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第2回感想大会 電子書籍公開のお知らせ(無料) [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」
 
    電子書籍公開のお知らせ(無料)!
 
 
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『第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会』の全てを詰め込んだ電子書籍がついに完成いたしました。基本的に前回と同じ構成ですが、若干、シンプルなつくりにしてみました。
電子書籍は分量がありますので、ダウンロードをオススメします。電子書籍にまとめるにあたり若干の編集をほどこしていますので、ブログで読むより見やすくなっていると思います。
この『第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会』はもちろん無料です。
作品だけでなく、みなさんの感想を熟読することで、多種多様な視点をぜひともお楽しみください。また、複眼的思考を身につけてください!
 
 
電子書籍は以下のページでお楽しみいただけます。
 
 
【電子書籍パブー】
 http://p.booklog.jp/users/saitousou
 
 
 感想大会の開催決定からここまで進められたのは、みなさんのご協力の賜物です。この場を借りて、御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 第3回を開催する日が来ましたら、みなさんのご参加をお待ちしておりますので、よろしくお願いします!


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第2回感想大会 電子書籍公開日(無料)決定のお知らせ [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

    電子書籍公開日(無料)決定のお知らせ!


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『第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会』の全てを詰め込んだ電子書籍公開日が決定いたしました。もちろん無料です!


電子書籍発表日 2月4日(土)


電子書籍の公開先は、以下のページになります。


【電子書籍パブー】
 http://p.booklog.jp/users/saitousou


 過去にブログで発表済みの作品がいつくかUPされていますので、そちらもあわせてお楽しみいただければと思います。

 それでは、2月4日(土)をお楽しみに!



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第2回感想大会 受賞者決定のお知らせ [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

    受賞者決定のお知らせ!


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 地球温暖化が叫ばれているなか、ますます寒さに磨きのかかった時期に行われた「第2回掌編がみるみる上手くなる感想大会」も、いよいよ最後のお知らせになりました。お楽しみの受賞者の発表です。
 みなさん大会の主旨をご理解いただき、濃厚で的確な感想ばかりで嬉しい限りです。予想を超えるハイレベルな激戦となり、選考にはずいぶんと悩まされました。
 しかし、終わってしまえば全ては素晴らしい思い出です。
 ということで、受賞者のお名前を掲載いたします!


・ベスト感想賞  かよ湖さん(『宇宙調査員』への感想)
【かよ湖さんのHP】 http://kayoco.blog.so-net.ne.jp/
 ベスト感想賞は最もすぐれた感想に対して表彰いたします。
 候補が多くて悩んだのですが、作品全体を見渡した上で改善案を提案してくださったかよ湖さんの『宇宙調査員』への感想をベスト感想賞にしたいと思います。
 ぼくが感想を書く上でいつも注意しているのは、「提案する改善案が成り立つかどうか」です。部分的には良さそうに見えても、その通りに書き直してみるとチグハグになってしまう例が多数あります。改善案を提示するには、部分に着目するだけでは不足で、全体を見渡すだけの構想力が必要だと感じています。
 そのような意味で、かよ湖さんの感想は、構想力が伺われる良い感想だと思います。
 これからも、ぜひとも良き読み手としてだけでなく、構成力を活かして素晴らしき書き手として活躍して欲しいです!


・ベスト感想人賞 1人 平正直さん
 5作品トータル(自作が採用されている方は自作を除く4作品)で、最もすぐれた感想を書いた人を表彰します。
 実はこの賞をだれに差し上げるのかでかなり悩みました。2人、3人もありかな……と思ったのですが、断腸の思いで1人に絞りました。
 平正直さんは、感想を書かれるさいに様々な視点をお持ちだと思います。
 描写に着目されたり、構成について指摘をされたり、さらには里子さんへの感想のようにユーモアでまとめたりもします。平正直さんは多種多様な引き出しをお持ちですが、作者に合わせて引き出しを自由自在に開けていただきました。これはなかなかできることではないと思います。
 平正直さんには、これからも多種多様な視点をさらに磨きながら作品を読み続けるとともに、その視点を創作にも活かして欲しいと思います!


・ベスト感想作品賞  田磨香さん『空は果てしなく』
 ベスト作品賞は、もっとも熱い感想を集めた作品を表彰します。感想の数ではなく、内容で判断します。
 田磨香さんの『空は果てしなく』は異色作だと思います。特に前半が異色なだけに、感想もその部分に集中しました。改善案についても、リンさんやせきたさんが興味深い提案をしてくれました。これもオチが良いからこそ、みなさんのより良い感想を引き出してくれたのだと思います。
 容赦ない感想を耳にするのはだれもが怖いと思いますが、実は一番に応募してくださったのは田磨香さんです。その勇気も賞賛に値すると思います。おかげさまで、いい大会になったと思います。
 田磨香さんにこの賞だけでなく、大きな拍手を送りたいと思います!
 

・ベスト作品賞  東雲凛さん『イヴの秘密』
 ベスト作品賞は、最も優れている作品を表彰します。
 ちょっと悩んだのですが、構成面でもっともしっかりしている東雲凛さんの作品を選出させていただきました。本作に対する感想は、講評と重なるので割愛いたしますが、ベスト作品賞として十分に押せる作品だと思います。
 東雲凛さんおめでとうございます!

