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第92期ヒューリック杯棋聖戦第3局(藤井聡太棋聖VS渡辺明名人) [将棋]

藤井棋聖の2勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/

藤井聡太棋聖というと詰将棋です。
あるインタビューで、40手を超える古典詰将棋を一瞬で解いていた記憶があります。
前半が趣向手順だったため、そこで一気に半分以上進められるにしても、収束部については読まなくてはいけません。
それをあっと言う間に読み切るのですから脱帽です。
詰将棋はスーパー敦くんこと宮田敦史七段も有名です。
ある動画で、目隠し詰将棋を3題同時に出題され、それを即座に回答する神業に驚愕しました。
しかもかなり難解で、「初手が見えずらかったですね」と淡々と解説する姿が印象的でした。
このスーパーあつし君を抑えて、藤井棋聖は詰将棋選手権の連破を続けているわけですから、その能力はもう想像のはるか先をいっています。
前期の棋聖戦第1局でも、プロでも詰まされてしまうような渡辺明の王手ラッシュを、この詰将棋能力を逆に生かし、正確な応手で逃げ切りました。
さあ藤井棋聖は、この圧倒的な詰将棋能力を再びタイトル戦で見せつけることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/92/kisei202107030101.html

ということで将棋です。
戦型は矢倉となりましたが、お互いにじっくりと金矢倉を構築するのではなく、急戦含みの令和風矢倉となります。
後手は雁木風に組み先手は早繰銀の流れで攻めかかりますが、これは数日前に行われた王位戦予選を沿っています。
まさに最先端の将棋ですが、この戦型の準備している両者に恐ろしさを感じます。
前例を離れたのは34手目です。ノータイムなのでここは研究だと思いますが、38手目で長考しているので、ここで事前準備から外れたと思われます。
渡辺名人が初めて長考したのは43手目です。
この直前の藤井棋聖の一手がやや意表を突き、ここで事前準備から外れたと思われます。
ただ局面はまったくの互角で、AIの評価値でも50:50です。
中盤の難所になり渡辺名人は歩の成り捨てから筋良く攻めますが、AIの評価はいまいちで、ここからやや形勢が後手に振れます。
しかし、渡辺名人もただでは倒れません。
藤井棋聖の一瞬の隙をついて飛車切りの猛攻を仕掛けて、一気に逆転します。しかし、時間切迫で読み切れず、2二馬と金を補充した手で評価値が一気に戻ります。
形勢不明の1分将棋は、藤井棋聖の絶対領域です。
最後は馬の利きに飛車を逃げるという派手な手が飛び出し、100手まで藤井棋聖が勝利しました。
これで3連勝で棋聖を防衛するとともに、最年少九段の記録を更新しました。

渡辺名人はタイトル戦初のストレート負けで、今後のダメージが心配です。対藤井戦も1勝8敗と、ちょっと差が開いてしまいました。
藤井棋聖の強さが光ったシリーズだったと思います。藤井棋聖おめでとうございます!

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