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第77期順位戦展望【A級~B級1組】 [将棋]


トップ棋士たちの熱い戦いが始まります。

〔A級〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2018/77a/index.html
まだ名人戦の最中なので、1位は未確定。
ただどちらが来ても、名人挑戦有力候補であることは間違いありません。
なんといっても注目は豊島八段です。
あと一歩タイトルに手が届かない状況が続いていますが、レーティングはここしばらく1位であり、いま現役最強棋士であると言っても過言ではありません。
残留争いですが、前回A級で全敗した阿久津主税八段のリベンジなるかが注目です。
新A級に糸谷八段もタイトル1期の実力者です。どこまで戦えるのか興味深いです!

〔B級1組〕
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2018/77b1/index.html
まさかの陥落をした渡辺棋王。
1期でA級に復帰できるのか、B級1組の安定勢力となってしまうのか、今後の棋士人生を占う意味でまさに正念場です。
前年度は苦戦した菅井竜也王位と斎藤慎太郎七段ですが、もちろん今年も昇級候補だと思います。
会長職を辞してから好調の谷川九段も侮れません。
今期も混戦になりそうです。
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【書評】小山文雄『明治の異才 福地桜痴~忘れられた大記者~』 [書評]

福澤諭吉と並んで「天下の双福」と称された大記者の評伝です。


明治の異才 福地桜痴―忘れられた大記者 (中公新書 (743))

明治の異才 福地桜痴―忘れられた大記者 (中公新書 (743))

  • 作者: 小山 文雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1984/10
  • メディア: 新書



福地桜痴の人気絶頂は明治一桁から14年です。
幕臣から新政府に入り、欧州、アメリカへ計3回旅立ちます。
その後新政府を辞任し、新政府を攻撃する新聞社を設立、発禁処分。
東京日日新聞(現毎日新聞)に入社し、主筆として活躍、のちに社長。西南戦争の戦争報道で一躍有名となります。
その後、開拓使官有物払下げ事件を契機とする自由民権運動の高まりの中、運動の中心人物のひとりと目されますが、明治14年の政変前後に10日前後だけ日和のような記事を続けただけで人気が地に落ちてしまいます。
後年は半ば忘れ去れたひととして、小説、歌舞伎の脚本などを書き続けて世を去ります。
福地桜痴の年譜を見ると、本当に様々なことがあった時代だと思います。
日米和親条約から日露戦争終結後のポーツマツ条約まで、わずか66年の人生で見届けたことになります。
本書は福地桜痴の評伝であるとともに、良質の幕末史にもなっています。
当時の雰囲気を良く伝える佳著だと思います。

幕末~明治維新が好きなひとのために!

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【公募情報】第3回除湿機でカラッと!川柳 [公募情報]

除湿機をテーマとした川柳募集です。

【主催者HP】
http://www.jraia.or.jp/product/home_dehu/senryu180514.pdf

あまり注目されていないのか、昨年の応募総数は2,725句だったそうです。
川柳系の公募としては、とても少なく、穴場だと思います。
テーマはもちろん除湿機ですが、過去の受賞作品を詠めば雰囲気がつかめると思います。
応募締切は平成30年8月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :「除湿機」の快適さや便利さなど⽣活に役⽴ったエピソード
最優秀賞:図書カード2万円分
応募締切:平成30年7月31日
応募方法:郵送
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【書評】川村卓『決定版 ピッチングの科学』 [書評]

ピッチングを科学的に分析した本です。


決定版 ピッチングの科学

決定版 ピッチングの科学

  • 作者: 川村 卓
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2016/05/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『決定版 バッティングの科学』と対になる本です。
球速を上げるための体の使い方、遅くとも打たれにくいボールとは、などを写真を交えながら科学的に解説していきます。
通常のピッチング読本だと、著者の経験が強く反映されるため、あるひとつの投げ方しか説明されません。
しかし、本書は科学的に解説するだけなので、応用範囲が広く、引き出しを増やしてくれます。
選手より、指導者に読んで欲しい本だと思います。

ピッチングをより深く知りたいひとのために!

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第89期棋聖戦第1局(羽生善治棋聖VS豊島将之八段) [将棋]

豊島八段が念願の初タイトルに向けて羽生棋聖に挑戦です。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/kisei/

棋聖戦は今年から株式会社ヒューリックの協賛を受けることになりました。
駅前ビルの賃貸借を中心に、不動産に関する事業を行っている会社です。
知名度は高いとは言えませんが、経常利益が600憶を超す優良企業です。
いままでタイトル戦は新聞社が中心となってきました。だが、購読者数の減少とともに新聞社の経営は厳しさを増してきています。
今後は将棋が持つ知名度、注目度を活かして、こうした協賛型のタイトル戦が増えるのかもしれません。
ヒューリック杯の成功を祈りたいです。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/89/kisei201806060101.html

ということで将棋です。
先手は王位戦挑戦者決定戦から裏返って豊島八段となります。
通常は先手から攻めていきますが、本局は後手の羽生棋聖がポンポンと攻めていきます。
これに対し、豊島八段の玉寄りが柔らかい受けで、先手の攻めがひと段落した瞬間を突いて6三歩と反撃します。
先手玉は広くて捕まる感じがしません。
優勢になってからの豊島八段は堅実でした。駒を重ねて厚く寄せていきます。3四桂が後手玉の逃げ道を塞ぎ、よく効いています。
99手まで先手豊島八段が快勝し、初タイトルに向けて好スタートを切りました。
第2局は6月16日(土)、東京都港区「グランドニッコー東京 台場」で行われます!