 以上、受賞された方には賞品として有料販売中のぼくの作品集を贈らせていただきます。ご一読いただければ、作者としてこれ以上の喜びはありません。(平正直さんは賞品を送るためのメールアドレスが分かりませんので、教えてください)
 重ね重ね、本大会に多くの方に参加・閲覧していただきまして、本当にありがとうございました! それでは、最後に感想大会のまとめとしまして、各作品にぼくなりの講評を送りたいと思います。
 少しでも参考になれば幸いです。


01 田磨香さん『空は果てしなく』
 みなさん指摘されていましたが、冒頭が固くてとっつきにくいかも知れませんね。逆にオチの雄大さには、みんな感心されていました。この辺りはぼくも同意見です。また、常夏さわやさんが指摘されていましたが、だれに向けて語っているのかというのも、コンテストでは問題になりそうな気がします。ただ、だれもが難読だと感じるのではなく、平渡敏さんのように「面白い!」と感じられる方もいます。
 読者(応募先)を選べば、作品を目立たせる有力な手段かもしれません。
 それでも、一般的には前半の読みにくさを解く必要があると思われますが、リンさんの「昔は良かった。空を見て、明日は晴れだの雨が降るだのと、天気予報させしていればよかったのだから」を入れるというアイディアはいいですね。冒頭に物語性を挟むだけで、その後の文章の読み方がまったく違ってくると思います。東雲凛さんが提案されるように、「空を飛び交う鳥の群れが、大気圏を抜けて飛ぶ様子」を描写するのもいいですね。ロマンを感じます。
 また、せきたさんが指摘された、あるメルヘンチックな馬鹿野郎が発した一言で世界中が熱狂する理由が必要というのも頷けます。せきたさんが提案するように、それなりに地位や実績のある人物が絡んでいるというのもあるでしょうし、口コミやネットの力で一気に広がるというのもありそうです。「宇宙人が日本にやってきたら所轄はどこになるのか?」という論争がブームになったことを思い浮かべました。
 ぼくならですが、冒頭に「あるメルヘンチックな馬鹿野郎が、鳥が飛べるところまでを空と定義した」で始めるかもしれません。その後に、なぜ、空を定義する必要に迫られたかを書いていけば、スムーズに物語が流れていきそうです。「領空の範囲を決めるため」とか、大きな話にしてしまうというのもひとつの手法だと思います。
 全体のバランスについてですが、田麿香さんの作品を読み返したとき、最初の論文調の文章は必要かと問われると、後半のオチを引き立たせるために必要な素材ではあるのですが、作品の半分も費やす必要まではないような気がします。コンテストを考えると、とっつきにくい冒頭は下読みに悪印象を与えかねないので、どうしても不利になるように思います。一行のゆるみも許されない短編では特にそうです。
 ただ、この雄大なオチはすばらしいです。水雲風さんが感じられたように、空と星を結びつけるロマンチックなオチでもあります。
 最初は違和感ばかり目立ちましたが、読み込んでいくと味わいの出る作品だと思います。


02 せきたさん『ポスト』
 ぼくは童話を評価するだけの力が無いので、みなさんの感想に乗っかって講評を書かせていただきます。
 みなさん書かれているように、子どもの話を聞いてくれる大人は素晴らしいですね。元気がでてくる話です。田麿香さんが感心されているように、子供の心理がよく書かれていると思います。
 これ以外で目立った感想は、「物語が平坦」という指摘です。みなさんが感じられたように、全体的に可愛らしくてほのぼのとした作品なので、抑揚を付けるのは難しかったのかもしれません。基本的に文章のリズムが一定であることも、そのような感想を引き出す要因になったのかもしれません。里子さんが指摘される「子どもが話す内容の具体性がない」も一因かもしれません。
 物語に強弱を付けるために、平渡敏さんが言われる何らかのサムシングエルスが必要かもしれません。何をというのは難しいのですが、夏目みい子さんが提案された「郵便屋さんは独居老人だった」というのはありかもしれません。キャラの二面性ですね。「ゆうびんやさんは忙しいのでは」という疑問への緩和にもなります。
 もちろん、雪ん子さんのように“シンプルでいい“という感想もあります。好みで分かれる部分かもしれません。
 平正直さんや、野本竹馬さんが指摘されるように、ゆうびんやさんの描写がもう少しあった方が良かったかもしれません。直接描写しなくとも、「ゆっくりとこしをおろした」とか「しわだらけのかおをくしゃくしゃにして……」など、間接的に年齢をにおわせる動作を入れるだけでイメージの広がりが違ったと思います。
 かよ湖さんとリンさんのラストを漢字にしたほうがいいという指摘はなるほどと思いました。童話は漢字を使わないという前提で読んでいたので、そのような視点は斬新でした。いろいろな視点があるのですね。とても勉強になりました。
 
 
03 里子さん『宇宙調査員』
 みなさんが指摘されているように、設定に無理があると思います。内定を譲る部分は特に違和感が強いです。かよ湖さんが指摘されているように、家具屋や恋愛の設定を削っても問題なさそうですね。田麿香さんから伏線がないために戸惑った旨の感想がありましたが、設定の整理がなされていないのが原因だと思います。
 また、平渡敏さんを初めとして多くの方が長い小説の一部みたいと感じられたようです。その原因は、リンさんが指摘されるように、短い文章のなかに要素を詰め込みすぎたからだと思います。
 野本竹馬さんが神田についてもっと明かしたほうがいいと提案されています。要素を削っていけば、神田について書くだけのスペースが出来たかもしれません。
 この作品を具体的にどうすればいいのかは難しいです。かよ湖さんが提案する「宇宙調査員という危ない任務に恋人である裕樹が選ばれてしまったので、その代わりになる適当な人物として秀夫を見つけ、秀夫を騙して育成していく多恵の物語」としてまとめるのが一番良いように思います。
 そうなると、多恵は就職活動をしている必要はなく、GG宇宙研究所の人事担当者とした方が、リアリティが出てきます。就職活動で苦しむ秀夫のこと知り(高校の同級生等なんらかの繋がりがあったほうがいいと思います)、助け船を出す。ところが、それには裏があったというオチです。
 弱点の多い作品ですが、それだけに丁寧に克服していけば、夏目みい子さんが書かれているように「化ける」可能性があると思います。かよ湖さんも「宇宙」と「就職活動」の組み合わせは素晴らしいと言われています。夏目みい子さんが提案されるように、内定を譲渡する設定を逆手にとって、「地球では内定を譲渡できないそうだ」で締めるのもあるかもしれません。
 平正直さんの感想には笑いました。確かにオーマイ星という名称は気になりますね。
 
