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第68期王座戦第5局(永瀬拓矢王座VS久保利明九段) [将棋]

永瀬王座の2勝2敗で迎えた決着局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/

粘りの棋風で有名な淡路仁茂九段には、「不倒流」「長手数の美学」「三枚目の男」と様々な異名があります。
現役棋士のなかで「長手数の美学」にふさわしい棋士といえば、やはり永瀬王座だと思います。ただ、永瀬王座の将棋は「負けにくい」手を選ぶゆえの長手数であり、粘りとは少し違う印象です。やはり「不倒流」より「長手数の美学」がしっくりきます。
久保九段は、若いころは駒効率を最大限に生かした華麗なアクロバティックな受けが持ち味でしたが、最近は泥臭く、まさに「不倒流」に近いと思います。
久保九段は粘るだけでけでなく、意表の受けを突き付け、一気に逆転を狙います。久保九段の持ち味が出た第4局は素晴らしい熱戦でした。
さあ、王座戦もいよいよ大詰めです。
最終決戦に勝利し、王座を獲得するのは新鋭か、それともベテランでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/68/ouza202010140101.html

ということで将棋です。
先手久保九段が最終局を託したのはゴキゲン中飛車でした。
最近は居玉側の対策が進歩してゴキゲン側が苦戦中ですが、そこは経験か新手で補おうとしているのかもしれません。
そして、13手目にそうそうと新手が出ました。
7五歩を早めについて、居飛車側の右桂を捌かせません。
この新手に永瀬王座は真っ向から反発し、地獄突きから一気に角飛車交換に持ち込みます。
この時点ですでに居飛車側がリードしていたようです。
久保九段は端攻めを絡めながら2枚の角を激しく動かしますが、永瀬王座はじっくりとリードを広げ続けます。
最終盤になり、永瀬王座が勝勢になりますが、第4局の逆転負けが頭をよぎったのか、手堅い指し回しに終始します。
これぞ永瀬流の負けない将棋です。
111手まで永瀬王座が完勝し、これで3勝2敗と苦しみながら王座を防衛することに成功しました。と同時に、タイトル3期で九段昇段です。

永瀬王座&九段昇段おめでとうございます!
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