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第35期竜王戦第5局(藤井聡太竜王VS広瀬章人八段) [将棋]

藤井竜王の3勝1敗で迎えた第5局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

広瀬八段はプロデビュー後も大学に通い、早稲田大学教育学理学部に通っていました。在学中に初タイトルの王位も獲得しています。
ちなみに現役大学生がタイトルホルダーになるのは現在まで唯一で(ちなみに糸谷八段は現役大学院生のときに竜王獲得)、この快挙に対して早稲田大学から「小野梓記念賞<特別賞>」を受賞しています。
卒業まで6年かかりましたが、優秀な学生だったようで、教授から研究者の道を進められたエピソードを読んだことがあります。
ちなみに、ゼミの先生も将棋好きだたとのこです。
きっと大学時代の仲間だけでなく、教授たちも広瀬八段の竜王戦を見ていると思います。
広瀬八段は竜王戦をできるだけ長引かせること、あわよくばフルセット、さらには奪取を目標にしていましたが、第4局まで終わって角番に追い込まれています。
追い込まれている広瀬八段ですが、大学時代の仲間たちに良い将棋を見せることができたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/35/ryuou202211250101.html

ということで、将棋です。
戦形は相掛かりとなりました。広瀬八段としては、第3局で敗れはしたものの途中まで優勢だったので、角番となった本局で再投入したのかもしれません。
広瀬八段が選んだ形は4五歩と位を取り、角打ちを含みにする姿勢です。広瀬八段は歩を突き捨て、勢いをつけてから5七角と設置し、この角を司令塔として攻勢にでます。
後手陣の銀を僻地に追いやり、快調に攻めていましたが、3五角と歩を取った手にたいする藤井竜王の切り返しが絶品でした。
3三桂とぶつけられ、以降はなかなか先手の良い手順がでてこないようです。評価値としては同桂成りが正着ですが、手順に4六歩に金のひもがつくので指しにくいです。
広瀬八段は同桂成りとは指さずに、つよく勝負にでます。局面的には苦しいですが、と金を作り、勝負形に見えます。藤井竜王は二枚の角で広瀬陣を睨みます。
分岐点は90手目でした。
AI的にはここは角切が正着だったようですが、攻めが細く、繋がるかどうかギリギリのラインです。というより、二十数手先にある妙手が発見できなければ、攻めが切れてしまい、そこで将棋は終わってしまいます。
熟考のすえに藤井竜王は自重して、角で飛車を取ります。
このときに評価値は互角となり、すこから数手後には広瀬八段が優勢になりました。
これは藤井竜王のミスというより、簡単に決めさせなかった広瀬八段の勝負術がたくみだったと思います。
133手まで広瀬八段が勝利し、角番をしのぎました。藤井竜王は7番勝負で初の2敗目で、これで6局目に突入です。

第6局は12月2日(金)、3日(土)に、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われます!
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第30期倉敷藤花戦第2局(里見香奈倉敷藤花VS西山朋佳女流二冠) [将棋]

里見倉敷藤花の先勝で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kurashikitouka/

倉敷藤花戦の主催者は倉敷市です。
そのため、開催費用が予算計上されています。
膨大な予算書のすみっこに小さく書いてあるのではなく、ダイジェスト版に写真付きで書かれているので、倉敷市として大事な目玉予算として扱われているものと推測されます。
ちなみに予算額は2400万強です。優勝賞金がどのくらいか気になりますが、そこまでは分かりません。
タイトル戦の序列が最下位なので、200万前後かなあと予想します。
この予算額で全国的に報道され、将棋ファンから注目されるイベントとして考えると格安だと思いますが、いかがでしょうか?

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kurashikitouka/kifu/30/kurashikitouka202211260101.html

ということで、将棋です。
先手は里見倉敷藤花。ときおり採用する5筋に振ってから居飛車に戻る対抗系を選択します。
里見倉敷藤花がこの形で勝った記憶があまりないのですが、これと引き角を組み合わせるのが作戦なのかもしれません。
一方の西山女流二冠はいつも通りの形です。西山女流二冠は玉を8筋まで移動させて木村美濃に構えますが、里見倉敷藤花は前線に出動させた2枚銀の処置に苦しんでいるように見えます。
お互いに駒を細かく動かして、本格的な戦いなったのは70手目あたりです。
角交換から後手西山女流二冠が2七角と打ち込みます。
ここで里見倉敷藤花が飛車切を敢行していれば先手有利だったようですが、自重したことで成り返った後手の馬が手厚く、西山女流二冠有利で局面が進みます。
とはいえ、左辺の金銀が遊び気味で、抑え込みが破れたとたんい逆転してしまいそうな薄い有利です。
里見倉敷藤花にチャンスが巡ってきたのは、101手目です。
西山女流二冠が浮いた歩を馬でかすめ取った瞬間に角を出し、これで角馬交換に成功します。
息を吹き返した里見倉敷藤花は拠点を生かしてゴリゴリと後手玉を攻め、あっと言うまの逆転劇です。
119手まで里見倉敷藤花が勝利し、2連勝で防衛を決めました。
これで8連覇、通算13期目の獲得になります。
里見倉敷藤花おめでとうございます!

これで今期の里見・西山のタイトル戦は里見3、西山2、それぞれ1つのタイトルを奪いあい、勝ち負けは里見13勝、西山10勝となりました。
来年も両者のタイトル戦を見せて欲しいです!
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