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【書評】マルティナ・ヴィルトナー『飛び込み台の女王』 [書評]

ドイツ児童文学受賞作で、少女の微妙な心理が描かれている佳作だと思います。


飛び込み台の女王 (STAMP BOOKS)

飛び込み台の女王 (STAMP BOOKS)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



設定がちょっと複雑です。
主人公は七年生(日本だと中学生?)の少女で、高飛び込みをしています。
ドイツ在住ですが、母親はロシア人で、父は石油プラントの技師として働いており、ほとんど家にいません。
彼女にはカルラという親友がいて、高飛び込みのエースで、彼女こそタイトルである『飛び込み台の女王』です。
カルラの父は事故でなくなっており、母と二人で暮らしています。
こうした情報が、あまり整理されずに出てくるので、前半はちょっと混乱しました。
しかし、物語に入ってからはさすがです。
主人公はカルラを神のようにあがめています。しかし、カルラの母に恋人ができ、カルラが混乱し、大会でミスをしたことで主人公が優勝してしまいます。
主人公に異性の友人ができて、カルラを傷つけてしまう出来事など、そうした思春期前の少女の気持ちを丁寧にくみ取った佳作かと思います。
傷ついたカルラは飛び込みができなくなり、そして競技から去り、家族で転居します。
日本なら別のラストにするのかな、と思いながら読み終えました。

ドイツ児童文学賞受賞作を読みたいひとのために!
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