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【公募情報】第9回健康(セルメ)川柳 [公募情報]

大賞は20万円です。

〔主催者HP〕
http://www.jacds.gr.jp/senryu/

主催者は一般社団法人日本チェーンドラックストア協会です。
主催者HPで過去の受賞作が公開されていますが、ユーモア系が圧倒的に強いです。時事ネタも散見されます。
なので、ドラックストア協会への忖度は不要ということで。
応募締切は令和3年1月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :健康
大  賞:20万円
応募締切:令和3年1月31日
応募方法:インターネット、はがき、FAX

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創作状況【12月上旬】 [ぼくの公募状況]

コロナが急拡大中です。みなさんご注意を!

【サイトーメルマガ第159回の内容紹介】
◆創作に役に立つ書籍紹介 大倉祟裕『福家警部補シリーズ』
◆TO-BE小説工房に挑戦中(第69回)
◆公募情報数点
 最近はミステリ系公募の選考委員となることの多い大倉祟裕の『福家警部補シリーズ』を取り上げます。
 次回発行は1月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
 http://www.arasuji.com/saitomagazine.html

【ショートショートガーデン】
最後のベルモニーコンテスト用の作品をUPする。
そろそろどれを投稿するか選びます。

〔縁もゆかりもない〕
https://short-short.garden/S-uCTmbs


【TO-BE小説工房】
今月投稿用の作品は完成済みなので、テーマを確認したら考えます。

【SSスタジアム】
投稿が終わったので、しばらくは結果待ちです。

【星新一賞】
ストックが溜まりすぎなので、しばらくお休みです。

【創元SF短編賞】
もう1か月しかないが、いまさら書き始める。
いままで考えていたアイデアにしようかと思ったが、明らかにSFから外れてしまったので、ボツアイデアを引っ張り出すことにした。
現在、40×40で7枚です。

【坊ちゃん文学賞】
まだまだ先なので、しばらく休眠です。
ブレインストーミングを活用するソフトをエクセルで作りたいなあと思っているのですが、まだアイデア段階です。
昔ならVBAで作ったと思いますが、いまは手元にVBAがないし、エクセルでも十分形になることが分かったので。

【福島正実SF童話賞】
そのうちブラッシュアップします。たぶん……。

【ゆきのまち幻想文学賞】
今期の投稿が終わったので、しばらく休眠。
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第10期リコー杯女流王座戦第4局(西山女流王座VS里見香奈女流四冠) [将棋]

西山女流王座の1勝2敗で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/

西山女流王座と里見香奈女流四冠の番勝負は4回目です。
過去3回はすべて前年度であり、西山女流王座の3連勝。三冠を達成しました。
逆に里見女流四冠は、西山女流王座に3連勝していれば当時の全女流タイトルである七冠を達成していました。
番勝負で3連敗となるとさすがに序列が付いてしまったかなと懸念していましたが、ここにきて強い内容で里見女流四冠が星ひとつリードし、番勝負における対西山戦勝利に向けて爆進しています。
ここで勝つか負けるかで、今後の女流棋界が大きく変わります。
さあ、里見女流四冠は、絶対王者復活とばかりに西山女流王座からタイトルをもぎ取ることはできるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/10/joryu_ouza202012090101.html

ということで将棋です。
女流棋戦らしい相振り飛車となりましたが、先手の西山女流王座が角交換で手損をしたので、後手の里見女流四冠が先手のような形になります。
手得を活かして陣形整備を続ける里見女流四冠ですが、お互いに手出しが難しくなります。
膠着状態になりかけたところで里見女流四冠が自陣角を放ち、それを見た攻め棋風の西山女流王座が攻めかかります。
戦いが始まりますが、穴熊から玉を這い出しての顔面受けが好手で、先手の攻めが細くなります。
後手優勢ながら反撃するかどうか悩ましい局面なったところで、里見女流四冠は働きの弱かった金を玉に寄せる王道の手を指します。
ですが、これが結果的に一手パスのような緩手になりました。
こん棒とも評される手番を活かした西山女流王座の骨太な攻めが後手玉に突き刺さり、あっというまに今までのリードを吐き出してしまいます。
まだ勝負手は残されていたようですが、傾いた流れは止まりません。
129手まで先手西山女流王座が逆転勝ちをして、タイトルの行方は最終局に持ち込まれました。

