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【公募情報】第7回蜂蜜エッセイ(随筆・1/31〆) [公募情報]

主催者は鈴木養蜂場です。

〔主催者HP〕
https://www.suzuki83.com/form_mail/kobo/essay.html

鈴木養蜂場は大正12年創業で、社歴は100年を超えます。
その老舗養蜂場がエッセイを募集しています。
「蜂蜜エッセイ」となっていますが、蜂蜜に限定するものではなく、蜂産品ならOKです。
つまり蜂の子についてのエッセイも可能です。
過去受賞作は主催者HPで公開されていますので、こちらを参考にしても良いと思います。
制限文字数は1000文字程度、応募締切は令和5年1月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:随筆
テーマ :蜂産品等
最優秀賞:アカシア蜂蜜2.4kg
制限文字数:1000文字程度
応募締切:令和5年1月31日
応募方法:主催者HP
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【書評】門田隆将『オウム死刑囚 魂の遍歴 ~井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり~』 [書評]

ノンフィクション作家渾身のドキュメンタリーです。


オウム死刑囚 魂の遍歴 井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり

オウム死刑囚 魂の遍歴 井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり

  • 作者: 門田隆将
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本



井上嘉浩はどこにでもいる普通の青年でした。
それがまだヨーガ同好会だったころのオウムに入信し、教祖が徐々に変貌していく中でもオウムを捨てきれず、犯罪行為に手を染めてしまう。
彼が残した膨大な手記と度重なる取材で、井上嘉浩という人物を通してカルトに染まっていく人間の恐怖をあぶりだします。
松本智津夫が信徒を捜査する原動力は恐怖です。井上嘉浩は異常性を感じながらも、葛藤を合理化で処理してしまう心の動きが見られます。
井上嘉浩は勉強家で、宗教的な精神に富む魅力的な人物だったようです。
逮捕後、家族や周囲の協力者の力で自分を取り戻していきます。
最後は死刑判決となりますが、オウムによって人生を曲げられてしまった青年の記録として読むこともできると思います。
いろいろなことを、考えさせれる本だと思います。

あの事件のことをもっと知りたいひとのために!
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第44期霧島酒造杯女流王将戦(里見香奈女流王将VS西山朋佳白玲) [将棋]

西山白玲が昨年度のリベンジマッチに挑みます。

〔中継サイト〕
https://www.igoshogi.net/shogi/Loushou_info/

霧島酒造杯女流王将戦は、囲碁将棋チャンネルにて生放送されます。
いま無料で様々な将棋番組が見られる時代に、月990円でどこまで視聴者を集められるのかちょっと疑問です。
囲碁将棋チャンネルで新銀河戦も開催していますが、いまいち話題になっていません。
海外でチェスの有料版番組などはあるのか、少し調べてみたい気分です。
ボクシングのメイウェザーVSパッキャオレベルの世紀の一戦とかなればスポンサーもつくのだと思いますが、通常営業でどれくらい採算ベースに乗るのかなあと。
youtubeなど動画をはじめとする様々なコンテンツがあふれています。
なかなか難しい時代だとは思います。

〔棋譜〕※徹底解説!将棋の定跡さんより
https://www.youtube.com/watch?v=lwegcEMeBUk

ということで将棋です。
いつもは中飛車に構える里見女流王将ですが、意表を突く居飛車です。
とはいえ飛車先を突くわけではなく、相振り飛車で飛車を振り忘れたかのような力戦形になります。
ただ、駒組が難しかったのか、中盤で西山白玲から5五歩から4五歩のスマッシュヒットを食らって飛車側の桂馬と守りの金の交換という大きな駒損となります。
そこから盛り上げて評価値としては互角に近い形勢までもっていくものの、終盤の里見女流王将らしい切り込みがやややりすぎでした。
西山玉を追い詰めるものの駒が1枚足りず、最後は反撃されて力尽きました。
103手まで先勝して、復位に向けて幸先の良い1勝を挙げました。

第2局は10月17日(月)に将東京棋会館で行われます!
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第35期竜王戦第1局(藤井聡太竜王VS広瀬章人八段) [将棋]

