられることを示そうとします。
三島由紀夫の美に対する感覚と、世界を変えるのは行為であるという哲学と、ただ存在するものへの反発など、様々な要素が精緻な文体ともに濃縮されています。また、取材も行き届いており、まるで三島由紀夫が僧侶経験者かと勘違いするほどの精密さです。
自分はあまり文章を読み返すことはしないのですが、本作にはただ文章を読みたいがために、何度も読み返すフレーズが何カ所もありました。
文学に敷居を感じるひとも、これはうならざるを得ない傑作だと思います。

三島由紀夫のすごさを知りたいひとのために!
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