 
04 みこさん『迎えに来てくれた恋人』
 ぼくも気になったのですが、平渡敏さんが指摘されるように、なぜ案内する女性が彼女であることに気がつかないのか、という点を修正する必要があると思います。夏目みい子さんのように髪型や服装を変えるのもあるでしょうし、リンさんや野本竹馬さんが提案されるように、彼女だと気がつくのもあると思います。ぼくなら、未来に生まれるはずの娘を登場させたかもしれませんね。
 雪ん子さんや、平正直さんが盛り上がりに欠けると感じられたのは、東雲凛さんが指摘されたように雪道で彼女が登場するシーンがあっというまに終わってしまうことが原因だと思います。あとストーリーラインが一本調子過ぎたかもしれません。二人の関係に微妙なトゲがあるといったようなサブプロットがあれば、また別の盛り上がりを作れたかもしれません。
 ぼくならどうするかですが、雪道でタクシーから降りるシーンから始めると思います。由紀子との関係は、フラッシュバックに至らない程度の回想を挟むことで処理する感じでしょうか。
 雪国で生活された経験のある人ならご存知だと思いますが、膝まで埋まるような新雪の上を歩くのは本当に大変です。ただ、病院に行くような主要道路なら、真っ先に除雪されるはずなんですよね。だから雪崩で道路の一部が埋まっているとか、除雪が間に合わないほど急激に降り出したとか、現実に即した設定を考える必要があるかもしれません。
 かよ湖さんの「由紀子の生死にもっと直接的に「純の到着」が関わってくるとドキドキする読者は増える」という指摘はぼくも完全に同意見です。由紀子の生死に純の到着を絡ませることで、タイムリミットを設定することができます。具体的にどうすればいいのかというのは難しいですが、かよ湖さんが提案される血液型を使うのはいいかもしれませんね。
 人間の血液型で有名なのはABO式ですが、他にもRH式を初めとして分類方法はいろいろあります。そのような組み合わせのなかで、由紀子は特殊な血液型だったためにABO式ではダメで……とか、後は急に腎臓を悪くして白血球の型の関係で……とか。
 タイムリミットの設定はとても難しいです。けど、そこを乗り越えると、またひとつ実力が伸びると思います!
 
 
05 東雲凛さん『イヴの秘密』
 主人公がサンタであることがすぐ分かってしまうとの感想が目立ちました。クリスマスに忙しい配送業というと……というところからみんな読み取られたのだと思います。もちろん、最後までサンタだと分からなかった方もいます。実はぼくもその口です。途中で「不景気で業績が悪くなり」という部分にひっかかり、サンタという選択肢を落としてしまいました。不景気だからこそ、子供たちはサンタへの期待が高まるような気がしますが、どうでしょうか。 
 平正直さんは小道具の使い方に着目されました。描写で大切なのは、どう描写するかではなく、何を描写するかなのですが、“TVを着け”て“携帯を握り締める”というところに一人暮らしの寂しさが凝縮されていると思います。平正直さんは、いい目線をお持ちだと思います。きっと、描写が上手い方なのかなと想像しました。
 さて、意見が集中したネタバレ改善法についてですが、ひとつは彼氏の説明をぼかして隠す方法、もうひとつはネタバレ前提でストーリーを進める方法と二通りあると思います。
 ぼくならですが、この作品の主眼は読者を驚かすことではなく二人の恋愛ですので、ネタバレ作戦で突き進むと思います。彼氏は露骨にサンタであることを匂わせて、本社栄転を期にプロポーズという算段です(設定をいろいろ変える必要はありますが)。平正直さんの提案と同じ路線ですね。もちろん、野本竹馬さんのように、クリスマスという単語を絞る方法もあると思います。
 雪ん子さんが「細部にこだわりがあれば」と残念に感じています。田麿香さんや野本竹馬が言及されているように、二人の関係をもっと盛り込んでも良かったかもしれません。
 かわいらしい話なので、いろいろなまとめ方があるように思いました。夏目みい子さんの、サンタの大変さをボヤくというまとめ方も楽しくていいですね。


【大会後記】
 大会の総括を長々お読みいただきありがとうございました。これで感想大会は一旦お開きとさせていただきます。
 重ね重ね、本大会に多くの方に参加・閲覧していただきまして、本当にありがとうございました。感想を書く事の楽しさや難しさだけでなく、さらには感想を書くという行為が、相手の為だけでなく自分の為にもなることを理解していただければ、主催者としてこれほど嬉しいことはありません!

 次回大会は未定です。ご要望が多ければまた考えますが、同じ大会ではなく、また新しい企画を盛り込みたいなあというのがぼくの希望です。”このような大会を開催して欲しい!”という提案がございましたら、どんどんコメントやメールをいただければと思います。皆さんのご意見こそ、モチベーションの源です。
 また、電子書籍化については随時作業中です。完成したら、改めてご連絡いたします。
 
 それでは、今後ともよろしくお願いいたします!
 この度は本当にありがとうございました!

第2回感想大会 表彰者発表日のお知らせ [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

    表彰者発表日決定のお知らせ!