藤井竜王が初の竜王防衛戦に挑みます。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

将棋界のタイトルのうち、伝統と格式という意味では名人戦ですが、棋戦の序列としては竜王戦が第1位です。
将棋界において名人戦と竜王戦は別格のタイトルとして扱われています。
棋士の引退規定にも竜王戦のランキング戦が関係しており、仮に順位戦やフリークラス規定により引退となっても、5組に在籍していれば、竜王戦に限ってもう1年現役を続けることができます。
この規定により、竜王戦が現役最終の対局となる例が増えています。なお、4組以上であれば年数関係なく現役続行可能ですが、いまのところ例はありません。
年数を積み重ねることで、徐々に格式が増していくのだと思います。
さあ、五冠を保持する藤井竜王ですが、棋界最高位のタイトル防衛向けて、幸先の良い白星を挙げることはできるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/35/ryuou202210070101.html

ということで将棋です。
戦形は角換わり腰掛銀となります。王位戦は角換わりシリーズとなりましたが、竜王戦も角換わりシリーズになるのかもしれません。
先手は2五歩を保留しているのが少し昔の形で、1八香と一手パスして後手の飛車の位置をずらしてから、広瀬八段が4五歩と開戦します。
銀交換から先手は2五桂と跳ねて、保留型を活かします。
後手藤井竜王は先手の7七銀が8六に出動した隙を見て、薄くなった6筋から反撃しますが、この瞬間に6三銀が良い切り返しでした。
中盤で少し広瀬八段がリードを奪いますが、しかし藤井竜王相手にこのリードを守れるかどうかです。
しかし、今日の広瀬八段の指しまわしは見事でした。
藤井竜王の強弱をつけた指し手に動揺することなく、逆転されないように手堅く局面を進めていきます。
藤井竜王は飛車捨てから広瀬玉に迫りますが、ここは広瀬八段も読み切っていました。
堂々と受けて立ち、107手目の5五角打ちで藤井竜王を投了に追い込みました。本局については、広瀬八段が見事だったとしか言いようがないと思います。

これで広瀬八段が竜王復位に向けて幸先の良い1勝です。
第2局は10月21・22日に京都府京都市「総本山仁和寺」で行われます!
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【公募情報】第1回聖書エッセイコンテスト(随筆・12/31〆) [公募情報]

「聖書ラノベ新人賞」とのコラボ企画です。

〔主催者HP〕
https://www.bible.or.jp/bibleessaycontest.html

主催者は日本聖書協会です。
テーマは「わたしのバイブル」「わたしとバイブル」で、ご自身の聖書とのかかわりを綴ったオリジナルの随筆を募集とのことです。
選考委員は林あまりと清涼院流水で、前者は歌人、後者はミステリ作家なので、コチコチのキリスト教エッセイとは少し趣が違うのかもしれません。
なにしろ第1回なので予想がつかないです。
制限文字数は1000~1200字、応募締切は令和4年12月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:随筆
テーマ :「わたしのバイブル」「わたしとバイブル」
大  賞:ギフトカード5千円相当
制限文字数:1,000~1,200字
応募締切:令和4年12月31日
応募方法:NOVEL DAYS、投稿フォーム

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創作状況【10月上旬】 [ぼくの公募状況]

図書館で借りようと思った 吉川英治『源頼朝』 が予約中でびっくり。大河ドラマの影響ですかね。

【第181回のメュー】
◆創作に役立つ作品 ~ 北野勇作 『白昼』 ~
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第12回)
◆W選考委員版・小説でもどうぞ!に挑戦中(第1回)
◆公募情報数点

 メインテーマは不条理系のキモについてです。 
 次回発行は11月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/
 ※ページの下の方に登録フォームがあります。


【ショートショートガーデン】
生物シリーズの第12弾です。あともう少し続きます(汗)

〔いのる犬〕
https://short-short.garden/S-uCTtDR


【小説でもどうぞ】
W選考委員版のテーマは「約束」。
ということでアイデアを作るが、いまいちシックりするのが出てこない。ショートショートにするならまあまですが、小説でもどうぞは掌編ですからね。
ということで、最初から3つは没にして、ショートショートガーデン用に書き直しました。
とりあえず完成させないと、次のアイデアがでないひとなので。
4つめのアイデアで、掌編らしく5枚にまとめられそうな雰囲気が出る。
とりあえず、これを進めてみます。


