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【書評】阿川弘之『米内光政』 [書評]

三国同盟に反対し、終戦工作の中心となった最後の海軍大臣米内光政の伝記です。


米内光政 (新潮文庫)

米内光政 (新潮文庫)

  • 作者: 阿川 弘之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1982/05/27
  • メディア: 文庫



米内光政は最後まで地味でした。
山本五十六は真珠湾で有名になり、東郷平八郎は日本海海戦で世界的な将軍となりました。
しかし、同世代を活きた井上成美が最も評価したのは海軍大将は米内光政です。
米内光政には表立った実績はありません。
海軍兵学校を平凡な成績で卒業し、この時点では大将になれるような人材とは思われていないというより、まったく無名の存在でした。
それから出世コースを外れたドサ回りのようなルートを歩みましたが、やはり見ているひとはいるようで、各種トラブルにも私心の無い厳格な態度を貫き、いつしか海軍を代表する人物と目されるようになります。
海軍大臣時代には三国同盟に米内―山本ー井上のラインで徹底的に反対し、戦争末期には米内―井上のラインで終戦工作に取り掛かります。
いずれも後ろ向きの仕事で華やかではなく、おまけに無口であるため果たした役割が表にでてきません。
米内光政は、同時代の空気を吸い、直接面会した人間のみスケールの大きさが分かる人間なのだと思います。
そうした非常に書きにくい人間を、阿川弘之は、苦戦しながらも後世のために書き上げたと思います。
ほおっておくと隠れてしまう名前かもしれませんが、こうした人間こそ、真に伝えるべき人物ではないかと思います。
阿川弘之は、見事な仕事を果たしたと思います。
あの戦争を考える上での一冊になると思います。
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JeaNaLp

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