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『第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会』

表 彰 者 発 表 日 決 定 !

掌編がみるみる上手くなる感想大会用の作品募集への
多数の参加ありがとうございます。

ただいま表彰者の選考作業の最中ですが、
一足早く表彰者の発表日が決まりましたのでお知らせいたします!


表彰者発表日 1月28日(土)


お待ちかねの発表まであと1週間です。
それまで、いましばらくお待ちください!

なお、表彰対象者と商品は以下の通りです

【表彰者】
・ベスト感想賞 1人
  最もすぐれた感想に対して表彰。

・ベスト感想人賞 1人
  5作品トータルで、最もすぐれた感想を書いた人を表彰。
  全作品に感想をつける(自作は除く)ことが条件です。

・ベスト感想作品賞 1人
  もっとも熱い感想を集めた作品を表彰。
  感想の数ではなく、内容で判断します。

・ベスト作品賞
  もっとも優れた作品を表彰。

【賞品】
・自作短編集"新しい世界へ~最終選考作品集+α"


 それでは、1月28日(土)をお楽しみに


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登録はこちらから。もちろん無料です!
http://www.arasuji.com/saitomagazine.html

第2回感想大会 締め切りました [企画]

第2回感想大会の受付を締め切りました。
予想を上回る多数の参加ありがとうございます。
感想を競うという奇抜な大会ですが、みなさん大会の意図を理解していただき、為になるコメントばかりで嬉しい限りです。
感想を書くことを通じて、実力向上のヒントを掴まれたものと思います。
自分自身の作品を冷静に見ることの訓練にもなります。

ネットで作品を発表されている方はたくさんいますが、多くの方から真剣なコメントをいただく機会はそうないのが実情です。
そういう意味で、作者の方々からすれば貴重な経験になりますし、みなさん喜ばれていると確信しています。
作者も感想を書かれた方も、実力向上の一助になったのではないかと思っています。

表彰に向けて、これから具体的な選考に入ります。
個人で作業しておりますので、多少前後するとは思いますが、1月中には発表したいと思います。
重ね重ね、参加してくださった方に感謝の念を申し上げます。
それでは、発表をお楽しみに!

第2回感想大会 締切迫る! [企画]

感想を募集する一風変わった第2回感想大会が予想外の盛り上がりを見せまして、誠にありがとうございます。
これも、皆様のご協力とご愛顧のおかげです。
このブログを閲覧されている全ての読者様に、重ね重ね、感謝を申し上げます。

感想大会の締切は1月11日(水)です。
ということで、現時点()での、コメント数を発表します(ブログを読めば分かりますが(汗))



第1弾 田磨香さん『空は果てしなく』 コメント数:9
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-23

第2弾 せきたさん『ポスト』 コメント数:8
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-24

第3弾 里子さん『宇宙調査員』 コメント数:6
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-25

第4弾 みこさん『迎えに来てくれた恋人』 コメント数:7
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-26

第5弾 東雲凛さん『イヴの秘密』   コメント数:7
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-27


感想を書き方や注意事項については、以下の記事を参考にして下さい。
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-23


コメント数を競う大会ではありませんが、田磨香さんの『空は果てしなく』がコメント数のTOPです。
この大会の全ては感想も含めて電子書籍にまとめて無料配布いたしますので、電子書籍デビューをしたいかたは、ぜひともご参加ください!



表彰対象者と商品は以下の通りです!

【表彰者】
・ベスト感想賞 1人
  最もすぐれた感想に対して表彰。

・ベスト感想人賞 1人
  5作品トータルで、最もすぐれた感想を書いた人を表彰。
  全作品に感想をつけることが条件です。

ベスト感想作品賞 1人
  もっとも熱い感想を集めた作品を表彰。
  感想の数ではなく、内容で判断します。

ベスト作品賞1人
  もっとも優れている作品を表彰します。

【賞品】
・商品がないのも盛り上がりに欠けると思いまして、ぼくが有料で販売している自作短編集"新しい世界へ~最終選考作品集+α"を贈呈したいと思います。

第2回感想大会第5弾・東雲凛さん『イヴの秘密』 [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

   ★最終の第5弾作品の登場です★

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今日は第5弾作品の登場です。これで大会参加作品が全て出揃ったことにあんります。
感想の書き方や、大会の注意事項については以下の記事を参照してください。
URL→http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19 

コメントの投稿期限は1月11日までです。
多数の参加をお待ちしておりますので、よろしくお願いします!


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『イヴの秘密』 東雲凜
 *第14回 超短編小説 応募作(結果はまだ出ていません)