【yomeba!】
入賞作品を読んでいきます。
・望月滋斗『裏ワザ』
現実世界に裏ワザがあったら、という発想の作品です。
主人公は小学生。同級生から教わった裏ワザで、様々な得をします。給食のから揚げが増えたり、宿題がいきなり終わったり、お小遣いが増えたりと、小学生らしい展開がとてもグットです。
ただ、もちろんいいことばかりではありません。
そこから問題が発生するのですが、いかにも、ある年齢以上ならアルアルと言いたくなりそうな展開です。
ただ、初期設定に戻るのなら記憶もすべて飛ぶはずだけどなあ、と思いつつ。
全体を通してみると、ショートショートらしい佳作だと思います。


【星新一賞】
第9回受賞作の続きを読みます。
・学生部門 準グランプリ 『静けさや』瀧澤諒
文章的に難があるかな、というのが自分の率直な印象です。かなり気合の入った冒頭の文章ですが、書きたい文章を書いているだけで、読者を物語に引き込むための情報が不足しています。
登場人物が次々と出てきますが、関係性が分かるのが後ででてくる「父娘」「義父」といったワードがでてきてからです。
関係性が分からないとイメージが湧かないので、そのワードが出てから、また冒頭を読み直したりして、快適な読書にはなりませんでした。
「オーリス」という快適な言葉だけを受け入れる補聴器という小道具は、星新一賞らしくて、とても面白いと思います。


【坊っちゃん文学賞】
しばらく休眠ですね。
良さそうなアイデアが出たら、メモだけ残します。
と書きつつ、このメモがたまってきて、たまには書かないとと思いつつ。


【創元SF短編賞】
基本設定はあるんだけど、そこから上手くストーリーになってくれない。
いろいろな手法を使っていますが、一長一短で、どうもピンとこないなあ。
まあ、無理せずにおいおい考えます。


【その他モロモロ】
・泡盛川柳にでも応募しようかな。10/15締切です。
・うまい棒川柳でも応募しようかな。11/30締切です。
・SIer川柳に応募しました。 「JARSIA」15号誌上(2022年10月発行予定)
で発表です。
・宇宙文化創造コンテスト宇宙川柳は最終候補を発表中。
・第9回朝礼川柳に応募しました。発表は10月10日です。
・第18回台所・お風呂の川柳に4つ応募しました。10月中旬発表です。

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最近の日常【令和4年10月上旬】 [日常]

〔9月の株状況〕
最後の週にぐーっと下がる。
欧米のインフレ過熱が看破できないレベルとなり、次々と利上げ発表。となると景気減速の恐れから株価下落といった流れです。
とはいえ、いままで順調すぎたので、少しぐらい下がったぐらいで丁度よいのかなと。
自分は売買益を出すことが目的ではなく、配当金・株主優待がメインなので、これから買い増すことを考えると、もう少し下がってもよいかなあと。
ウクライナ・ロシアの戦争ですが、ロシアの戦力が限界に達して、ロシア国内の動揺が広がっているようです。
突如としてプーチン政権が倒れて、和平になるかもしれません。
戦争が終われば株価がぐーっと上がると思うので、その前に仕込んでおきたいなあという気持ちはあるのですが、タイミングがなんともかんとも。
……とか思っていたら、10月に入っていきなり株価が戻る。難しいものです。

欧米の利上げが続くので、しばらくは円安基調が続きそうです。
GDP的には円安が有利だし、企業業績も上向きです。
個人的には日銀は下手な介入などせずに(どうせ一時的な効果しかないのだから)、このまま放置して欲しいなあと思いつつ。


