第72期順位戦Ｃ級２組最終戦

昇級枠は３名。
９回戦で昇級を決めていた大石直嗣六段は最終戦も勝って昇級に花を添えました。
２番手、３番手だった澤田真吾五段、佐々木勇気四段は両者とも勝ち、自力で昇級を決めました。佐々木四段は史上５番目の若さでプロデビューした逸材です。来期の連続昇級も十分にあると思います。
各棋戦で活躍する永瀬拓矢六段は８勝２敗と好成績ながら、今年も昇級できず。これも巡り合わせなのでしょう。

降級点２点でリーチがかかっていたのが４名。
ベテランの藤原直哉七段は９回戦目で勝ち越しを決めており、降級点を１つ消しました。これで一安心です。
羽生善治三冠の研究相手ともしられ、序盤研究の知られている若手、長岡裕也五段は最終局で敗れて５勝５敗の指しわけに終わりました。来期もリーチが続きます。日本将棋連盟のメディア本部長として活躍中で、ニコニコ動画への露出も多い遠山雄亮五段も第９局、最終局と連敗し、降級点を消すことができませんでした。来期もリーチです。
渡辺明二冠の義兄に当たる伊奈祐介五段は無念のフリークラス行きです。一度はフリークラスから復帰したことがありますが、二度目があるかどうか。
今期降級点を受けて、新たにリーチとなるのは５０代のベテラン石川陽生七段、西川慶二七段と４０代の中堅増田裕司六段の３人です。来期は降級点２点が５人、１点が１２人と、生き残りをかけた戦いがより熾烈になっていく感があります。

大ベテランの内藤國雄九段は苦戦をしながらも、土壇場で相手玉が頓死するという大逆転で降級点を回避しました。これで健康であと３年は現役でいられます。最終局の牧野光則四段は王位戦のリーグ入りもしたことのある強敵ですが、最後まで諦めないベテランの闘志にちょっとやられたのかもしれません。
内藤九段にはこれからも健康に留意しながら、指し続けて欲しいと思います！

心配なのは、順位戦デビューした４人のうち２名が降級点を食ったことです。
力の無いものは去るしか無い厳しい世界ですが、苦労して勝ち取ったプロ棋士の権利なので、夢破れた奨励会員たちのためにも、来期はぜひとも降級点を消すような活躍をして欲しいと思います。