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第91期ヒューリック杯棋聖戦第4局(渡辺明棋聖VS藤井聡太七段) [将棋]

歴史的な1局になるかもしれません。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/

表現が難しいですが、渡辺棋聖は実戦的な作戦家だと思います。
後手番のときは「使い捨て作戦」を用いることがあると公言しています。
使い捨て作戦とは「正確に対応されると不利になるので、二度目はない」作戦です。相手の間違いか、長考して時間を使ってくれることを期待しています。
第3局で渡辺棋聖は藤井聡七段相手になんと90手まで研究済みの作戦を用いました。
藤井聡七段は角換わりを得意としているだけに狙いやすかったのかもしれませんが、それにしても用意周到です。
第4局は渡辺棋聖の先手番なので、より主導的に作戦を選ぶことができます。
研究するなら角換わりだと思いますが、それを藤井聡七段が避けるかどうかの駆け引きがあるかもしれません。
藤井聡七段が勝てば、もちろん最年少タイトル獲得記録の更新です。そうなれば歴史に残る1局となります。
さあ、渡辺棋聖が踏ん張るのか、それとも将棋の歴史に新たな1ページを刻むことになるのでしょうか。
いよいよ注目の第4局です!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/91/kisei202007090101.html

ということで、将棋です。
先手の渡辺棋聖が選んだ作戦は、棋聖戦第2局と同じく急戦矢倉です。
藤井聡七段に3一銀というAI越えの名手がでた局として長く記録される対局だと思いますが、その手順を淡々となぞっていきます。
渡辺棋聖の改良案は31手目です。
端歩を突くという地味な手ですが、こうしたわずかな得を追及するのがプロです。
後のない渡辺棋聖は攻めます。
歩を突き捨てて桂交換に持ちこむと、その桂馬で金を狙います。
渡辺棋聖の時間の使い方をみると、午前中の段階で研究範囲から外れていそうです。第3局の綿密な準備からすると、やや不安を感じますが局面は先手がやや指しやすそうです。
ここからは力の勝負です。
藤井聡七段は端桂で渡辺陣を目指します。攻撃に出る若武者相手に、渡辺棋聖は54分の長考で攻めを切らす方針を取ります。
しかし、この攻防のどこかに誤算があったようで、あたりになっていた金を逃げられた挙句に桂馬を食い逃げされ、さらに飛車を圧迫されてはもう受けきれません。
持ち時間も逆転されました。
渡辺玉は左右から挟撃されてがんじがらめになり、最後にせめて一太刀と逃げ間違えたら詰む王手をかけ続けます。
ですが、すでに大勢は決していました。
110手まで藤井聡七段が勝ち、17歳という史上最年少でのタイトル獲得となりました。
しかも棋界の第一人者である渡辺明からの奪取なので、価値が高いです。

いよいよ藤井時代の幕開けです。ですが、渡辺二冠にはまだまだ若手の壁となって立ちはだかる義務があると思います。
藤井棋聖おめでとうございます!
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