〔コロナワクチン4回目接種券の話〕
コロナワクチン4回目接種券が届いた。
というか、4回目接種があること自体、まったく知らなかった。それだけ興味が薄いといいますか。
正直、面倒だし意味もないと思っているけど、届いたからには接種しないとなあ。
職場に対する建前もあるし。
新型コロナは弱毒化が進み、高齢者や基礎疾患のあるひとをのぞけばほぼ重症化しないし、死亡するリスクもインフルエンザと対して変わらない。
それでもいまだに感染病法の2類相当で、5類に落とされていないため、感染するといろいろと迷惑が掛かってしまう。
やむを得ないと思って予約しようとしたら、いつもの医院が「10月はインフルエンザワクチン接種優先でコロナワクチン接種は11月から」との話。
まあ、それが肌感覚として正解でしょう。
ということで、予約が可能になったら接種します。はい。
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第70期王座戦第4局(永瀬拓矢王座VS豊島将之九段) [将棋]

永瀬王座の2勝1敗で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/

対局場の陣屋といえば、昭和27年におきた陣屋事件です。
当時の王将戦は七番勝負の三番手直りで、三番勝ち越すとタイトルが移動しますが対局は七局目まで行われ、しかも指しこまれた対局者は平手・香車落ちを交互に指すことになります。
挑戦者だった升田幸三が、当時の名人だった木村義雄相手に三番勝ち越して香車落ちでの対局なったその日に、旅館の不備を理由に升田幸三が対局を拒否するという陣屋事件は起きました。
この事件の真相について、升田幸三が死ぬまで語らなかったためいろいろな憶測が飛び交っています。
ただ、升田幸三が三番手直りの制度に反対していたことから、ちょっとしたいさかいを理由に、対局を拒否したのかなとも思います。
これから先も、ずっと、語り継がれる事件だと思います。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/70/ouza202210040101.html

ということで、将棋です。
先手は豊島九段で角換り腰掛け銀に進み、後手永瀬王座は待機戦術です。
この形はお互いに細かい手待ちをすることが多いのですが、先手後手ともにお互いの道を進みます。
先手豊島九段は4六角と手放して後手からの攻めを押さえると、飛車を細かく動かして角の打ち込みを消しながら穴熊までくみ上げます。
後手永瀬王座は右玉まで引越し、金銀を引きつけ万全の状態で先手からの攻めを待ちます。
駒組みが飽和状態になったところで、豊島九段から戦端を開きます。
しかし、若干攻めが細かったようです。
後手に馬を作られて攻め駒を一掃されて、さらに桂損となるといくら玉形に差があるといっても実戦的には難しいのかなと思います。
しかし、永瀬王座の玉は薄いので、一発入ると寄せられてしまいます。
豊島九段も細い攻めをつなぎ互角の形勢を保ちますが、最期は切れ模様になってしまいました。
最終盤で、永瀬王座は入玉を目指します。
豊島九段も後手の飛車を奪い、少ない駒で防波堤を築こうとしますが、後手玉を守る馬角と金銀のスクラムを押し戻すことは困難でした。
184手まで豊島九段が潔く投了し、これで3勝1敗で永瀬王座が防衛を決め、これで4連覇達成となりました。

永瀬王座おめでとうございます!
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第7回「高橋源一郎小説でもどうぞ」で『味のある写真』が佳作に選ばれました! [受賞報告・自作掲載]

少し前の話ですが、記録として残すためにUPします。
ありがたいことに、「小説でもどうぞ」で初めて佳作をいただきました。

〔高橋源一郎 小説でもどうぞ〕
https://www.koubo.co.jp/reading/rensai/oubo/douzo/douzo07/douzo07_a8.html

〔作品 齊藤想『味のある写真』〕
https://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2022-05-16-6
※作品は上記URLを参照

今回はショートショートです。
いま、2つのアイデアを組み合わせる手法を試しています。
本作では「味のある写真→本当に味がある」「失敗=すっぱい」というアイデアをミックスしてみました。
組み合わせ法の発展形でなので、机上の理屈はとても有効そうですが、実際に手を動かしてみると非常に難しかったです。
実作して、初めて分かることも多々あります。
そもそも、アイデアを組み合わせるのが難しいです。
ふたつのアイデアではほぼ挫折するので、とにかくアイデアを増やして、たくさんの組み合わせを試す必要があります。
メインアイデアを決めて、そこに組み合わせるサブアイデアを考えて、ストーリーとして成り立つかどうかをチェックする流れです。
本作はたまたま上手くいきましたが、現段階では成功率は低いです。今後も研究が必要な手法です。
ストーリー上の技法をひとつだけ。
本作は衝突の原理を使用しています。
女子大生が彼女なりに真面目に写真に取り組んでいたのですが、完成したのがセンスの欠片もない失敗作で、さらにくだらないオチがまっている。
真面目と下らないことをぶつけるのが、衝突の原理です(と、習いました)。
何度も取り上げていますが、それだけ使用頻度の高い技術ということで。

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……という感じで自分のメルマガでちょっとした解説を書いています。
毎月、創作に役立つミニ知識をメルマガで公開していますので、ぜひとも登録を。
もちろん無料です!

