SSブログ

【映画】ブレードランナー [映画評]

ヒューゴ―賞を始めとして受賞多数で、後世にも影響を与えたSF映画です。


ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray]

ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: Blu-ray



舞台は2019年のシカゴ。とはいえ公開年が1982年なので近未来のイメージです。
世界は酸性雨で荒廃し、パトカーは空中を飛び回り、ブラウン管のモニターは健在で、強力わかもとがガンガンに宣伝しています。
近未来予想はいかに難しいということの証明です。
さて映画ですが、ロボットの代わりに人造人間が実用化された世界です。
人造人間は知力・体力とも優れているため様々な場面で活躍していますが、長期間使用されると感情を持ち、人間に反乱を起こす可能性があるため寿命が4年と制限されています。
その人間が脱走して人間社会に潜伏したため、ブレードランナーという専門の捜査官が、人造人間の排除に向かうというストーリーです。
同時期に公開されていたのがETで、退廃的な世界を描くSFは流行らなかったそうです。
映画は全体的に暗いトーンで統一されており、荒廃した人間社会と人間の心が、画面と通して訴えかけてきます。
人間とまったく同じ姿なのに、使い捨てされる人造人間。
人間とまったく同じ姿なのに、容赦なく殺害するブレードランナー。
開発者の教授は、人間らしい感情を得た人造人間から「寿命を伸ばしてほしい」と懇願されましたが断り、殺害されます。その教授の秘書も人造人間で、しかも感情と持ち始めています。
しかも、ブレードランナーに恋をするという感情を。
その一方で、男性人造人間は、殺された仲間の恨みを晴らすために、ブレードランナーを一息に殺さずにいたぶりますが、寿命が来たことを悟ると人間らしい感情を取り戻してブレードランナーを救い、希望の言葉を残して命がつきます。
ブレードランナーは女性の人造人間を助けて、そこで映画は終わります。
痛快な映画ではなく、生命倫理を問いかける映画です。
1982年の段階では、生命を自由に操れるような技術は夢物語ですが、いまや現実のものとなっています。
人造人間を誕生させるべきだったのか、人造人間が実現したら、彼らを人類はどう扱えばいいのか。
人造人間を殺し続けたブレードランナーの最後の行動が、監督の答えなのかもしれません。
製作費28百万ドルに対して興行収入41百万ドルと苦戦ですが、後世に影響を与えた記念すべき作品だと思います。

様々な博物館で小道具が展示されているSF映画の金字塔を体験したいひとのために!
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

【書評】倉知淳『占い師はお昼寝中』 [書評]

いつも昼寝ばかりしている占い師が怪奇現象を解決していきます。


占い師はお昼寝中 (創元クライム・クラブ)

占い師はお昼寝中 (創元クライム・クラブ)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/06/23
  • メディア: 単行本



基本的に安楽椅子探偵物です。
主人公は三十代でぐーたらな占い師ですが、心霊現象や占いを一切信じていません。
依頼人の”怪奇現象”には必ず原因があると確信しています。
そんな占い師が、依頼人から怪異な話を聞いて真実を看破し、占いと称しながら適当な魔物をでっちあげながら円満に解決する道筋をつけていきます。
系統としては猫丸先輩物と同じ感じです。

収録されているのは6編です。
『三度狐』……微妙に大事なものが次々に無くなります。もちろんイタズラなのですが、これだけの情報で、ここまで読み解けるのかなあ、という印象。
『水溶霊』……部屋中に様々な液体がバラ撒かれるというポルターガイスト現象が発生します。夫の無軌道さといい、このラストは、ちょっと可哀そうですね。
『写りたがりの幽霊』……暇な大学生にありがちな話です。心霊写真ネタです。
『ゆきだまロンド』……覚えもないのに「夫人を見た」というひとが次々と現れます。綺麗な話です。
『占い師は外出中』……占い師が外出中のめ、巫女役の美衣子が老人2人の相手をしますが、このオチだとなんでもアリのような気が。
『壁抜け大入道』……工場に泥棒が入り大金が盗まれます。カテゴリとしては密室物ですね。親を助けようとする子供の姿がいじらしいです。

探偵物には様々なバリエーションがありますが、これはひときわ奇抜な設定だと思います。
楽しい安楽椅子探偵物を読みたいひとのために!
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ: