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【書評】髙橋洋一『FACTを基に日本を正しく読み解く方法』 [書評]

定量的議論と「川を上り、海を渡る」のススメです。


FACTを基に日本を正しく読み解く方法 (扶桑社BOOKS新書)

FACTを基に日本を正しく読み解く方法 (扶桑社BOOKS新書)

  • 作者: 高橋 洋一
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2020/04/30
  • メディア: Kindle版



本書ではあまり触れられていませんが、定性的と定量的の違いを把握する必要があります。
定性的とは数値・数量的に表せない性質をさし「好き、嫌い」といった感情的なジャンルもここに入ります。
定量的とはその逆で、数値や数量的に表せる性質のことです。
著者の特長は、徹底的に定量的に議論し、定性的な議論には乗らないことです。
すべて数字で表すので、議論に強いし、説得力もある。
貿易赤字になると大騒ぎになりますが、実は景気との関連性はほとんどありません。
経済が発展すると貧富の差が拡大することは、資本収益率と所得収益率の差で簡単に説明できます。
このような調子で、数字による議論で、日本にはびこる俗論をバサバサと切っていきます。

ただ弱点もあり、まだ定量化されていない要素があると、そこが完全に抜け落ちてしまいます。また、どうしてもマクロ的視点になるので、現場では必要となるミクロの視点とのバランスが難しいです。

著者が主張するもうひとつの議論のカギが、「川を上り、海を渡る」です。
これは著者が完了時代に先輩から教わったそうですが、「川を上り」とは歴史や経緯を調べること。「海を渡る」とは、海外の事例を調べることです。
これは非常に有効で、定量的議論と組み合わせれば、そうそう間違えることはないのかな、という気がします。
少なくとも非常識な結論には至らないと、経験上からも言えると思います。

怪しい議論に惑わされないために!
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