最終第5局は、12月14日東京将棋会館で行われます!
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最近の日常【令和2年12月上旬】 [日常]

〔株価急上昇中の話〕
コロナワクチンが開発されたことからアメリカの株価が高騰し、つられて日本の株価も上昇している。で、自分の株を見たらたしかに急上昇しているけと、1年前のレベルには到達していない感じ。
最近は上がったり下がったりが激しいので、やや感覚がマヒしています。
これではいけないのですが。
こうして上がってくると、「あのとき買っておけばよかった」と後悔して、遅ればせながら買い増ししたくなります。けど、こういう気分で買うとたいがい失敗するのが自分のパターンなので、もうしばらく待ちの姿勢で我慢します。
最近は配当重視で、配当がない株を売り、安定した配当がある株を買うなど、株の切り替えを進めています。
それにしてもコロナ不況のダメージは大きく、配当は20%減です。
なにはともあれ、庶民は安全第一で。

〔「飛ぶ」か「重い」かの話〕
傷がついたDVDを再生すると、動画が途中で止まったり、再生が細切れになったりすることがある。
こういうとき、自分は「飛ぶ」と表現するが、息子は「重い」と言う。
「飛ぶ」の語源はおそらくレコード。傷ついたレコードは針が溝から落ちたり飛び出したりするが、それを「飛ぶ」と表現していた。
「重い」はもちろんインターネット経由。回線状況が悪いときや、データ量が多くて動画がなかなかダウンロードできないとき「重い」と表現する。
いまの子供はだいたいがインターネット経由です。
こうして言葉が変わっていくんだろうなあと思いつつ。

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【公募情報】しゃがむ土偶 愛称募集 [公募情報]

面白い土偶の愛称募集です。

http://www.city.fukushima.fukushima.jp/bunka-maizou/doki2pjt/aisyoubosyu.html

発見されたのは福島市東湯野上岡の桃畑。
しゃがみながらウルトラマンのようなポーズをしているのが印象的です。
この姿勢に希少価値が認められたのか、国重要文化財に指定されています。
もしかしたら、福島市のマスコットとして、ゆるキャラ化されるかもしれません。
この面白い土偶の愛称を福島市が募集しています。
締切は令和3年1月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:愛称
テーマ :しゃがむ土偶しゃ
採  用:賞金5万円
応募締切:令和3年1月31日
応募方法:インターネット、郵送

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第33期竜王戦第5局(豊島将之竜王VS羽生善治九段) [将棋]

豊島竜王の3勝1敗で迎えた第5局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

竜王戦第1局で、羽生九段が家族を対局場に呼んだという記事がでました。
その記事によると、家族を呼ぶのは初めてだったそうです。
多くのタイトル戦に登場してきた羽生九段ですが、もう50歳です。
20歳以上年齢の離れている棋士がトップ集団を形成する中で、タイトル挑戦が年々厳しくなっていることは感じていると思います。
もしかしたら最後になるかもしれない、そんな思考が頭を過ったのかなとも思います。
とはいえ、まだ順位戦A級、竜王戦1組の現役バリバリの棋士です。
1勝3敗と追い込まれていますが、ここで年齢を感じさせない将棋を見せることはできるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/33/ryuou202012050101.html

ということで将棋です。
先手羽生九段の矢倉に、後手豊島竜王は雁木を採用します。
どうも後手雁木が盛り返してきているようです。流行の移り変わりは早いです。
後手雁木には早繰銀が有効とされたものですが、羽生九段も銀を素早く繰り出して攻勢を出します。
ここからが中盤のねじりあいです。
豊島竜王は8筋を突破しますが、先手も後手陣の歩を削りながら玉頭の飛車で圧力をかけます。
ここから先手の攻めが後手に刺さるかどうかの勝負です。
羽生九段は63手目に2三歩成と当然のように踏み込みますが、おそらくこの先に誤算があったようです。
5三玉と立たれて、4六飛車と撤退するのは変調で、さらに4一金打は攻めを続けるためとはいえ苦しいです。
以降も豊島竜王はしっかりと読みを入れて、4四桂が5六桂とは跳ねて形勢がはっきりしました
84手まで豊島竜王が勝ち、これで4勝1敗で竜王防衛に成功しました
豊島竜王は始めてタイトル防衛に成功しました。

豊島竜王おめでとうございます!
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【公募情報】第34回小説すばる新人賞 [公募情報]

人気作家を多数輩出している人気公募です。

〔主催者HP〕
http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/award/

基本的にエンターテイメントの賞ですが、幅は広いです
歴代受賞者を見ても、村山由佳、堂場瞬一、浅井リョウなど作風も様々です。
それだけ、選考委員が読んで「面白い!」と思った作品を押す賞なのかなと思います。
なお、同人誌で発表したものも対象外となることに注意してください。
制限枚数は200~500、応募締切は令和3年3月31日です!

