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【書評】マーク・ジョンソン、キャスリーン・ギャラガー『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち』 [書評]

世界初のパーソナルゲノム医療を実現したチームのノンフィクションです。


10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した

10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち――世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した

  • 作者: マーク・ジョンソン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2018/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



2004年のころです。原因不明の難病に冒された少年が病院で診察を受けました。
医者がよってたかって調べ、既存のあらゆる治療を試みますが、少年の身体に巣くうドラゴンは現代医療を跳ね返していきます。
最後に頼ったのは、まだ生まれたばかりの技術、DNA解析でした。
ここまでに至るには様々な葛藤があり、また資金、技術的課題、さらには倫理面でのルールが未整備とあらゆる難問がのしかかってきました。
それを医者たちが乗り越えて、DNA解析にこぎつけ、ついに原因がはっきりします。
それは32億もあるDNA対のただ1箇所のエラーです。このエラーが生物学的に致命的な箇所だったので、少年は何年も苦しみ続けたのです。

これは現実の話でありながら、まるで近未来SFのような話です。
いまはDNA解析はかなりありふれた話になりつつありますが、開拓者たちの苦労はなみたいていのものではありません。
さらには弟の病気のために精神的に追い詰められ、散り散りになっていく家族、その再生も描かれています。

すばらしいノンフィクションだと思います。
文句なしのオススメ本です!
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