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 世の中が赤と緑と派手な飾りが光る中、私はひとりでぼんやりそれを眺めていた。
12月はとても忙しい時期だと彼は言っていた。あちこちに配達に行かないと間に合わなくなるというので、今年のイヴもたぶん彼は残業で、会うことは出来ない。
 それを分かって付き合っているのだから、しかたがないよね。
 最近は不景気で競争が激しくなり、正月には業績が一気に下がるので、来年のこの時期に向けての計画も立てなければならないという。彼は会社ではまだまだ若輩者のようで、よく失敗するらしい。この時期の業界は大忙しだから、配達場所を間違えたり、同じところに二個届けてしまったりで叱られているみたい。
 でも、そんな彼の会社も夏は意外と暇みたいで、夏休みを利用して一緒に海外旅行に行ったこともあるの。
 海外出張も多いから、英語なんてぺらぺらよ。夏なんて、オーストラリアにバカンスだって行ったのよ。でも、この冬はどこにも連れて行ってくれない。せっかくのデートも遅刻ばかり。
 今日はイヴ前日。イヴに会えない代わりだといっていたけど、やっぱり、彼は遅刻してきた。
「遅い」
「ごめん」
「また、仕事の企画でもしてたんでしょ」
「ごめんな、正月はどうしても業績が下ってしまうから、今のうちに注文を取らないと駄目なんだよ」
 席につくなりため息をつく彼。今日はせっかくのデートなのにため息をつくなんて、最低よね。気持ちが滅入るわ。
「今年はどこの町で配るの?」
「聞いてくれよ、今夜の仕事が終われば海外なんだ、本社に行けるんだ」
「転勤?」
「うん……まぁそうなるかな」
 とうとう遠距離恋愛になるのかな。彼は東京支部に勤めている。入社3年目にして本社へ行けるというのだから、一応は将来有望株なのだろう。彼は今の仕事を気に入っているし、辞めるつもりもない。彼からのプロポーズを期待しているけど、さっぱりその気もないみたい。彼は本社へ行けることが余程嬉しいのかな。会話の内容も本社のここがすごいとか、配達システムがいいとか、私にとってはつまらない話ばかり。
 私は彼に自宅まで送ってもらい、そこで別れた。忙しそうに、足早に立ち去る彼氏。
 普通のカップルなら、楽しくプレゼントの交換をしたり、貰ったり、様々なイベントがあるはずなのに、彼の仕事はこの時期が一番忙しいので、イヴの夜を一緒に過ごすのは叶わぬ夢のまま。私だって女なんだから、彼氏とイヴを過ごしたい。でも、この時期だけは駄目。
 ひとりで部屋に戻ると、部屋の電気とTVをつけて、ソファにどっと体を預ける。携帯を握り締めながら時刻をみれば、あと一時間ぐらいでクリスマスイブがスタートする。
 明日から彼氏は大忙しだろうな。そう思って寝転んだ視線の先、カーテンの隙間から見えるのは白いもの。「あ」と思ってカーテンを開くと、静かな住宅街に立ち並ぶ街灯に照らされた雪だった。窓を開けると、部屋の外へと逃げていく息が白く染まる。
 じゃんじゃんじゃん……
 なんだろう。鈴のような音が聞こえる。空耳かなと思って空を仰いだら、トナカイに引かれたソリがゆっくりと降りてきた。御者席をのぞきこむと、さきほどまで一緒に食事をしていた彼が座っている。サンクロースのような赤い服に赤い帽子。サンタクロースとの違いは、髭がないことぐらい。一瞬、頭が真っ白になった私に、
「僕はサンタクロースなんだ。だからイヴの夜は小さな子供達の夢を叶える為にプレゼントを配るのが本当の仕事なんだ。ごめん。せっかくのイヴに何も出来なくて」
「うそ、サンタ? そんな赤い服きて、ちゃんとソリに乗って。でもまだイヴじゃないわ」
「え?」
「時間見てよ!まだ23日の23時30分よ!」
「あ……」
 思わず静まる私と彼の空間。肝心の時間を間違えるサンタも間抜けだわ。これでよく本社に栄転ものね。この業界は、相当に人手不足なのかしら。
 彼はソリから落ちそうになりながら、ベランダに下りた。せっかくサンタなんだから、もっとかっこいい登場の仕方はなかったのかしら。
「君にどうしても渡したいものがあるんだ」
 そう言ってからプレゼントを探し始めたけど、なかなか出てこない。ポケットに手をいれたり、すその中を覗いたりして、しきりに体中をチェックし始めた。5分経過。薄着でベランダに立っている私の身にもなってほしい。寒いから。
 再びサンタのソリに乗ってプレンゼントが沢山入っている袋の間を探し始めた。一体何を探しているのか見当もつかないが、ようやく何かを発見したのか、表情がほころんでいた。それから、また落ちそうになりながらも、私の前に立ち私の右手に小さな箱を握らせる。その蓋を開けると、雪の結晶のような形の、ダイヤモンドではない、なにか不思議な指輪。
「どうか僕と結婚してほしい。僕と一緒に本社のあるフィンランドにまで来てほしい」
 夢を運ぶサンタクロースの奥さんか……それもいいわね。
「私も一緒にサンタのお仕事をしてもいい?」
「もちろんだよ。年配のサンタは夫婦で仕事をしている人が沢山いるんだ」
 手を差し伸べられて、私は手を握り締めた。ここで窮屈な生活をするよりも、子供たちに夢のプレゼントをしたほうが、ずっと素敵じゃない? まだプレゼントを配るには一日早いが、私は彼とともにソリを走らせて、空中散歩。
 念願だった彼とのデートもできて、0時を過ぎてイヴが始まる。
 これが本当にクリスマスプレゼントだわ。


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第2回感想大会第4弾・みこさん『迎えに来てくれた恋人』 [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

   ★第4弾作品の登場です★

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今日は第4弾作品の登場です。
感想の書き方や、大会の注意事項については以下の記事を参照してください。
URL→http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19 

(作品をUPする時間は日によってばらつきがでると思います。個人で開催していますので、その点だけご了承下さい。よろしくお願いします)

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『迎えに来てくれた恋人』 みこさん
 *第21回 ゆきのまち幻想文学賞 応募作

