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【書評】倉知淳『作家の人たち』 [書評]

作家あるあるともいえる短編小説集です。


作家の人たち (幻冬舎単行本)

作家の人たち (幻冬舎単行本)

  • 作者: 倉知淳
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Kindle版



著者はあとがきで「ただの悪ふざけですので、平にご容赦を」と書いているように、悪ふざけ全開です。
最初の『押し売り作家』は人気作家の紹介をもらって、編集者にごり押しをしてくる売れない作家の悲哀と断る編集者の苦闘を描きます。
『夢の印税生活』は新人賞を受賞してデビューしたものの、新刊の売り上げは右肩下がりで、ついに5年目でバイト生活に突入してしまう新人作家の悲劇。
『持ち込み歓迎』では、勘違い君の大量発生を『らのべっ!』では本の内容よりイラストを優先して売れる本を作る優秀な編集者を『文学賞選考会』では植木賞というどこかで聞いたような有名賞で、芸人が書いた本しか売れなくなった未来の文学賞選考会を描きます。
『悪魔のささやき』は三部作で、作家が亡くなると作品が取り上げられる風潮を、もっともらしいけど中身のないいいかげんな書評を、作家の才能を絞りつくす編集者を、ジョークにしています。
一応フィクションですが、明らかにモデルが分かるものが多数含まれており、よく出版で来たなあとか思ってしまったり。
最後の『遺作』だけは、悪ふざけではなく、作家としての宿痾を描いた良作だと思います。

作家あるあるを楽しみたいひとのために!
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