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【書評】高田由紀子『青いスタートライン』 [書評]

新人児童文学作家の2作目です。


青いスタートライン (ノベルズ・エクスプレス)

青いスタートライン (ノベルズ・エクスプレス)

  • 作者: 高田 由紀子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: 単行本



デビュー作である『まんぷく寺でまってます』と同じく、作者のルーツである佐渡島が舞台になっています。
対象年齢としては、前作よりやや上に設定されているようです。
構成はかなり練りこまれています。
お母さんの入院で佐渡で過ごすことになった主人公である少年が、軽い憧れの気持ちから遠泳大会にエントリします。
主人公は佐渡の人々の支援を受けながら練習を重ねます。
その過程で、周囲の人々に頑張ることの素晴らしさを伝える種を撒いていきます。
ついに大会当日になり、主人公が完泳を成し遂げたとき、周りのひとたちも前に向けた一歩を踏み出します。
綺麗な終わり方だと思います。
細かいところですが、冷蔵庫に麦茶がなくて、主人公が炭酸飲料を取るシーンが上手いと思いました。
それがシーンの最後に炭酸がのどの奥でパチっと弾けるにつながるのですが、それが様々な感情とリンクしています。

佐渡の美しい風景ともに、作者の佐渡愛が溢れている作品だと思います!

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