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第82期名人戦第3局(藤井聡太名人VS豊島将之九段) [将棋]

藤井名人の2連勝で迎えた第3局です。

〔主催者HP〕
https://www.meijinsen.jp/

囲碁界では、AIが棋士を凌駕してから人間の棋力も上昇している、ということが定量的に示されたニュースが流れたの記憶にも新しいところです。
もっとも棋力もAIが判定しているので、人間の指し手がAIに近づいただけという可能性もありますが、AIという道具を使いこなすことで、人間が棋力を伸ばしている可能性が高いです。
将棋界でも最新式のコンピューターを導入し、最新AIで研究する棋士がたくさんいます。
仮に本人はコンピューターを使っていなくても、最新AIで生み出された手筋、定跡は棋譜として表に出ればだれもが使うので、そういう意味では棋界全体で棋力が上昇している可能性はあると思います。
藤井名人も豊島九段もAIを使いこなせる世代です。
二人の棋譜は未来の将棋界にどう判定されるのか、気になるところでもあります。

〔棋譜〕※ロック将棋さんより
https://6shogi.com/82meijinsen3/

ということで将棋です。
本局は後手番の豊島九段が雁木を採用しました。対する先手は8八銀が最近よく見る形です。
豊島九段はカウンター狙いではなく、棋風通りの積極的に前に出ます。
力戦で勝負の意気込みを感じます。
34手目の4一玉が少し変則手です。王手飛車取りを防ぐ手筋としては9五歩ですが、あえて玉を戦場に寄せませした。
しかし、ぱっと見は先手の棒銀を受けづらそうに見えますし、実際に藤井名人は力強く銀を進出させます。
そして先手の思惑通りに銀金交換となり竜を作ることに成功します。
駒の損得はほとんどなし。
しかし竜の存在が大きく、また攻めの銀と守りの金の交換も大きいです。
藤井名人は後手からの有効手がないこと見越して、じわじわ陣形を良くしていきます。
以降は金銀と飛車の二枚替えとなるものの、陣形差が大きく、藤井名人が2四歩といよいよ本丸に手をかけたところで豊島九段は投了しました。
まさに心が折られたという感じの終局図です。

これで藤井名人は3連勝となり、防衛まであと1勝と迫りました。
名人戦第4局は、5月18・19日(土・日)に大分県別府市「割烹旅館もみや」で行われます!
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第35期女流王位戦第2局(福間香奈女流王位VS加藤桃子女流四段) [将棋]

福間女流王位の先勝で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

加藤女流四段がタイトル挑戦を決めた時点におけるレーティング差は、某サイトだと125です。
この差を勝率で換算すると33%であり、ご5番勝負における奪取確率は20%。
加藤女流四段と福間女流王位のタイトル戦は2勝10敗の16%なので、かなりレーテシング上の計算に近いです。通算勝率も13勝39敗の25%と近いです。
ただ、いずれも計算上の勝率より低いので、里見女流王位相手に若干の苦手意識があるのかもしれません。
ちなみに加藤女流四段がタイトル挑戦を決めた時点における加藤女流四段と西山女流四冠とのレーティング差は88であり、勝率に換算すると38%。ところが通算成績は11勝11敗の50%になっているのが面白いところです。
数字上は不利な加藤女流四段ですが、レーティング差を跳ね返すことはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/35/joryu-oui202405090101.html

ということで将棋です。
本局の先手は加藤女流四段。後手福間女流王位のゴキゲン中飛車に対して、本局ではいちご囲いからの速攻を見せます。
かなり珍しい形で、早々に力戦の匂いが漂います。
加藤女流四段が攻め、福間女流王位に5三歩と謝らせた局面は先手の模様が良いです。
ただ福間女流王位も先手に決め手を与えずに追走します。
先手のつまずきは5九香車でした。福間王位は5八歩と叩き、これを同金では香車を打った意味がないので同香ですが、そこで8八金のただ捨てがさく裂しました。
これは送りの手筋ですが、実戦でここまで奇麗に決まるのは珍しいです。局後のコメントによると、加藤女流四段のうっかりだそうです。
27分の長考のすえにやむを得ず同玉と取りますが、以降は福間女流王位の一気の寄せが決まり、98手まで福間女流王位の勝ちとなりました。
加藤女流四段としては悔しい敗戦だと思います。

第3局は5月23日に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われます!
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【映画】エンド・オブ・キングダム [映画評]

爽快アクション映画、エンド・オブ・ホワイトハウスの続編です。


エンド・オブ・キングダム [Blu-ray]

エンド・オブ・キングダム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: Blu-ray



前作の舞台はホワイトハウスですが、本作ではイギリスロンドンです。
英国首相が急死し、葬儀のために各国首脳が勢ぞろいします。
その瞬間を狙って、大規模なテロ攻撃が始まります。
黒幕は中東の武器商人。2年前に娘の結婚式の最中に攻撃を受けて、娘が死亡したことで恨みを持っての犯行です。
さて、映画ですが、前作と同じくとにかくテロ攻撃が派手です。
恐ろしいほどの人数がワサワサでてきますし、武器も尋常ではありません。主人公たちは危機一髪でヘリで逃れますが、スティンガーがバシバシ飛んできて撃ち落されます。
地上戦ではもちろん銃弾が飛び交い、手榴弾や爆発も頻繁です。
さすがに設定に無理があるだろうと思う部分もありますが、映画としてとにかくサービス精神満点というか、派手に行こうという監督のポリシーを感じます。
人間も容赦なく、どんどん殺していきます。ランボーのノリと言ったらいいでしょうか。
もちろんスパイ映画お約束の、束縛シーンもあります。大統領が拉致されて、奪還に向かうところがクライマックスです。
主敵がこれだけピンポイントの攻撃をするには、もちろん、内部に裏切者がいます。
最後に主敵も攻撃されて死に、裏切者も簡単に見つかって殺されて、無事に解決となります。
なんちゃってテーマとして、家族関係が少しだけでてくるのも前作と同じです。
製作費60百万ドルで、興行収入2億5百万ドルと前作を上回りましたが、肝心の北米収入が63百万ドルとダウンです。

単純に楽しめる痛快アクションを鑑賞したいひとのために!
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【書評】吉田篤弘『フィンガーボウルの話のつづき』 [書評]

不思議な雰囲気の連作掌編集です。


フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫)

フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫)

  • 作者: 吉田 篤弘
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/07/07
  • メディア: 文庫



連作の主人公は世界の果ての食堂にあるフィンガーボウルの話を書きたいと願っています。そのフィンガーボウルに指をつけると、そのひとの人生が読み取れるのです。
ですが、まとまらないまま、スパイス専門店のPR誌に掌編を連載することになります。
基本的に一話完結ですが、ビートルズのホワイトアルバムがテーマになっています。
これといった強烈なアピール点があるわけではありませんが、徐々に作者の世界観に引き込まれていく。
そんな掌編集だと思います。

空気のような掌編が好きな方に!
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