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【映画】スタンド・バイ・ミー [映画評]

誰もが認める青春映画の傑作です。


スタンド・バイ・ミー [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2015/12/25
  • メディア: Blu-ray



舞台は1959年のアメリカの片田舎です。
ふとしたことで電車に撥ねられた死体があると聞いた少年4人が、死体を探すために2日間の旅に出ます。
あらすじとしては、これだけです。
中心人物は主人公である細身で知的な少年と、ガキ大将のクリスです。
2人にはそれぞれ葛藤があります。
主人公は優秀な兄がいて、両親はその兄を溺愛していました。ところがその兄が交通事故で死に、両親が放心状態まま立ち直れません。
クリスの兄は不良で、家の経済状態も悪いです。クリスも不良のレッテルを張られ、それを認めるかのように煙草をふかします。
仲間4人は、喧嘩をしながらも、死体を見つけます。しかし、そこに現れたのはクリスの兄で、不良グループでした。
映画の冒頭で、主人公は不良グループに大切にしていた兄の帽子を奪われますが、取り返すことができません。クリスも兄に屈服します。
ところが映画のクライマックスでは、クリスは最後まで兄に抵抗し、主人公も不良グループに銃を突きつけることで撃退します。
二人は心に潜む劣等感を跳ね返し、成長する姿を見せてくれます。
ミッドポイントは、主人公とクリスが語るシーンです。いままでリーダーとして引っ張ってきたクリスが、主人公に本当の胸の内を吐き出します。
このシーンが、エピローグへと繋がっていきます。
何か特別な出来事があるわけではありません。ひとつひとつは小さなエピソードです。そうしてエピソードを有機的に繋げて、これだけの映画に仕上げるのは原作の良さもさることながら、余計な演出を排除した監督の力量と、脚本の妙なのだと思います。
製作費8百万ドルに対して、興行収入は北米だけで52百万ドルの大ヒットとなりました。

青春映画の金字塔と言われる名作を堪能したいひとのために!
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【書評】吉田篤弘『という、はなし』 [書評]

フジモトマサル氏の絵に吉田篤弘が物語をつづります。


という、はなし (ちくま文庫)

という、はなし (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: 文庫



本書は、筑摩書房のPR誌「ちくま」の連載をまとめたものです。
「読書の情景」というテーマでフジモトシマサル氏が絵を描き、その絵を元に吉田篤弘がショートストーリーをつづります。
あとがきで明かされていますが、フジモトマサルとの事前の打ち合わせは一切なかったそうです。
突然イラストが送られてきて、「あとはよろしく」というスタイルとのことです。
吉田篤弘が絵を見て想像を膨らませるのですが、ここに目線が行くのか! と思う話がテンコモリです。
発想として面白いのは『何ひとつ変わらない空』ですが、個人的には『読者への回帰』です。

>「読者であること」
>肩書はそれだけでいい。

という締め方は絶品だと思います。
なにより文章が上手です。自然体でありながら、過不足なく情報を伝えてくれるこの文体は、真似しようとおもっても簡単にできるものではないと思います。
感嘆しました。

いい文章のショートストーリーを楽しみたいひとのため!
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