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【書評】横山秀夫『ルパンの消息』 [書評]

サントリーミステリー大賞佳作受賞作ですが、刊行されたのは15年後です。


ルパンの消息 (光文社文庫)

ルパンの消息 (光文社文庫)

  • 作者: 横山 秀夫
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/04/09
  • メディア: 文庫



ストーリーはというと、15年前に自殺として処理されたある高校教師の死が、時効前日になって「あれは殺しだ」とのタレ込みが入ります。
解決までに残されたのは1日だけ。
限られた時間の中で敏腕刑事たちが当時高校生だった容疑者から聴きだしのは「ルパン作戦」なる期末テストを盗む計画だった、という感じです。
ルパン作戦を中心に物語が進むのですが、サブストーリーとして三億円事件、殺された高校教師の裏の顔、容疑者の恋人と校長との関係、さらには道ならぬ恋など、設定はかなり複雑です。
ですが、まったく煩雑さを感じません。
様々な関係を一気に出すのではなく、謎が明かされつつ順番に見せてくれるので、関係性が苦もなく頭に入ってきます。
真犯人による犯行の様子は、ちょっと疑問符もありますが(法的整合性を取るためにやむをえないのですが)、意外性も含めてとても楽しめる作品だと思います。
将来の人気作家の片鱗を見せる作品だと思います。

濃厚な警察小説を読みたいひとのために!
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