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第60期王座戦第4局(渡辺王座VS羽生王位) [将棋]

【王座戦中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/ouza/

渡辺王座(竜王)はタイトル戦に負けたことはあるけど、タイトルを失ったことはありません。
タイトル戦で負けたのはいずれも挑戦者のときで
2003年 王座戦(対羽生王座)
2007年 棋聖戦(対佐藤棋聖)
2011年 棋王戦(対久保棋王)
の3回だけです。あとは全て勝利しています。
王座戦はここまで1勝2敗とカド番に追い込まれていますが、羽生相手に3連敗から4連勝の離れ業を達成したこともあります。
渡辺王座の獲得タイトル数は歴代7位の9期、初の永世竜王とすでに棋界に名前を残す棋士ですが、ここから大棋士となるには、奪ったタイトルは離さないという防衛力の強さがものをいうと思います。
4位谷川浩司27期、5位米長邦夫19期といった偉大な記録に近づくには、第4局、第5局は大きな勝負になると思います。


【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201210030101.html

ということで将棋です。
最近、羽生二冠は後手番で振り飛車を用いることが多いです。
今回も振り飛車でしたが、流行の角交換ではなく2手目3二飛車戦法です。
そこからどのようは変化があるのかと思いきや、渡辺王座が自重し、古色漂う昭和の将棋になります。
高美濃自体があまり見ないような気がします。
そこから玉頭戦に移り、お互いに飛車を振りなおします。
この乱戦のなか、いかにも取られそうな桂馬をするすると跳ねさせして、5七桂まで進めた羽生二冠が優勢になります。
ところが、おそらく102手目の6九桂成あたりから怪しくなります。
6二に銀をかけられ、7四桂と打たれると一気に羽生玉が狭くなります。
少し前までは先手に攻める手がないといわれていたのが、一気に詰めろです。
そこから羽生二冠が銀捨ての奇手をひねり出し、142手までなんとか千日手に持ち込みます。
お互いに持ち時間は2、3分という熱戦でした。
ただ、優勢だった羽生二冠からすれば痛い、劣勢だった渡辺王座にしたら救われた一局だったかもしれません。


【指し直し局】
http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201210030102.html

そして指し直し局です。
一般的に将棋は先手有利といわれていますので、先手番を握った羽生王座としては千日手で御の字なのかもしれませんが、全局が優勢だっただけに心理面での影響が心配されます。
将棋は羽生王座が得意とする持久戦型の矢倉になりました。
先手番で持久戦型を採用して、負けるシーンはほとんど見ません。
この王座戦シリーズでは、羽生王座にしては珍しく、勝ちにこだわった作戦採用が目立つように思います。
そこから先手銀損定石に移ります。
銀損して互角というのは不思議な定石ですが、2一桂が5三に移ることで端が弱くなるので、これでバランスが取れているようです。
そこから先手が猛攻をしかけて、後手玉を2二から追い払い、守り駒をポロポロ取りながら迫ることで、いつのまにか先手駒得になります。
119手目に龍が銀を取った時点で、羽生側に金銀7枚が偏ります。このあたりで、将棋の行方ははっきりしたと思います。
勝勢になってからは羽生二冠は焦らず確実に、最後は鋭く踏み込んで147手で勝利しました。

渡辺王座は初のタイトル失陥で竜王だけの一冠に後退しました。羽生新王座はこれで三冠で、王座獲得は20期と大山康晴十五世名人が持つ同一タイトル最多獲得記録(王将20期)と並びました。
今シリーズは終始羽生新王座が押していたように見えます。
渡辺竜王としたら、得意としていた羽生戦での痛いタイトル失陥です。

今月中旬から竜王戦が始まり、平行して王将戦の挑戦権獲得を目指すリーグ戦が行われます。
渡辺竜王のこれからの踏ん張りに期待したいと思います!
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