                                   
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 雪が激しく降っている。例年なら、寒いだけで雪が降り積もることはない。宮沢純は、東京のオフィス街の一角にある雑居ビルの一室の窓から、外の景色を眺めていた。
「よく降りますね」
 後輩の田村がカッターシャツの袖を折り返しながら、言った。今日は仕事納めで、掃除をすませたら解散ということになっている。
「よし、やるか。終わったら、一杯飲みに行こう」
「いいですねえ。では、さっさと片付けましょうか」
 二人は、窓ガラスを拭き始める。男子社員も女子社員と一緒に大掃除だ。純は、IT関連の企業に勤務している。若い社員ばかりで、宮沢純もまだ20代なのだが、ここでは中堅社員として重要なポジションを任されている。
 掃除を終えて、田村とビルの外に出た時、携帯電話にメールの着信があった。由紀子からだ。由紀子は高校時代からの恋人で、今は青森と東京で離れているが、結婚の約束をしている。
『これから手術をします。せっかくのお正月休みなのにデートできなくなっちゃった。ごめんね』
 悪い冗談だと思った。けれど、なんとなく、胸騒ぎがする。由紀子は決してこんないたずらはしない。昨晩、電話で話したが、由紀子に変わったところはなかったように思う。いや、純が一方的にしゃべっていたから、由紀子の様子に気が付かなかっただけなのかもしれない。純はいつも自分のことばかりひたすら話す。けれど、由紀子は純の話の腰を折らない。由紀子だから、純と長い年月を交際してくれているのだ。他の女の子とだったら、とっくに破局を迎えている。
 純は居酒屋で田村と食事をし、自宅マンションに帰った。しかし、メールが気になっていたので、由紀子の携帯に電話をかけた。
「おかけになった電話は、現在電源が入っていないか……」
 由紀子の携帯電話から愛想のないメッセージが流れた。
 純は、由紀子の自宅に電話をかけた。しかし、留守番電話になっており、誰も出ない。東京発青森行きの新幹線の時刻を調べると、午後8時4分発があった。今ならぎりぎり間に合うかもしれない。これから由紀子の病院に向かうというメールを送り、東京駅に向かった。
東北新幹線の車内から由紀子の友人に電話をかける。
「ああ、瞳ちゃん。宮沢です。由紀子に電話が通じないのだけれど、何か知ってる?」
「純くん、知らなかったの? 由紀子ね、慢性硬膜外血腫の手術をするために入院したのよ」
 自宅で寝たり起きたりの状態が続いていたのだが、ついに倒れたという。
 ひと月前、由紀子が運転する車に横から追突した車があった。スーパーの駐車場で老人が運転する車が枠の中に入るように停止しようとしていて、何度も前進とバックを繰り返していた。由紀子はその車が完全に停止したと思って、前を通過した。ところが、老人はブレーキとアクセルを間違えてしまい、由紀子の車に衝突した。急発進した車が運転席に追突したが、どちらも大した怪我がなかったので、車の破損だけで処理された。
 しかし、事故の二週間後ぐらいから由紀子は頭痛に悩まされ始めた。整形外科ではレントゲンしか撮らない。その結果、どこにも異常はないということで、頭痛薬をもらっていた。しかし、しだいに頭痛がひどくなり、由紀子はベッドから起き上がれなくなった。純に心配をかけまいと考えていたのか、由紀子は事故のことを言わないので、純は何も知らなかった。

 もうすぐ、青森に到着する。コートを着て、バッグを持ったとき、電話が鳴った。由紀子の携帯電話からである。驚く純。しかし、電話をかけてきたのは、由紀子の母親だった。
「今、手術が終わりました。今夜が峠だそうです」
「そうですか……」
「今どこにいらっしゃいますか?」
「青森駅に着くところです。すぐ、病院に向かいます」
「わかりました。きっと由紀子が喜ぶわ。気をつけていらしてくださいね」

 ところが、大雪のため駅前のタクシーも動けなくなっていた。除雪車があちこちに出動している。除雪してもかたっぱしから積ってしまう。何とかして病院に急がなければ……。

 数台のタクシーに頼んだが断られた。しかし、純は諦めず、次のタクシーに乗り込み、事情を話した。
「わかりました。そういうことなら、たとえ火の中、雪の中だ。行きましょう」
 運転手が快く承知してくれた。ほっとして後部座席にもたれる純。
 しかし、車は進み出して数分後、停まってしまった。前方でタンクローリーが横転しているらしい。道路を横に塞いでいるため、前に進むことができない。
「大丈夫ですよ。すぐに、解除されますよ。でないと、みんな雪の中でお正月を迎えることになってしまいますからね」
 と、運転手が笑って言ったので、純は少し気が楽になる。

 一時間たったが、渋滞は解除されない。道路に積る雪がどんどん嵩高くなっていく。
「これじゃあ、車が雪に埋もれてしまう。お客さん、悪いけど、病院まで歩いて行かれたほうがいいかもしれませんね」
「うん、そうさせてもらうよ。ごめん」
 純は、運転手に謝ってから、道を急いだ。
「寒い! このままだと歩きながら凍死しちゃうな」
 純は膝まである雪のなかを懸命に歩いた。
「じゅ~ん」
 激しく降る雪の中で、自分を呼ぶ声がした。あたりを見回すと、女の人が手を振りながら走ってくる。
「僕ですか?」
 そう言いながら近づいていった。女の人は、黒っぽい毛糸の帽子を被っていて、マスクと赤い手袋を着用している。街灯が暗くて顔がはっきり見えない。
(誰だろう?)
「純君、病院に行くのでしょう? こっちに来て。さあ」
 その人は純をわき道に誘導した。女性は滑るように雪道を歩いて行く。激しく降る雪が顔に当たる。うかうかすると、女性を見失ってしまう。雪が積もるのが早いのか、雪の上に前を行く女性の足跡が残らない。
(彼女は誰? どうして僕が病院に行くことを知っているのだ?)
と、純は思った。
「急いで! 時間がないわ」
 女性は、振り返って言った。

 どのくらい歩いただろう。気がついたら、病院の夜間入り口に立っていた。
「さあ、着いたわ。走ると滑るから気をつけてね」
 女の人の声を背中で聞きながら、純は由紀子の病室に向かった。
 由紀子はICUにいる。入り口の警備員に道順を教えられ、急ぐ。

