【書評】村上春樹『羊をめぐる冒険』 [書評]
青春三部作の完結編で、野間文芸新人賞受賞作です。
前2作と比べると、この作品にはミステリータッチのストーリーがあります。
黒服の男に脅され、主人公は星型の模様を持っている謎の羊を探すことになります。その羊を追っていくと、たどり着いたのは、昔の知り合いの家だった。
そして、意表をつくラストへと。
前2作はストーリーより文章を楽しむ作品だと思いましたが、本作は文章を楽しみつつストーリーも楽しめる傑作だと思います。
文体は村上春樹ワールドです。
小説を書く上で、「どう描写するのか」より「何を描写するのか」が大事だったりするわけですが、村上春樹はこの描写する対象を選ぶセンスが絶妙です。
100%繋がりがあるものを描写するのではなく、間に2つぐらい要素を挟むと繋がるといった微妙な距離感のある対象を独特の表現で描写することで、ストーリーとは無関係に読者を引き込んでいきます。このくすぐり方が、本当に上手いです。そういった描写や会話の中に、人生訓なのか、ただの言葉遊びなのか、そういった寓意を含む言葉を配置することで、描写にさらなる意味を与えています。
ストーリーもなかなかで、豊富な知識を出したり引っ込めたりしながら、突拍子もないストーリーを、それなりの現実感を持って読者に提供します。
最後はやや脱線というか、やりすぎ感はありますが。
本当に面白い本でした。これはオススメです。
前2作と比べると、この作品にはミステリータッチのストーリーがあります。
黒服の男に脅され、主人公は星型の模様を持っている謎の羊を探すことになります。その羊を追っていくと、たどり着いたのは、昔の知り合いの家だった。
そして、意表をつくラストへと。
前2作はストーリーより文章を楽しむ作品だと思いましたが、本作は文章を楽しみつつストーリーも楽しめる傑作だと思います。
文体は村上春樹ワールドです。
小説を書く上で、「どう描写するのか」より「何を描写するのか」が大事だったりするわけですが、村上春樹はこの描写する対象を選ぶセンスが絶妙です。
100%繋がりがあるものを描写するのではなく、間に2つぐらい要素を挟むと繋がるといった微妙な距離感のある対象を独特の表現で描写することで、ストーリーとは無関係に読者を引き込んでいきます。このくすぐり方が、本当に上手いです。そういった描写や会話の中に、人生訓なのか、ただの言葉遊びなのか、そういった寓意を含む言葉を配置することで、描写にさらなる意味を与えています。
ストーリーもなかなかで、豊富な知識を出したり引っ込めたりしながら、突拍子もないストーリーを、それなりの現実感を持って読者に提供します。
最後はやや脱線というか、やりすぎ感はありますが。
本当に面白い本でした。これはオススメです。
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