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【書評】井上靖『蒼き狼』 [書評]

チンギスハンの一生を圧縮した作品です。


蒼き狼 (新潮文庫)

蒼き狼 (新潮文庫)

  • 作者: 靖, 井上
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/03/27
  • メディア: 文庫



本書は井上靖の一連の西域小説のひとつで、モンゴルの英雄、チンギスハンの生涯を追います。
モンゴルは歴史を記録する風習が無かったため、史書が限られます。チンギスハンの生年も不明です。
そうした中で、井上靖は限られた史書から、ときおり直訳しながら書き進めているように感じました。
チンギスハンの母は拉致されたことがあります。
そのときに懐妊した可能性があるとして、チンギスハンの征服欲求は「狼の子孫である己の血筋を証明するため」という設定で物語を進めていきます。
正直に書くと、強引かな、というのが自分の感想です。
モンゴル人の戦い方は残虐で、反抗する敵は根絶やしにします。戦争に勝つと、略奪の限りを尽くし、男子は殺し、女子は持ち帰るという非生産的な侵略です。
戦いが強いのは分かりますが、なぜ、一代でここまでの大帝国を築くことができたのか、日本人的な感覚ではなかなか理解できません。
そのあたりについて、作者なりの解釈があれば良かったなと思ってしまったり。

チンギスハンの物語を読みたい人のために!
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