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【書評】上橋菜穂子『蒼路の旅人』 [書評]

 ”守り人”シリーズの第7作です。


蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)

蒼路の旅人 (軽装版偕成社ポッシュ)

  • 作者: 上橋 菜穂子
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2008/06/27
  • メディア: 単行本



この”守り人”シリーズですが、女用心棒のバルサが主人公の作品と、新ヨゴ皇国の皇太子であるチャグムが主人公の作品の2種類あります。
バルサが主人公の作品は『○○の守り人』と、タイトルに”守り人”がつきます。
チャグムが主人公だと『○○の旅人』と”旅人”がつきます。よって、本作はチャグムが主人公になります。
蒼路の旅人は、父である皇帝にうとまれている皇太子チャグムが、罠だと分かっている戦いに狩りだされて、敵国の捕虜になります。そこでいろいろな出来事があり、最終3部作へと続いていきます。
敵であるタルシュ帝国は、数多くの国を圧力で屈服させ、枝国として統治します。税や軍隊の義務を科す代わりに自治を認める方式のようですが、若干甘いかなあ……という感じがします。
作品で注目して欲しいのが、食事シーンです。食事は人間の基本的な欲求であり、その基本的な欲求を同時に満たすことで同席する人々を親しくする効果があるそうです。
その大事な食事シーンを、共によろこぶときもあれば、拒否することもあり、さらには死の危機を招くこともありと、幅広く使用しています。
定期的に挟まれる食事と言う行為を通じて、主人公の感情や立場を代読させる技法は面白いと思います。
本作は独立したものではなく、最終3部作への序章です。
上橋菜穂子一流の読みやすい文体ですので、最終3部作も含めて一気に読むことをオススメしたいです!
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