【サイトーマガジン】
https://www.arasuji.com/mailmagazine.html
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【SS】齊藤想『離婚式』 [自作ショートショート]

小説でもどうぞ第11回に応募した作品です。
テーマは「別れ」です。

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 『離婚式(採用ver)』 齊藤 想

 慎吾の目の前のテーブルには、すでに緑色の離婚届と、二つのワイングラスが並べられていた。
 向かい側に座る妻の翔子は、ワイングラスを指先でつまむようにして持ち上げると、慎吾にウインクを投げかけた。
「辛気臭い話はなしよ。今日は二人の門出の日なのだから」
「そうだな」と慎吾も翔子に合わせるようにワイングラスを持ち上げると、軽く重ね合わせた。
 カチンという乾いた音が、不思議な余韻を持って室内に響く。深紅の液体がグラスの中で踊る。
 慎吾は実感した。今日をもって、自分は翔子の夫ではなくなる。明日から、二人は新たなる道を歩み始める。
 最初から、この結婚に無理のあることは承知していた。慎吾はゲイで、翔子はレズだ。性的志向は真逆だが、ただ二人でいるだけで楽しく、学生時代から社会人を通じて、一度も離れたことが無かった。
 それで思い切って結婚に踏み切ったのだが、友人関係と夫婦関係というのは異なるものであることを痛感させられた。
 成長と変化の無い単調な生活が続き、このままで一生が終わるのかという焦り似た感情が二人を包み込むのに、それほど時間はかからなかった。
 慎吾は半分に減ったワインを、グラスの中で軽く転がす。
「いま思うと、自分は夫としては失格だったかもしれない。世間の夫がするような、汗水たらす力仕事は苦手だし、大きな決断も避けてきた」
 翔子が首を横に振る。
「私だって、苦手な家事は真吾に押し付けてきたし、貴方が欲しがっていた子供にも興味がなかったし」
「平日は二人で働き、夕飯は一緒に食事を作り、週末は二人で外出する。はた目には幸せそうに見えたが、二人の関係を変えるのが怖かった。ぼくは臆病だった」
「それを言うなら、私だって同じよ。いつまでも次のステップに踏み出せずに、まるで赤ん坊のように、うじうじといまいる場所に座り続けて」
 翔子のワイングラスが空になったのを見て、慎吾はワインボトルを傾けた。翔子のグラスが艶やかに輝いた。
「慎吾には悪いことをしたわ。あげくのはてに将来のことでケンカして、大人なのに殴り合ったりして」
「あのときの翔子のパンチは痛かったぞ」
「そりゃそうよ。慎吾なんかに、負けていられないから。それで、売り言葉に買い言葉になって、そのまま二人で病院に駆け込んで」
「あのときの医者の顔は傑作だったな。そうして、こうなったと」
 慎吾は目の前の離婚届を、軽く指先でつついた。すでに二人の名前は書かれている。あとは署名して捺印するだけだ。
「どうしても、翔子と離婚しないといけないんだな」
「もう後には戻れないの。そのために、今日まで準備してきたのだから」
 離婚届の下には、家庭裁判所への申立書が用意されている。
「医者の診断や手術だけではダメなの。性別変更を申し立てるには、独身でなければいけないから」
「そのために一旦離婚して、お互いの性別変更が認められたら再婚すると」
「そういうこと。最初から踏み出していれば良かったのよ。手続きが大変そうとか、手術が怖いとか、二人してしり込みして、やってみれば大したことなかったじゃない」
「本当の自分に生まれ変わった気分だ。これで、思いっきり愛し合えるな」
「まあ、慎吾ったらはしたない。それに、性別と名前だけじゃなくて、言葉遣いも変えないとね」
「こんな感じかしら。これから、二人で愛し合いましょう、みたいな」
「そうそう、その調子で」
 翔子はほほを染めたが、ワインのせいかどうかは分からない。二年前から続くホルモン治療の成果で妻は筋骨隆々になり、声も低い。慎吾も胸が膨らみかけている。もちろんお互いに性器の手術も完了している。
 慎吾はスカートの裾を抑えながら、タンクトップ姿の翔子にしなだれかかった。翔子が慎吾の肩をしっかりと抱きしめる。
 慎吾は、自分らしく生きられる時代になったことを心から喜んだ。
 二人の門出とこの新しき世界に、最大限の祝福を。 


