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第38期棋王戦挑戦者決定戦二番勝負第2局(渡辺竜王VS羽生三冠) [将棋]

羽生三冠先勝を受けての第2局です。棋王戦挑戦者決定戦は変則二番勝負なので、本局を制した棋士が郷田棋王への挑戦権を獲得します。

【棋王戦中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/kiou/

二人の対戦成績はほぼ五分ですが、大きなトピックスが2つあります。
一つは2008年の第21期竜王戦で、渡辺竜王が3連敗後に4連勝という大逆転でシリーズを制した戦いです。
第1局では渡辺竜王が「力の差を見せ付けられた」と嘆息するほどの完敗で、じつはこの頃まで羽生三冠が渡辺竜王を圧倒していました(第3局終了時点で9勝4敗)。
ところがこのシリーズの後半で羽生三冠が4連敗すると、その後はいままでがウソのように勝てなくなります。竜王戦第4局からの10局を、なんと1勝9敗とまさに一方的に押し込められます。
その後はやや持ち直したものの、NHK杯や朝日杯など早指し戦では勝てても、持ち時間の長い将棋だと3勝6敗とダブルスコアの負けが続きました。19年間保持してきた王座も3連敗で失いました。内容も自ら転ぶといったあまり良くありませんでした。
ところが、翌年の王座戦で挑戦者となると、千日手を挟んで3勝1敗で王座を奪取し、王将戦リーグと棋王戦挑戦者決定トーナメント本戦では敗れたものの、年末に行われた挑戦者決定戦二番勝負では先勝するなど、ここ10戦で6勝4敗と完全に持ち直した感があります。
羽生三冠と渡辺竜王は14歳の差があります。
これだけの年齢差がありながら、不利だった対戦成績を巻き返す精神力に感服です。
二人の今後を占う意味でも、本局は大きな一番だと思います。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/38/kiou201301070101.html

ということで将棋です。
羽生三冠が後手になりましたので、ここ最近、後手番で多用している振り飛車を選択するかと思われましたが、お互いの得意分野である矢倉戦となりました。
近代矢倉の最重要局面として、矢倉91手組と呼ばれる形があります。この戦形はまだ4戦ですが、先手全勝と一方的な展開になっています。
羽生三冠も後手番でこの矢倉91手組みに対抗する打開策が見つからないので、後手番矢倉を避けているとの観測も一部ありましたが、この大勝負で堂々と受けて立ちました。
戦形の選択権は先手にあります。
渡辺竜王が選んだのは矢倉91手組へと進むコースではなく脇システムとなりました。A級棋士で、第2回電王戦に出場する三浦九段が得意としています。
脇システムは角交換になりますので、お互いに角を打ち合う激しい展開になるのが特徴的で、本局も早々に馬を作り合います。
基本的に矢倉は先手が駒損の攻めを敢行し、後手が受けきるかどうかの勝負になります。
本局も渡辺竜王は香銀交換、銀馬交換と、駒損で攻めを続けます。
局面が大きく動いたのは、74手目に羽生三冠が飛車を切り、”責め”から”攻め”へギアチェンジしたときです。ここから前例を離れ、未知の局面に突入します。
しかし、結果的にはこのギアチェンジが敗着となりました。
敵陣深く馬をなりこみますが、渡辺竜王の3七桂と催促してから6二飛車とべったり打って守ったのが勝着となりました。
羽生陣には金銀三枚の守りが残っていますが、玉から離れており、さらに4二金が浮いているのが痛すぎます。この4二金が3二にあるだけでも粘れそうですが、ここから先は形作りとなってしまいました。

渡辺竜王が105手まで快勝し、王将戦に続いて棋王戦の挑戦権も獲得しました。
いずれも対戦成績が五分か負け越しなので厳しい戦いになりますが、いよいよ渡辺時代到来を予感させる一局だった気がします。

第38期棋王戦五番勝負は、2/3(日)から開催されます!


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