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【書評】高校野球ドットコム『野球ノートに書いた甲子園』 [書評]

甲子園の良さを掻き立ててくれる本です。


野球ノートに書いた甲子園

野球ノートに書いた甲子園

  • 作者: 高校野球ドットコム編集部
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2013/08/21
  • メディア: 単行本



自らを見つめなおすために、選手たちにノートを書かせる指導者がいます。
そのノートを中心にしながら、選手たちや監督が、甲子園を目指してどのような練習をしたのか、どのように考えていたのをつづっていきます。
とくに最初の選手が泣けます。
必死に練習し、嫌われ者を買って出てもチームを鼓舞しますが、県大会の決勝で負けてしまいます。
しかも1点差で迎えた最終回、ツーアウトランナー三塁で彼に打席が回ってきて、最後の打者となります。
筋書きのないドラマだと思います。

高校野球ファンのために!

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第59期王位戦挑戦者決定戦(羽生善治竜王VS豊島将之八段) [将棋]

羽生竜王が菅井王位へのリベンジを狙います。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/oui/

羽生豊島戦というと、非公式戦ですが、ニコニコ動画で自動車を駒にして対戦する企画がありました。
スポンサーはトヨタで、駒を動かすたびにドライバーが会場を駆け回っていたのが印象に残っています。
角換わりになりましたが、お互いにすべての駒を動かそうと、阿吽の呼吸で盤面全体を使って戦っていた記憶があります。
結果は羽生勝ちでした。

羽生豊島戦は通算ではやや羽生優勢ですが、最近は豊島八段が4連勝し、羽生竜王が2番返すといったほぼ互角といっていいと思います。
両者は続けて棋聖戦でも戦います。
タイトル戦に向けた前哨戦的な意味合いもあると思います。
さあ、両雄の結果はどうなったでしょうか!

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/59/oui201806040101.html

ということで、将棋です。
戦形は定番の角換わりとなりました。
先手の羽生竜王は桂馬を跳ねて先攻し、豊島八段は金銀を前進させて防衛線を築きひと段落。
次に角換わりらしく逆サイドの攻防が始まります。
その後、豊島八段の好位の角打ちに対し、狭い自陣角で対抗したのがよくなかったようで、徐々に形勢を損ねていきます。
そこから羽生竜王が挽回し、先手有利とみなされる局面もありました。
しかし7七歩からの叩きに金を差し出して防御を図った手がいまひとつで、必殺の7九角打ちを食らった辺りから評価値が急激に開いていきました。
金駒を差し出して歩で受ける筋はあるのですが、この局面では危険だったようです。
126手まで後手豊島八段が快勝し、豊島が王位初挑戦を決めました。
王位戦七番勝負は7月4日・5日(水・木)に愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」で開幕します!

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【公募情報】日めくりカレンダー格言集 [公募情報]

優秀賞3名には5万円分の旅行券です。

【主催者HP】
http://www.yuskin.co.jp/about/kakugen/

日めくりカレンダーというと懐かしい響きがします。
健康物や、歴史上の人物の名言が定番ですが、素朴なあじわいのある市民の格言も良いものです。
2018年の優秀賞である「うつむいた 時しか気づかぬ 花もある」なんて、じんわりときます。
応募締切は平成30年7月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:格言
テーマ :特に無し
優秀賞 :旅行券5万円分
応募締切:平成30年7月31日
応募方法:インターネット、はがき
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【書評】長谷川煕・永栄潔『こんな朝日新聞に誰がした?』 [書評]

朝日新聞OBによる対談等を集めた本です。


こんな朝日新聞に誰がした? (WAC BUNKO 241)

こんな朝日新聞に誰がした? (WAC BUNKO 241)

  • 作者: 長谷川熙・永栄潔
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2016/12/19
  • メディア: 新書



基本的にオピニオン誌に掲載した対談を再編集した本です。
テーマの中心に朝日新聞が座っていることは一貫していますが、朝日新聞のどこを問題視しているかについては、章毎に分かれています。
全体的な印象ですが、「事実」より「報道する側が信じる真実」を優先してしまうと、ゆがんでしまうのかなあと。
朝日新聞を始めとするオールドメディアだけに限った問題ではありませんが。

報道について様々な見方をしたいひとのために!

