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第76期順位戦展望【C1~C2・中盤編】 [将棋]

〔C級1組〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2017/76c1/index.html

千田翔太六段が7連勝と走っています。順位も2位と高く、残り対戦相手からしても当確ランプが付いたといっても良い状況だと思います。1敗しても昇級圏内というのが大きいです。
2番手枠を争うのが、1敗勢の5人です。最終的には順位が物を言いそうですが、1敗勢同士の永瀬拓矢七段と近藤誠也五段戦が大勝負です。
ひとつでも落としたら昇級戦線から脱落するサバイバルゲームが最終戦まで続きそうです。


〔C級2組〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2017/76c2/index.html

大注目の藤井聡太四段が無傷の7連勝です。しかし、順位が低いので1敗したら即昇級圏外に脱落です。特に第10戦は若手注目株の三枚堂達也六段です。昇級するかどうかはこの1戦に係る可能性大です。
介護士からプロ入りした異色棋士の今泉健司四段も順位戦だけに白星を集中させて7連勝です。苦労人だけに、昇級できるかどうか期待をもって見守りたいです。
前期好調だった元祖サトシンこそ佐藤紳哉七段が7連敗と絶不調です。
いったいどうしたのでしょうか……。

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第76期順位戦展望【B1~B2中盤編】 [将棋]

昇級争いもいよいよ佳境に入ってきました。

〔B級1組〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2017/76b1/index.html
首位を走るのは今期好調の糸谷哲郎八段です。竜王1期の実績もあります。
順位も良く、次戦で勝てば、高い確率でA級にいけそうです。
糸谷八段と次戦対戦するのが、2敗で追いかける谷川浩司九段です。
会長職から解放されて精神的に楽になったのか、若手を撃破してのこの成績ですから立派だと思います。糸谷八段戦に勝てば、50代にてA級復帰があるやもしれません。
順位戦開始前には予想も出来ませんでしたが、菅井竜也王位が2勝5敗と下位に沈んでいます。
陥落はないとは思いますが、来期昇級に向けて順位をひとつでも上げたいところなので頑張って欲しいです。なにしろ、タイトルホルダーですから。
次戦の斎藤慎太郎七段との勝負が、隠れた見所かもしれません。

〔B級2組〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2017/76b2/index.html
野月浩貴八段が7連勝です。1敗勢の順位が高いだけに負けたら即昇級圏から落ちてしまいますが、有利であることには間違い無いです。
追いかける1敗勢で、中村太地王座が7回戦で負けたのが痛いです。第10戦に同じく1敗の北浜健介八段戦、最終戦に強敵の澤田信吾六段戦が待っています。
B級1組から陥落したばかりの畠山鎮七段も5勝1敗と好調です。
順位が1位であることが大きく、B級1組に復帰に向けて有利な位置にいます。昇級すれば、念願の順位戦での弟子(斎藤慎太郎七段)との対戦が実現します。
戸辺誠七段が2勝5敗と降級点圏内で苦しんでいます。このような位置に甘んじる棋士ではないと思うのですが。
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第76期順位戦展望【A級】

【対戦表】
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2017/76a/index.html

連勝街道を走っていた豊島将之八段が久保利明王将に負けて初黒星。
2敗までの上位3棋士の直接対決が終わっているだけに、挑戦権はこの3人の争いになる可能性が高そうです。
豊島八段、久保王将ともに渡辺明棋王、広瀬章人八段との対戦を残しているので、2人がキーパーソンとなりそうです。
その3人の中でも、今期絶好調の豊島八段が名人挑戦最有力ですが、羽生竜王は残りの対戦が1つ少なく、かつ比較的相性の良い相手が多いのが強みです。
まだまだ挑戦権の行方は分かりません。

今期は降級が3名になるので、残留争いが熾烈です。
一番苦しいのは5敗の行方尚史八段ですが、順位が良いので、同星に持ち込めれば昨年度のがんばりが活きてきそうです。
まだ2勝の屋敷伸之九段は、今期不調の上に、残りの対戦相手がA級の上位陣が多いので、非常に厳しい状況です。次戦の屋敷九段、三浦弘行九段戦が生き残りをかけた一戦になるかもしれません。
残り3~4戦あるので、ひとやまもふたやまもありそうです。

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第7期リコー杯女流王座戦第4局(里見香奈女流五冠VS加藤桃子女王) [将棋]

里見香奈女流王座の1勝2敗で迎えた第3局です。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/

全局では辛うじて角番を凌ぎました。
女流棋界のNo1といえば里見香奈女流五冠ですが、女流名人戦でも2連敗してからの3連勝で防衛するなど、ここ最近はまた調子が下降気味のように感じます。
少なくとも、一時期のような圧倒的な存在とは違います。
調子が悪くても、それなりに防衛を続けるのが、王者の王者たる所以なのですが。
女流棋界最高棋戦である女流王座を防衛するには連勝するしかありません。
里見女流王座は崖っぷちから連勝することはできるでしょうか!

