SSブログ

【映画】ワイルドスピード/ジェットブレイク [映画評]

今度は宇宙に飛んでしまいます。


ワイルド・スピード/ジェットブレイク [Blu-ray]

ワイルド・スピード/ジェットブレイク [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2022/08/03
  • メディア: Blu-ray



完全にスパイ映画になったワイルドスピードの第9作です。
物語は、いまや上官みたいになったノーバディからの秘密通信から始まります。
ノーバディが登場する飛行機が墜落したのですが、世界中のコンピューターをハッキングできる特殊機器を輸送している途中で、その奪還をトレットたちに依頼するものでした。
なぜトレット・ドミニクたち? という疑問を持ってはいけません。
確保したとたんにドミニクの弟ジェイコブたちが襲ってきて、密林の中の激しいカーチェイスの末に奪われます。
谷をロープ一本を頼りにとび越えるシーンがありますが、あれだけ激しく横から激突したら普通は死にますね。
ドミニクとは弟との因縁があります。父がレース中に炎上死亡したのですが、それは弟が車に細工したからでした。
とにかくそれからいろいろあって、ハンが生きていたことが判明したりします。
特殊機器は開発者家族のDNAでロックされており、ジェイコブたちが娘を確保することでついに装置を作動させます。
通信衛星にプログラムをアップロードしている途中でジェイコブは味方から切られ、そのピンチをドミニクが救うことでファリミリーの一員になります。
データー通信を阻むため、最後はローマンとピアースが宇宙に飛び阻止します。
というまあ、こんな感じです。
このシリーズの特徴であるテンポの良さはさすがです。次から次へと新しい展開がやってきて、観客を飽きさせません。
ワイルドスピードシリーズを通じて表現されているのが家族愛ですが、ドミニク兄弟の和解が回送シーンを交えながらしっかりとメインに据えられています。
ですが、全体的に無理があるかなあ、というのが実感です。
超強力な磁力を発生させる装置を車に積んでのカーチェイスが繰り広げられるシーンがありますが、相手を引くのと当時に自分も引かれるわけで、車がガンガンに引き寄せられるなら自車も当然引かれるます。
また磁力で電線を引きちぎるシーンがありますが、電柱が折れるぐらいなら車が浮くはず……というツッコミの前に、電線は銅なので磁性を持ちません。
宇宙にいくのも、ショーンが作成したゼロヨン用に改造したロケットエンジンを積んだ車でいくのですが、うーん、やっぱり苦しいよなあ。
また水に落ちたドミニクを妻が助けに行くのですが、次のシーンでいきなりドミニクが助かっていて、どうやって助けられたのか謎です。
そもそも今回の奪い合いの元になる特殊機器ですが、本体はプログラムのはずなので、不思議な球体にする意味もDNAで物理的にガードする意味もよくわかりません。
せめて生体認証とかパスワードでしょう。しかも、それほど危険なプログラムなら、娘のDNAうを登録してしまうのは、どうなのか。
ありえない話をもっともらしく見せるのがディティールの力ですが、そのディティールが不足しているのかなあ、という気がしてしまいました。
3で主役だったショーンがロケット技術者として再登場していますが、あまりの変貌にびっくり。
15年も経っているので致し方なしですが。
製作費2億ドルに対して興行収入7億6000万ドルと前作から大幅ダウンですが、それでもさすがの成績です。

ワイルドスピードファンのために!
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

【書評】管賀江留郎『冤罪と人類/道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』 [書評]

仰々しいタイトルですが、二俣事件を題材に冤罪を考えます。


冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか (ハヤカワ文庫NF)

冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: 管賀 江留郎
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/04/28
  • メディア: Kindle版



二俣事件とは、昭和25年に静岡県で発生した一家四人殺人事件です。
紅林警部補による強引な捜査、拷問により少年が逮捕、死刑判決が下されますが、山崎兵八刑事が違法は捜査方法を告発したことで、最高裁が原判決を破棄。
昭和37年に元少年の無罪が確定しています。
本書は二俣事件を題材にしていますが、話がとんどん飛びます。
浜松事件、紅林警部補の経歴、最高裁判事の過去、清瀬一郎弁護士の政治遍歴、内務省と法務省との縄張り争い、日本最初のプロファイラー吉川技師、血液鑑定を担当した古畑教授……と、二俣事件に関係する様々な事象をとにかく列記しているので、とにかく長いです。
文庫本で600Pを超えます。
著者は書きだしたら止まらないのか、あとがきまで長いです。
ひとつひとつの話は面白いのですが、さすがにテーマ後とに3冊ぐらいに分けた方がいいのかなあ、という気がします。
著者の結論は、紅林警部補は優秀な刑事だったが、ひょんなことでさほど貢献してない浜松事件で時のひととなり、周囲からの評判を守るために強引に犯人を作り上げ、さらに作り上げた犯人が真犯人と思い込んでしまい、道徳感情から「真犯人」を罰しようと奮闘した、というところだと思います。
話のひとつひとつは納得できるのですが、終盤の政治、経済、動物行動学にまで手を広げたのはやりすぎかなと。
そこは専門分野の方々に任せた方が良かったかも。

二俣事件について知りたいひとのために!
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ: