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【書評】小山文雄『明治の異才 福地桜痴~忘れられた大記者~』 [書評]

福澤諭吉と並んで「天下の双福」と称された大記者の評伝です。


明治の異才 福地桜痴―忘れられた大記者 (中公新書 (743))

明治の異才 福地桜痴―忘れられた大記者 (中公新書 (743))

  • 作者: 小山 文雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1984/10
  • メディア: 新書



福地桜痴の人気絶頂は明治一桁から14年です。
幕臣から新政府に入り、欧州、アメリカへ計3回旅立ちます。
その後新政府を辞任し、新政府を攻撃する新聞社を設立、発禁処分。
東京日日新聞(現毎日新聞)に入社し、主筆として活躍、のちに社長。西南戦争の戦争報道で一躍有名となります。
その後、開拓使官有物払下げ事件を契機とする自由民権運動の高まりの中、運動の中心人物のひとりと目されますが、明治14年の政変前後に10日前後だけ日和のような記事を続けただけで人気が地に落ちてしまいます。
後年は半ば忘れ去れたひととして、小説、歌舞伎の脚本などを書き続けて世を去ります。
福地桜痴の年譜を見ると、本当に様々なことがあった時代だと思います。
日米和親条約から日露戦争終結後のポーツマツ条約まで、わずか66年の人生で見届けたことになります。
本書は福地桜痴の評伝であるとともに、良質の幕末史にもなっています。
当時の雰囲気を良く伝える佳著だと思います。

幕末~明治維新が好きなひとのために!

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