 病室の入り口で純は固まってしまった。
「由紀子……」
 純は由紀子の頭にチューブが差し込まれ、チューブの先に血液の入った透明のビニル袋がぶら下がっているのを見た。医師や看護師が忙しげに動いている。
「体温の低下が続いています」
 緊迫した看護師の声が聞こえてくる。
「身体が1時間前から冷たくなってきて、びっくりしてナースコールのボタンを押したの」
 由紀子の母は、悲しそうに言った。
 純は自分の足がガクガク震えているのを感じた。
「由紀子の頭の中にかなりの量の出血があったようで……。さっきまで純、純と連呼していたのよ」
 由紀子の母親が純を見て涙ぐみながら言う。
 純は、由紀子のベッドのサイドテーブルに置いてある由紀子の持ち物の中に、黒い毛糸の帽子とマスクと赤い手袋があるのに気付いた。触ってみると、それらは少し湿っている。
 そのとき、医師が純たちのほうへ近づいてきた。
「お母さん、峠は越えましたよ。血圧も脈拍も正常値に近づいています」
「……よかったな、由紀子」
 純がそう言いながら、眠っている由紀子の手を握ると、少しだが握り返してきたような感じがする。
(由紀子、君だったのだな。迎えに来てくれてありがとう)
 純の気持ちが通じたかのように、由紀子の口元が少しゆるんだ。
 
 
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第2回感想大会第3弾・里子さん『宇宙調査員』 [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

   ★第3弾作品の登場です★

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今日は第3弾作品の登場です。
感想の書き方や、大会の注意事項については以下の記事を参照してください。
URL→http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19 

(作品をUPする時間は日によってばらつきがでると思います。個人で開催していますので、その点だけご了承下さい。よろしくお願いします)

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 『宇宙調査員』 里子さん

  *第13回 大阪ショートショート大賞 応募作

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「これで五十八社受けたな」
 石原秀夫は、東京メトロHK線で電車を待ちながら独り言を言った。大学四年生の秀夫は九月になってもまだ内定が取れない。つい愚痴をこぼしてしまった。いつもはごった返している駅のホームなのに、人影がまばらだ。
 七,八メートル先に黒のスーツを着た二十二,三歳の女の人が立っている。鼻がちょっと上を向いているが目はぱっちり、美人ではないが色白で秀夫好みの女性だ。その女の人がしきりに秀夫を見ている。
 秀夫は、彼女があまりにじろじろ見るので気になったが、電車が着いたので乗ってしまった。車内は空いていた。さっきの女の人も乗ってきて秀夫の横に座った。手にUH宇宙服会社のパンフレットを大切そうに持っている。
「就活ですか。私もそうですのよ」
おやと思うほど甘く丁寧な言い方で秀夫に話しかける。
「宇宙工学を専攻したのが仇になって」とつい秀夫は言ってしまった。彼女の目がキラリと光った。
「私、大下多恵と申します。滋賀県から就活に来ておりますのよ。宇宙工学素敵ですね」
「そうでもないさ。俺は石原秀夫。今夜は何処かに泊まるのか」
「ご迷惑でなかったら、泊めて貰えません」
秀夫はカバンを床に落としてしまった。恥じらう様子もない多恵をジッと見る。すると多恵は今までの様子と打って変わり、頬を染めた。秀夫はその変わりようが可笑しくて、
(悪い娘でもなさそうだ)と思った。
秀夫は、多恵を自分のマンションに連れて帰った。
 秀夫の父は大きな家具店を経営していたが、三年前に無くなり、母も後を追うように二年前逝った。マンションには一人で住んでいる。
 その晩、秀夫は床で眠り、多恵に自分のベッドを貸してやった
翌朝、秀夫は五十九回目の面接に出かけた。
面接先は家具製造会社だ。小企業だ。暖かい感じの社長が応対に出て来た。社員が急病で亡くなり人手が足らず困っていると言う。秀夫は実家が家具製造会社でよく手伝いをし、自分の机を作ったと話した。
「四月からと言わず明日から来て欲しい」
社長は秀夫を気に入り歓迎してくれた。秀夫はやっと内定が取れた。
マンションに帰ると多恵がドアの前で秀夫を待っていた。
「私、内定が取れましたわ」
「俺も取れた」
二人は取ってきた会社の話をし始めた。
「GG宇宙研究所の宇宙調査員です。私は子供の頃から宇宙に憧れておりましたの」
「何だってそんな男ばかりの会社に行くんだ。宇宙調査なんて大変だぞ」
「でも、私は宇宙研究に憧れておりましたの。やっと内定をとったのです」
「俺が替わりにGGに行っても良いよ」
「そんなことが出来るのでしょうか」
多恵はなかなか返事をしなかったが、秀夫の剣幕に押された。
翌日、多恵はGG宇宙研究所に行く前に友達に電話を掛けた。友達は神田裕樹で宇宙服を作るUH会社に勤めている。宇宙が好きな多恵の話友達だという。多恵は裕樹と一緒にGG宇宙研究所に出向いて行った。
 秀夫はGG宇宙研究所に勤め始めた。宇宙工学を専攻しただけあって、研究所に速く馴染みまじめに務めだした。
 多恵は秀夫と暮らしている。マンションの人達は二人を夫婦だと思っているようだった。

