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【書評】宇垣纒『戦藻禄』 [書評]

日本海軍の要職を歴任した宇垣中将の陣中録です。


戦藻録[新漢字・新かな版] 上

戦藻録[新漢字・新かな版] 上

  • 作者: 宇垣纏
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: 単行本




戦藻録[新漢字・新かな版] 下

戦藻録[新漢字・新かな版] 下

  • 作者: 宇垣纏
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: 単行本



宇垣纒の経歴は、開戦時が連合艦隊参謀で、昭和19年2月に第一戦隊司令官と絶えず第一線で戦い続けます。
基本的には事実関係(当時の宇垣が信じた)を簡素な文体で書かれています。
自分が読んで思ったのは、軍隊は巨大な官僚機構であり、仕事して戦争を遂行していたことです。
与えられた戦力で作戦を練り、戦いが終われば戦訓をまとめ、次の戦いに備える。
ただここに日本独自の武士道精神がからみ、艦長をはじめとする第一線の司令官が次々と戦死(せざる得ない精神風土)にあったことが、人材の枯渇を速めた気がします。
また、戦果を極端に過大に見積もっていたことも気になります。
大本営発表ではなく、第一線の指揮官である宇垣ですら過大に見積もっていたこと、情報に対する感度の鈍さに惨憺たる思いがします。
戦争は当初は攻勢を取っていたものの、ミッドウェーの大敗で進撃を止められ、ガダルカナルの攻防戦で戦力を消耗し、以下は悲惨な負け戦へと転落してきます。

先の大戦を振り返る、貴重な資料だと思います。

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