〔募集要項抜粋〕
募集内容:長編小説
テーマ :エンターテイメント小説
 賞  :200万
制限枚数:原稿用紙換算200~500枚
応募締切:令和3年3月31日
応募方法:郵送
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【将棋ウォーズ】11月の対局結果 [将棋]

12局遊んで、9勝3敗の勝率0.750でした。

〔将棋ウォーズ〕
https://shogiwars.heroz.jp/

初段を目指していたはずが、気がついたら10分切れ負けで二段に到達。
まったく二段という感じがしないのですが。
仮に自分が二段なみの実力があるとして、棋力が向上した理由をひとつあげるとしたら、藤森哲也五段のチャンネル『将棋放浪記』を視聴していることかもしれない。
基本的にはウォーズ対戦動画なのですが、プロ的な考え方、局面のとらえ方を話しながら対局しているのでとても参考になります。
将棋系チャンネルの中でも、超オススメです。
先月は「30局目標」を掲げて、実際はその半分以下という感じでなかなか将棋ウォーズをする時間がないのですが、『将棋放浪記』はかならず見ています。
今後も放送を続けて欲しいです。
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【書評】チャチャヤング・ショートショートマガジン第7号 [書評]

ベテランショートショート作家陣による同人誌第7号です。





いつものメンバーが並んでいますが、個人的にオススメなのは冒頭に掲載されている『靴屋の小人』です。
自然な導入から始まり、徐々にファンタジックな奇妙な出来事が起こり、最後にインパクトのあるオチが待っている。
ショートショートなので詳しい内容を説明することはできませんが、これぞショートショートといった作品です。
キンドルで99円にて販売中です。
こうした販売ができるのが、デジタルコンテンツの強みです。
お得ですのでぜひ!
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【短編】齊藤想『スターリーグラードの雪女』 [自作ショートショート]

第30回ゆきのまち幻想文学賞に応募した作品です。
原稿用紙10枚になります。

―――――

『スターリーグラードの雪女』 齊藤 想

 乾いた雪雲が、重しのように戦場を覆いつくしている。光が差し込む隙間はない。
 時は一九四三年の一月。かつては豪華絢爛だったスターリーグラードは、一年近くも続く戦乱に打ちのめされ、廃墟と焼け野原の集合体に変わり果てていた。
 膠着する戦線を前に、ソ連軍の航空隊指揮官ルジェンコ少将はいらだっていたし、いら立ちを隠そうともしなかった。
 スターリーグラード攻防戦は、最終盤に差し掛かっていた。
 ドイツの誇る第六軍はウラヌス作戦によって包囲され、東西四〇km、南北三〇kmの範囲に閉じ込められている。
 真冬のスターリーグラードは、零下三十度を下回るのも珍しくない。ドイツ軍の補給線は陸路を断たれ、ほそぼそとした空輸に頼らざるを得なくなっている。
 食料、弾薬ともに尽きかけているのは、日々の戦闘を通じて実感している。威力偵察に対する一斉射撃はすでに止み、ドイツ軍が反撃するのは本格的な攻撃時に限られている。
 すでに、ドイツ軍の気力と体力の限界は超えているはずだ。それなのに、第六軍はしぶとく抵抗を続けている。
 希望が完全に打ち砕かれたとき、軍隊は投降する。ドイツ軍が抵抗を続けているのは、まだ彼らに希望が残されているからだ。その希望とは、大雪の日にだけ現れる一機の白いユンカース輸送機だい。その輸送機はどんな悪天候でも飛び、雪雲を利用して戦闘機からの迎撃を交わし、ドイツ軍に食料と弾薬を届け続けている。
 空気抵抗より生産性と安定性を重視したジャラルミン製の波型外板。引込み脚が常識の時代にいまだに古典的な固定脚。遠くからでもすぐに分かる箱型のフォルム。
 そのユンカースは補給物資を満載し、鈍足でよたよたと飛んでいるのに、なぜか戦闘機の追撃を振り切ってしまう。神業的な技量を持ったその白い機体を、航空隊の隊員たちは畏怖の念を込めてこう呼んでいた。
「スターリーグラードの雪女」と。