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【掌編】齊藤想『鮎釣り』 [自作ショートショート]

TO-BE小説工房(第38回)に応募した作品です。
テーマは「鮎」でした。

―――――

『鮎釣り』 齊藤想

 四階建ての小さな社宅に下着泥棒が現れたとき、桑田の頭に浮かんだのは、最近引っ越してきたばかりの葦原という男だった。彼は仕事が終わると、裏側にある空地で釣竿を振り、鮎つりの練習をしていた。
 下着泥棒があまりに頻発するので、社宅の代表として桑田は地元の防犯会議に呼ばれていた。防犯会議といっても、メンバーは桑田の他に自治会長と副会長がいるだけだ。自治会長の奥さんが淹れてくれたお茶をすすりながら、井戸端会議に毛の生えたような話し合いが自治会長宅の縁側で続く。
「葦原さんにはあんなに綺麗な奥さんがいるのにねえ」
 というのが自治会長の言葉だ。ようするに葦原が釣り針で下着を引っ掛けて、盗んでいるのだろうと推測している。近所で植木屋をしている副会長も同意する。
 下着泥棒が頻発するようになった時期と、蘆原が引っ越してきた時期が重なっていることも、自治会長の推測を裏付けていた。
「ところで桑田さん」と自治会長が尋ねる。「葦原さんについて、社内で何か噂は聞いていないかね。例えば過去に性犯罪を犯したことがあるとか」
 これを聞くために、桑田は呼ばれようなものだ。
「そのような話は聞いたことがありませんし、もし警察に逮捕されていたら会社を首になっています。ちなみに、蘆原は鮎つりのために地方都市を希望したと聞いていますが」
「田舎者をなめてもらっては困る」
 赤ら顔の副会長が怒り始めた。どうやら、葦原は人の目が少ないから犯罪を起こすのだと決め付けているらしい。副会長は都会人への反発も隠そうとしない。まあまあ、と綺麗に禿げ上がった自治会長がなだめる。
「警察に任せるべきでは」と桑田が常識的な意見を言うと、自治会長が静かに首を横に振った。
「犯罪者を出すことは地域の恥になります。警察が捕まえる前に我々で捕らえて、このような行為を止めさせなければなりません。だから我々で見回りをするしかないのです」
 桑田は困ったことになったと思いながら、かといって自治会長に逆らうこともできず、静かにお茶をすすった。
 次の日から、毎日張り込みをすることになった。社宅の裏側はススキが生い茂っており、隠れるのに丁度良かった。ただ、夜になると寒かった。
 観察をしていると、葦原は毎晩のように鮎つりの練習をしていた。鮎は友釣りといって鮎の攻撃性を利用して釣り上げる。擬似鮎を縄張りの中に投げると、鮎が追い出そうとする。そのときに釣り針をひっかけるのだ。
 三人が「こんばんわ」と挨拶をすると、葦原は静かに会釈を返し、まるでまずいシーンを見られたかのように部屋に戻る。
「やっぱりあいつが怪しいのではないか」
 副会長が桑田に詰め寄る。そういわれても、確たる証拠もなく同僚を責めることもできない。桑田が黙っていると、自治会長が副会長に提案した。
「三人で見回っては、目立ちすぎて犯人も警戒する。毎日もしんどいので、日にちを決めて、一人ずつが良いのではないか。ススキの影に隠れていれば、犯人にも見つからないだろうし」
 桑田も連日はしんどいなあと思っていたので、すぐに同意した。なにより同僚を監視するようなことはしたくない。副会長はしぶしぶ同意した。
 しばらくして犯人が捕まったとの情報が入った。ススキに隠れていた葦原が、鮎つりの道具で犯人を捕まえたのだ。
 下着泥棒の犯人は副会長だった。桑田は副会長が植木屋であることを思い出した。仕事道具である高枝挟みで下着を盗んでいたのだ。
 副会長は葦原の妻が美人であることに憧れをいだき、盗みを繰り返したが、目標を隠すために隣近所の下着も盗んでいたという。
 葦原は当初から植木屋が怪しいと睨み、自治会長に相談していたという。三人の見回りも、桑田を巻き込んだのも、副会長をおびき出す作戦だった。見回りの日を決めれば、見回りのない日に副会長が動くに違いない。
 副会長が動く可能性が高い日に、葦原は鮎つりの練習から帰るふりをして裏庭に戻り、じっと待ち続けた。三人が見回った日に、鮎つりから帰るところをみせたのも、副会長を油断させる作戦だった。
 副会長は葦原が鮎つりから戻るのを見て、裏庭が無人になったと思い込み侵入したが、犯行に及ぶ直前に密かに戻ってきた葦原に釣り上げられた。副会長は突然飛んできた擬似鮎を交わすことができなかったという。
 葦原は、今日も裏庭で鮎つりの練習をしている。

―――――

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