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【書評】清水カルマ『忌少女』 [書評]

デビュー作が映像化プジェクト進行中である新鋭ホラー作家の4作目です。


忌少女 きしょうじょ (ディスカヴァー文庫)

忌少女 きしょうじょ (ディスカヴァー文庫)

  • 作者: 清水カルマ
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2022/03/25
  • メディア: Kindle版



本作は映像化プロジェクトが進んでいるデビュー作『禁じられた遊び』の前日譚なります。『カケラ女』が後日譚なので、この3作は繋がっています。
舞台は1999年。主人公は『禁じれらた遊び』で母となる臼庭深雪です。彼女はある特殊な能力を持っています。彼女は基本的に善人であるゆえに、その特殊な能力を使ってしまい、かえって禍を引き寄せてしまいます。
彼女の能力が、さらに彼女自身を追い詰めていきます。
このシーンひとつひとつが、痛くて、心に突き刺さります。
怖いだけでなく、ラストにはどんでん返しが待っています。ホラーといってもドロドロとして最後ではなく、読後感も良いです。
構成面ですが、本作はかなり細かいところまで作りこまれています。
主人公は母子家庭なのですが、自分は「母子の繋がりを強調するために父を登場させないのだな」と判断していたら、物語の終盤になって母子家庭の真の意味が明らかにされます。しかも、驚きのドンデン返しが待っています。
という感じで、さり気ない日常シーンや設定の中に、後に繋がる伏線がふんだんに盛り込まれています。
偶然で片付けてしまいそうなところも、全て必然になるように設計されています。
著作の4作のうち、間違いなくベストだと思います。

いまノリにノッテいるホラー作家の作品を読みたいひとのために!
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