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【書評】門田隆将『裁判官が日本を滅ぼす』 [書評]

奇怪な判決がでてしまう裁判制度に警鐘を鳴らします。


裁判官が日本を滅ぼす (新潮文庫)

裁判官が日本を滅ぼす (新潮文庫)

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/06/14
  • メディア: 文庫



本書には様々な首をひねるような裁判が登場します。
摩訶不思議な事実認定、さらには殺人を犯しているのにもかからわず実質無罪としてしまう判決などなどです。
原因はほぼ一貫しており、結論ありきの判決だからです。
犯行に対する量刑相場があり、その相場に判決を落とし込むために都合の良い部分だけ事実認定していく。
そのため、一般人からすると首をひねらるを得ない奇怪な判決となるわけです。
後半には現在の裁判所が抱える問題点があぶりだされています。
抱える案件数が多すぎること、裁判官は社会人経験がなく純粋培養されていること、判決を出すテクニックをひたすら叩き込まれること、さらに上級官庁からの評価が気になることなどなどです。

本書では批判的ですが、量刑の相場は刑罰の公平の観点から重要です。
ただ、その量刑相場の基準が現実の事件における多様さに合致していないのかなと感じます。
そのため、まったく事情がことなる事件が、同じ量刑になってしまう。
そんなことを感じました。

裁判における問題点を考えたいひとのために!
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