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【書評】山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』 [書評]

と学会初代会長のSF短編集です。


まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

  • 作者: 山本 弘
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 単行本



SFらしいアイデアが詰まった短編集です。
『奥歯のスイッチを入れろ』は高速で動けるアーマーを身に着けた主人公の話ですが、高速世界は日常とは大きく異なり、ちょっとした動きに悪戦苦闘します。
当たり前の話ですが、高速で移動できたからといって、物理法則が変わるわけではありません。
慣性の法則は働きますし、空気抵抗も高速の分だけ強く受けます。
このあたりの描写は、ハードSFの大家であるA・C・クラークのようです。
この作品を面白いと感じるかどうかで、ハードSFへの適性が試されるかも。
日本人が書いただけに、A・C・クラークよりずっと読みやすいと思います。
またパラレルワールドをテーマにした『まだ見ぬ冬の悲しみも』、言語SFの『メヂューサの呪文』など、著者の多様性が伺える一冊だと思います。

SF好きなひとのために!
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