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/7/joryu_ouza201711220101.html

ということで、将棋です。
後手里見女流王座はここ最近採用率の高いゴキ中を選択すると、それに対する加藤女王もいつものように超速で対抗します。
序盤は飛ばしてどんどん進んでいきます。
先手は穴熊に篭りますが、その穴熊の頭で戦いが始まります。
加藤女王は自ら駒損して逆襲を狙いますが、里見女流王座の8三歩と形を乱してから馬を作るのが上手い手順でした。
以降は駒得を重ねながら先手玉を確実に追い詰めた里見女流王座の完勝譜となりました。
追い込まれてから里見女流王座が2連勝で五分の星に戻しました。

最終局は12月22日(金)東京・将棋会館で行われます!
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【書評】三島由紀夫『真夏の死』 [書評]

三島由紀夫第二自選短編集です。


真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1970/07/17
  • メディア: 文庫



本書は11編収録されていますが、オススメは巻末の自作解説に目を通してから読み始めることです。
実験的な小説が多く、作者が何を狙いとしているのか、純文学にうとい自分にはいまいちピンときませんでした。
巻末の自作解説を読み、初めてなるほどなあと思いました。

三島由紀夫の短編を読みたいひとむけに!

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【公募情報】第4回長良川川柳 [公募情報]

三甲美術館が川柳を募集しています。

【主催者HP】
http://www.sanko-museum.or.jp/m-senryu4.htm

三甲美術館は岐阜県にあります。
洋画、日本画、陶磁器なと収蔵品は多岐に渡ります。
応募者本人のみ、展示期間中一回限り入場無料という特典もあります。
応募締切は平成30年1月31日(必着)です!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :自由(何でも可)
最優秀賞:記念品
応募締切:平成30年1月31日(必着)
応募方法:郵送、FAX、メール
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第30期竜王戦第5局(渡辺明竜王Vs羽生善治棋聖) [将棋]

羽生棋聖の永世7冠まであと1勝です。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

渡辺竜王は昔からヒール的な人気がありました。
圧倒的な棋力と歯に衣せぬ発言、自由に物を言う雰囲気ができたのは、渡辺竜王の功績だと思っています。
渡辺竜王がいなければ増田康宏四段の「矢倉は終わった」「詰め将棋は意味無い」との発言は出なかったと思います。
今回の竜王戦では、羽生棋聖の永世七冠以外にも三浦九段の件があり、最初からヒールとしての役割に立たされています。
自身も調子が上がらず、勝率も5割を越えてきません。
渡辺竜王は王者の将棋というか、一旦受けてから鋭く反撃するのが特徴的でしたが、読みの精度が落ちたのか、受け切れない場面が増えました。
時代に乗れないとブログでぼやくこともあります。
それでも盤上に向う姿に、自分は好感を持っています。
竜王といえば、渡辺明ですから。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/30/ryuou201712040101.html

ということで、将棋です。
本局は5日前に行われた順位戦と同じく、角換りとなりました。
後手の渡辺竜王は流行型の8一飛車、6二金としますが、羽生棋聖はクラシカルな5二金を選びます。
お互いに7九玉と引いたところで、羽生棋聖が突如として4五銀~2五桂と仕掛けます。
おそらくは竜王戦のために暖めてきた研究手でしょう。
そこから羽生棋聖が冴え渡ります。
絶妙のタイミングでの1五歩で渡辺竜王は困り、馬を作るも飛車と交換され、反撃の8六歩も与えた歩で端攻めを敢行されてしまいます。
羽生棋聖は終盤も正確で、玉の早逃げに4四歩と追撃して、渡辺竜王は完全にお手上げ状態になります。
あとは形作りのような手順が続き、87手まで、ついに羽生棋聖が竜王奪取とともに永世七冠を達成しました。
まるで漫画の主人公のような戦跡です。空前絶後の大記録で、号外がでるのもうなずけます。

羽生竜王おめでとうございます!

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【書評】東野圭吾『レイクサイド』 [書評]

2005年に映画化されたミステリです。


レイクサイド (文春文庫)

レイクサイド (文春文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 文庫



勉強合宿の最中に発生した悲劇を、参加者のひとりが真相を追います。
妙に仲の良い親達と、よそよそしい子供たち。
子供たちの将来のため、殺人事件を隠そうという親達の行動に、妻が事件を起こしてしまった負い目から、主人公も引き込まれていきます。
何かがおかしいと感じつつ、共犯関係が出来上がってきます。
そうしてついに掴んだ真相は……と、ラストはアガサクリスティの名作を彷彿とさせます。
2003年、本格ミステリベストの16位にランクされました。

東野圭吾ファンのために!


