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第70期王将戦第2局(渡辺明王将VS永瀬拓矢王座) [将棋]

渡辺王将の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者HP〕
http://mainichi.jp/oshosen/

渡辺王将は世代的に微妙な位置にいます。
通算タイトル99期の羽生善治から見れば14歳年下で、藤井聡太から見ると18歳年上です。
あれだけの才能を持ちながらタイトル通算27期に留まっている谷川浩司は、羽生善治の8歳上、中原誠の15歳下という狭間の世代の悲劇だと思います。先輩たちがまだまだ力を持っていた時期にタイトル戦に挑戦し、一進一退を繰り返しているうちに下の世代に追いつかれてしまいました。
渡辺明の通算タイトル数は26期で、通算64期の中原誠までかなり差があります。
ここで踏ん張れるかどうかで、狭間の世代となるか、大山~中原~羽生と続く系譜に連なれるかが決まると思います。
相手の永瀬王座は28歳で8歳下になります。
歴代3位に近づくためには8歳差を跳ね返したいところですが、さあ第2局の結果はどうなったでしょうか!

〔棋譜〕
https://mainichi.jp/oshosen-kifu/210123.html

ということで、将棋です。
永瀬王座の先手で相掛かりとなります。
研究手順なのか先手が居玉のまま仕掛け、後手は時間をかけけずに桂損を甘受します。
渡辺王将は桂損でも、先手を歩切れに追い込めるため、これで良しと判断しているのかもしれません。
ここで研究からはずれたのか永瀬王座が熟考に沈みます。
お互いに難しい攻防が続き、棋風とは逆に永瀬王座が攻め、渡辺王将が受ける展開となります。
中盤は永瀬王座が優勢な時間が長かったと思います。
渡辺王将は駒損のうえに1~3筋の金銀が遊んでいます。永瀬玉が金銀3枚で守られているのに比べ、渡辺玉は飛車角3枚に囲まれている上に歩のヘルメットがありません。
評価値的には互角でも、人間的には先手勝ちやすいと思います。
後手玉の薄さを突いて永瀬王座が迫り、108手の局面では先手勝勢です。
しかし、時間は切迫。
ここで痛恨の一手がでます。7三成桂引きが敗着となりました。7三歩成りなら先手玉は詰まずに後手必死で永瀬王座の勝ちでした。
同じ後手必死でも、先手の歩が残ったことで歩の合駒ができずに、永瀬玉は頓死してしまいました。
永瀬王座はいい将棋でしたが、最期は時間切迫が響きました。時間配分も含めて経験の差が出てしまったのかもしれません。

九死に一生を得た渡辺王将が連勝し、これで王将防衛に大きく近づきました。
第3局は、1月30日、31日に栃木県大田原市「ホテル花月」で行われます!
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第47期女流名人戦第2局(里見香奈女流名人VS加藤桃子女流三段) [将棋]

里見女流名人の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

加藤桃子女流三段は里見女流名人に対してかなり押されています。
第1局を含めると6勝19敗で、約4分の1しか勝っていません。
タイトル戦でも1勝5敗で、直近でも女流王将戦、女流王位戦で連続してストレート負けを喫しています。しかも10連敗中です。
里見女流名人は振り飛車党で、かつ中飛車の採用率が高いです。
居飛車党の加藤桃子女流三段からしたら狙い撃ちできそうですが、女流王位戦では穴熊を連採して連敗しているのが気にかかります。直近の女流名人戦第1局では超速から5六飛車を取りに行って返り討ちにされちています。
まさにコテンパですが、10連敗前は6勝9敗と拮抗していたわけですから、何かをきっかけにして逆転することはあると思います。
さあ、加藤女流三段は、過去の敗戦を糧にして、新たな作戦で挑むことはできるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/47/joryumeijin202101240101.html

ということで将棋です。
先手里見女流名人は、いつものようにゴキゲン中飛車を採用します。対する加藤女流三段は女流王位戦で連採した穴熊ををまたもや採用します。
里見女流名人は穴熊を予想していたのか、前例のない局面に入ってもノータイムでバンバン進めます。おそらく研究なのでしょう。
局面自体は互角かと思いますが、加藤女流三段はジリジリ押されるとみて、勝負手ぎみに玉頭から手を付けます。
それまで蓄えていた時間をここで使い、中盤まで先手優勢で進みます。
決め時とみたのか玉を釣り上げて取れる銀をあえてとらずに龍を刷り込みますが、危険な手だったようです。
一瞬のスキをついて加藤女流三段が反撃。瞬時にして評価値も後手優勢から勝勢になりますが、効かしに打った2六歩がすっぽぬけてしまいました。
歩を無視して堂々と守りの金を取られると、先手玉を寄せ切るかどうかの勝負になってしまいます。
加藤女流三段も猛烈に追い込み、先手玉を絶体絶命まで追い込みますが、里見女流名人は読み切っていました。
この瞬間に後手玉には飛車捨てからの27手詰めが生じていました。
里見女流名人は間違えることなく詰め上げ、際どい終盤戦を制した里見女流名人が2連勝となりました。
加藤女流三段は本当に惜しい将棋だったと思います。

女流名人防衛のかかる第3局は、2月7日(日)、千葉県野田市「関根名人記念館」で行われます!

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