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【映画】ヒトラー最後の12日間 [映画評]

2004年制作。ヒトラー最後の12日間をリアルに描いた戦争映画の名作です。


ヒトラー ~最期の12日間~ プレミアム・エディション(3枚組) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: Blu-ray



原作はヒトラーの秘書官だったユンゲの回顧録と同名の研究書です。この2冊を土台に、映画は秘書の目線で進んでいきます。
敗北直前のドイツ。首脳陣と秘書官は地下防空壕司令室で生活します。
正常な思考力を失い、側近にわめくヒトラー。
解決策もなく、首脳陣が雁首そろえてヒトラーの妄想を聞くだけの無意味な戦争会議。
絶望の中で、ある首脳は逃げだし、ある首脳は享楽におぼれ、またある首脳は黙々と職務を遂行します。
追い詰められた首脳陣はパーティーを開き、そこでヒトラーの恋人であるエバは踊り狂います。
しかし、その最中に砲弾が着弾し、阿鼻叫喚の地獄絵図となります。
傍目には狂っているように見えますが、その日その日を生きようとする人間の姿が炙りだされいるように感じます。
途中で少年兵がでてきます。
彼は首都防衛にかり出された義勇隊で、家に帰るよう諭す父親に対して反抗します。戦車を撃破したことでヒトラーから勲章を授与されます。
しかし、大人が戦死し、仲間の少年兵も命を落とし、リアルな戦争を知るとともに自宅へ逃げ帰ります。父親はそっと息子を抱き寄せます。
映画には軍医も登場します。軍医は司令部の命令でモルヒネとアスピリンを地下防空棒へ運ぶよう命令されますが、その中で見捨てられた市民たち、無意味な戦闘にかり出されて命を落とす中年男性を目撃します。
少年兵と軍医は、戦争に巻き込まれる市民と一般兵士の悲惨さを描くために、導入された視点だと思います。
ドイツでヒトラーを描くのは難しかったと思いますが、ナチスの幹部を人間として描いています。
ヒトラーは幹部に対しては怒鳴り散らしますが、子供には優しく、ゲッペルスの子供達の歌を優しく耳を傾けます。少年兵にも慈愛を込めた表情で勲章を授与します。
ゲッペルスは市民の犠牲を考慮しない無慈悲な人物として描かれていますが、その一方で家庭ではよき父親であり、最後の母親が子供たちを順番に毒殺するシーンは涙を誘います。
総統が自殺した後、秘書は見知らぬ少年と親子を装うことで、脱出に成功します。、
その少年が川辺で自転車を拾い、新緑がまぶしい小道を、秘書は少年と一緒に自転車に乗るシーンで映画は幕を閉じます。
いままでの暗いトーンから一転し、色彩のある景色となります。
セリフはなにもありませんが、映像だけで戦争の悲惨さ、虚しさ、平和の尊さの全てを表現した名シーンだと思っています。
制作費は1300万ユーロですが、この10倍を使っているのではないかと思うぐらいリアルです。
俳優陣も素晴らしく、全員が当時のドイツ軍になりきっています。
特にヒトラーの怪演は特筆物で、「総統閣下お怒りシリーズ」としてパロディのネタになるほどです。
誰もがインパクトを覚える名演技だからこそ、パロディのネタになりますので。
本作はいろいろな意味で、戦争映画の金字塔だと思っています。

ヒトラーの最後を知りたいひとのために!
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