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【書評】東野圭吾『赤い指』 [書評]

加賀恭一郎シリーズの第7作です。


赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 文庫



シリーズ物らしく、安定した筋書きだと思います。
犯人は最初から分かっており、家族が息子を救うため、痴呆症の祖母に罪をなすりつけようとします。
事件を知った刑事は、地道な捜査と鋭敏な観察力によって、早々に犯人のめぼしをつけていきます。
そして、物語は家族にどう自白させるかに絞られていきます。
また、本作はテレビドラマ化もされています。

安定したミステリを読みたいひとに!
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【SS】齊藤想『最終切符』 [自作ショートショート]

TO-BE小説工房(第32回)に応募した作品です。
テーマは「切符」でした。

―――――

『最終切符』 齊藤想

 近郊都市行きの最終電車。アルバムに挟まれた古ぼけた切符。インクはかすれ、地紋も淡くなり消滅しかかっている。
 それでも、未緒はこの切符を捨てることができなかった。
 地元の高校を卒業した翌日のことだ。当時交際していた康成は、未緒にこの切符を渡しながら、こう宣言した。
「東京で一旗揚げることに決めた」
 次の言葉は分かり切っている。画家になるというのだ。同級生が数人しかいないような学校の写生大会で金賞を取り、東京から赴任してきた先生に褒められた。それだけのことなのに、康成は自分には才能があると勘違いしている。
 ただ、未緒は彼氏のことを責めるつもりはなかった。過疎化に悩み、夢も希望もないこの村では、儚い空想にすがって生きるしかない。未緒と康成の違いは、空想を空想だと認識しているか否かにすぎない。
「三年間通い続けた電車も、明日が最後だな」
 地方路線は次々と廃線の憂き目にあっている。赤と青のツートンカラーの車体も、週明けには永遠の眠りにつく。またひとつ、村の希望が削られる。
「だから、この日に旅立つことに決めた。この電車とともに村を捨てる。そのときには、未緒もついてきてほしい」
 康成は高校生なりに真剣だった。大人のつもりだった。背伸びをしていた。ただ、未緒は彼氏と比べると少しだけ現実的だった。空想を未来だと思い込むことはできなかった。康成に画家としての才能が不足していることも理解していた。
 返事を躊躇する未緒の姿を見て、康成も悟ったようだ。その場を取り繕うように、未緒に切符をカバンにしまうように促した。
「もちろん無理には言わない。おれだって、向こうで芽が出るかどうかわからない。それに、まだ住まいもアルバイト先も見つかっていないしな」
 彼は乾いた笑い声を立てた。三月下旬を迎えようとしているのに、春の訪れが遅い東北の山村らしく、彼が言葉を吐くごとに白い花が咲く。
「画家として成功したら、未緒のことを迎えにいく。そのころには、おれは大豪邸の主だ。それまで切符は大切に持っていてくれ」
 空虚な言葉とともに、夜は深みを増していった。

 康成はひとりで旅立った。彼氏には悪いと思っても、失敗するとわかっているチャレンジに人生を掛ける気持ちにはなれなかった。
 その後、康成の消息は途絶えた。未緒が危惧していたように、康成は画家としては生活することができず、いつしか画商の見習いから古物商になったという。
 康成はあれだけ胸を張って故郷を出たのに、あっさりと夢が破れたことが恥ずかしく思ったようで、古物商の資格を取り、起業したときも地元には何も言わなかった。
 その康成から、五年ぶりに手紙が届いたのだ。
「いまから迎えに行く。約束の切符をもって、あの廃駅まで来てほしい」
 未緒は康成が自分のことを覚えていたことに驚いた。画家ではなく、古物商として成功したのかもしれない。別の意味で、康成は夢を叶えたのだ。
 廃線となった駅は修繕されることなく雨曝しになっていた。
 高校卒業から未緒は何もすることがなく、腐るほど余っている土地で農業のまねごとをしながら、ジャガイモを農協に出荷していた。春作が終われば秋作が始まる。代り映えのしない地元の祭りに、懇親会だかなんだかわからない不思議な集まり。
 そうした若者とは思えない日々を過ごす中で、未緒にとって康成は希望の光だった。その康成が、村に帰ってくる。
 あの駅で、あの切符をもってなんて、康成は都会でもまれてしゃれっ気が出たのかもしれない。未緒の胸はときめいた。
 約束の日。康成は国産の中古車を運転してやってきた。整備不良なのか排気ガスに黒煙が多い。服装もラフなシャツにジーンズだ。
 イメージと違う。未緒は落胆したが、これが康成のスタイルなのかもしれないと気持ちを立て直した。康成は急いであの時の切符を見せてくれといった。未緒は素直に渡す。
「これだよこれ。保存状態も完璧だ」
「この切符がどうかしたの」康成の興奮っぷりに、疑念を持った未緒が尋ねた。
「千間山号の最終列車の未使用切符がマニアの間で高騰してさ。これさえあれば、おれの店も一発逆転だ。ところで未緒、今度こそおれについてこないか」

―――――

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