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次はボツバージョンです。

ーー 

『離婚式(ボツver)』 齊藤 想

 紅白のスーツを着た司会者が、手にしたマイクを口元まで運んだ。参列者に向かって、朗々とした声で開式を宣言する。
「これから慎吾君と翔子さんとの離婚式を執り行います。結婚生活約5年。友人にも言えない悩みがいろいろありました。二人は毎晩のように真摯な協議を重ねた結果、新たな道を歩むことを決断されました。では離婚される夫婦のご入場です」
 スポットライトが二人に当てられる。白いスーツで決めた慎吾と、バラのようなパーティードレスに身を包んだ翔子だ。
 離婚式に出席した友人たちは、だれもがこの日が来ることを予感していた。
 そもそも新郎はゲイで、新婦はレズだ。二人が交際を始めたときも驚いたし、結婚すると聞かされてだれもが腰を抜かした。夜の生活はどうするのだろうと、だれもが囁いていたが、やはりこの日が来てしまった。
 逆によく五年間も続いたと思う。結婚するぐらいだから、性格が合ったのだろう。
 ただ、それは友人としてであって、夫婦とは異なるものだった。そう気が付いてしまったのかもしれない。
 二人の気持ちは立派だが、結婚は両性の結合という本能には敵わなかったのだ。
 元夫婦は司会に促されるようにして頭を下げた。スポットライトが少し下がる。二人の女の子が映し出される。
 私は驚いた。夫婦には子供もいた。いったいどういうことだろうかと混乱したが、他の出席者は二人の秘密を知らないだけに、自然なことと受け止めている。
 子供は二歳と四歳ぐらいだろうか。小さなドレスに身を包み、困惑気味に両親を見ている。二人に性的接触があったとは思えないので、特別養子縁組かもしれない。
 この子たちはの養育は、これからどうするのだろうか。
 私の疑問をよそに、式は披露宴のように進んでい。二人の思い出ともいえる夫婦生活のビデオ。お互いに送る感謝の手紙。なぜか豪勢な料理。ウエディングケーキならぬ離婚ケーキへの入刀。司会からの「最後の共同作業です」の声がむなしく響く。
 イベントがひと段落した段階で、元夫婦は控室に戻った。お色直しだろうか。
 司会にスポットライトが浴びせられた。
「それではお互いに新しいパートナーを紹介します」
 おいおい、本当かよ、と私は思った。子供たちは大人しく席に座っている。二人にとってトラウマにならないのか。親権はどうするのか。
 そうした心配に思いを馳せる間もなく、入場口から新しいパートナーが登場した。そこに立っているのは、白いスーツに身を包んだ元妻と、純白のドレスを着た元夫だった。
 何が起こっているのか、私の理解の範疇を越えている。
「新郎は夏美さん改め夏夫さん。新婦は智之さんあらため、智子さんです。二人はすでに性転換手術を受け、こうしてかわいらしい子供も授かっています。様々な準備が整ったのだ、大安吉日の本日をもって離婚し、新たなる夫婦として結婚することとなりました。戸籍上はいろいろあって、変更ができないのですが、せめて新しい門出をみんなと祝いたいということで、離婚式を執り行わせていただきました。二人に盛大な拍手を」
 会場はわっと盛り上がった。
 科学技術の発展で、本能を超越できる時代がきたのかもしれない。それと、ほんの少しの優しさと。
 晴れやかな新郎新婦を見て、私はそんなことを思った。

―――――

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