三年の月日が流れた。
「多恵結婚しよう。お前の両親に会いに行こう」
「ええ、嬉しいわ。やっとその気になってくれたのね」
二人で多恵の両親に会いに行く約束をした。
 次の日秀夫がGG宇宙研究所で仕事をしていると所長に呼ばれた。
「おめでとう、辞令がでたよ。君が宇宙調査員に選ばれた。三年間宇宙に行くための訓練に耐えたおかげだよ」
オーマイ星を調査に行かされるのだ。この星を地球の植民地にしようという計画が実行されようとしている。ロボットを入れての調査は一応完了した。今度は人間が直接乗り込んで調査をする段階に来ているが、危険きわまりない調査だ。それにうまくいっても三年から五年はかかる。行くことを断れば研究所を首になる。秀夫は行くことを選んだ。
マンションに帰り、多恵に辞令を見せると
多恵は泣いた。泣きながら秀夫にすがった。
秀夫が調査員として旅立つ日がやって来た。宇宙空港に多恵が見送りに来ている。多恵の側には神田裕樹が立っている。


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第2回感想大会第2弾・せきたさん『ポスト』 [企画]

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   「第2回 掌編がみるみる上手くなる感想大会」

   ★第2弾作品の登場です★

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今日は第2弾作品の登場です。
感想の書き方や、大会の注意事項については以下の記事を参照してください。
URL→http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19 

(作品をUPする時間は日によってばらつきがでると思います。個人で開催していますので、その点だけご了承下さい。よろしくお願いします)


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 『ポスト』 せきたさん
  *第42回 JX童話賞 応募作

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ぼくは10才。まちのにんきものだよ。
べんきょうができる 3つうえのおにいちゃんとは
ケンカばかりだけど。

いつもこうえんの ふんすいのまえにすわって
まちのひとたちに おもしろいはなしをして、たのしませてるんだ。
でも、そのなかに、なにをはなしても もりあがらない
ゆうびんやさんが いるんだ。


ぼくは ゆうびんやさんを たのしませようと、
あちらこちらの おもしろいうわさばなしや、
べんきょうができる おにいちゃんの しっぱいばなしや、
おかあさんが どれだけこわいかを、
おもしろく まいにちはなしつづけたんだ。


それでもゆうびんやさんは、
ただジッと ぼくのはなしを さいごまできいて、
クスクスわらい
そして こういうんだ。
「そんなことが あったんだ」
たったそれだけを。


あるひ、
ぼくは いつものように ふざけていて、
おにいちゃんの だいじな ぼうえんきょうを
こわしてしまったんだ。


わざとじゃないよ。
いつもは、ふざけてわざと イタズラするんだけど、
さすがに、わざと こわせないよ。
なのに、
おにいちゃんも、
おかあさんも、
すごくおこったんだ。
また いいわけするのか! 
なんていって。
ぼくの はなしをきかないで。


だからぼくは、
まちのひとたちに そのはなしをしたんだ。


そしたらね。
みんな
「それはきみが あやまるべきだ!」
とか
「もっとまわりに ちゅういを しなさい!」
とか
「おにいちゃんの きもちも かんがえなさい!」
とか、おせっきょうするんだ。
もう、なんで おこられなきゃなんないの?!


こんな ひともいたな。
「わたしなんか、もっとすごい しっぱいした」
って、じぶんのこと はなしだしちゃって。
つらかったな。
ぼくが はなしをもどしたら、いやなかおされて。
いつもばくは ひとりで、みんなを たのしませてあげているのに、
なんなんだよ。


ぼくは そのとき おもったんだ。
「みんな、ぼくのはなしを きいてくれないんだ。
いつも おもしろいはなしをしなくちゃ、
ぼくなんか ともだちになって もらえないんだ」
ってね。
ぼくは ふんすいのまえから たちあがって、
みんなの いうように
いえにかえって、とりあえず あやまろうとしてたんだ。


そしたらね。
「どうかしたの?」
ってだれかが ぼくにこえを かけたんだ。
ふりかえると、
あのなにもいわない ゆうびんやさんだったんだ。


ぼくはそのまま かえろうとしたんだ。
でも、
くやしいおもいのまま いえにかえりたくなくて、
しばらく
だまって たってたんだ。


そしたらね。
ゆうびんやさんも だまって たってるんだ。
やっぱり、なにも いわないで、
ジッとぼくをみて たってるんだ。


はじめは
そんな ゆうびんやさんに、
イライラしてたんだ。
だけど、
だんだん きもちが おちついてきたから、
ふんすいのまえに すわったんだ。


そしたら、
ゆうびんやさんも となりにすわったんだ。

ぼくは ビックリしたよ。
おもしろいはなしも していない
ぼくの となりにすわってくれたんだよ。


ぼくはしぜんと はなしはじめていたんだ。

おにいちゃんの だいじなものを、わざとこわしてないこと。
すごくわるいことをした とおもっていること。
おかあさんまで ぼくをおこって、
おにいちゃんの みかたをして さみしいこと。
だれもぼくの はなしをきいてくれなくて つらいこと。
ぜんぶ、はなしたんだ。


そしたらね。
ゆうびんやさんは いったんだ
「そんなことが あったんだ」
ってね。


なんでだろう。
いつものことばが こころにひびくんだ。
ぼくは そこではじめて、
ないたんだ。
こえをださないで したをむいて。


そしたらね。
ゆうびんやさんは
だまって、ハンカチをぼくに わたしてくれたんだ。
それで、
ぼくが なきやむまで
ずっと、
となりにすわって いてくれたんだ。


ぼくが かおをあげて
ハンカチを ゆうびんやさんに かえすと、
ゆうびんやさんは いったんだ
「だいじょうぶかい?」
って
ぼくはこころのそこから いったんだ
「うん。はなしをきいてくれて ありがとう」
って


あれから 15ねんたったいま
ぼくは ゆうびんはいたつを している。
いろいろなひとの たいせつなはなしを、
ポストに とどけつづけるために。


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