「スターリーグラードの雪女」が始めて現れたのは、前年十一月の下旬だった。
 準備の整ったソ連軍の精鋭がドイツ第六軍の後方から襲い掛かり、壊滅させ、ドイツ軍司令部は前方に向かって退却するありさまだった。
 敗走するドイツ軍を追いかけるようにして、白いユンカースはその姿をスターリーグラードの雪原に現した。輸送機にはつきものの護衛戦闘機の姿はなく、単騎で大空を翔るその姿は、まるでプリマのような優雅さを感じさせるものだった。
 当日は大雪で、強風が吹き荒れていた。左右と中央に三基のエンジンを持つ大型のユンカースは、風の影響を感じさせることなく、定規で引いたかのように飛び続けている。
 ユンカース発見の報告を受けたルジェンコは、即座に撃墜を命じた。ソ連の主力戦闘機であるヤコブレフのエンジンが一斉に始動する。ソ連軍機は極寒でも出動できるように、絶えずエンジンを温めている。ルジェンコは準備を怠らない指揮官であり、当然の措置だった。
 「ドイツ軍の罠かもしれない」その考えが一瞬だけルジェンコの脳裏をよぎったが、獲物を見逃す手はない。離陸時に三機が風に煽られて大破したが、残りの七機は無事に飛び立って、ユンカースに突撃していった。
 多勢の快速戦闘機に追われて逃げ切れる輸送機はいない。特にユンカースは旧型機で、速度はヤコブレフの半分以下だ。追われるユンカースは雪雲に隠れ、まもなく雲の隙間から炎が立ち昇った。
 悪天候のため確認できなかったが、だれもが撃墜を確信していた。
 ところが、白いユンカースは再び雪雲の隙間から傷ひとつない姿で現れ、そのまま悠然と飛び続けたのだ。ヤコブレフは次の獲物を狙うために帰還している途中で、これから追いかけるにしては遠すぎるし、なにより天候の悪化に拍車がかかり、飛んでいるのが奇跡的な状況だった。
 大空のエースたちは、白いユンカースの卓越した操縦技術に舌を巻きながら、遠ざかる姿を茫然と見送るしかなかった。
 しばらく白いユンカースは姿を見せなかったが、ドイツ軍による最後のあがきともいえる「冬の嵐作戦」が失敗に終わり、第六軍の命運が定まったころ、再び戦場に現れた。
 ルジェンコは次こそはと迎撃を命じた。ヤコブレフが一斉に大空に向かう。
 白いユンカースは逃げなかった。蝶のようにひらひらと機体を左右に滑らせると、ヤコブレフの攻撃を交わし、そのまま雪雲に隠れていった。
 ルジェンコは指揮官として、愚鈍な輸送機を落とせないパイロットをなじった。だが一機ぐらい撃ち漏らしても大勢には影響がないと冷静に判断する目も持っていた。いままで彼らは十分に戦い、勲章を何個ももらうような戦果を挙げている。部下を甘やかすわけではないが、ひとつぐらいの失敗がなんだというのか。気が緩まなければ、それでよい。
 ドイツ軍が必要とする物資は一日七百トン。ユンカース一機が運べる重量は、満載でも十一トンに過ぎない。白いユンカースが毎日往復しても、補給できるのは必要量の二パーセントにも満たないのだ。
 ドイツ軍の飛行機はほぼ落ち落とされ、大空を舞うのはロシア軍機ばかり。すでに戦況の趨勢は定まっている。
 年が明けると、さらにドイツ軍の状況は絶望的になっていた。援軍を送るどころか第六軍を救う前線は二〇〇km後方まで下がり、ヒトラーやゲッペルスによる誇大妄想的な演説はますます現実から遊離していった。
 ルジェンコは「ナチスの幹部は空想の世界に生きているのではないか」と疑ったが、その疑念の半分以上は正解だった。
 一月中旬になると、ドイツ軍の運命はだれの目にも明らかになっていた。ドイツ政府はついに第六軍が包囲されていることを認め、一部の幹部が密かに戦場から脱出した。
 それでも「スターリーグラードの雪女」は戦場に現れ、見捨てられたドイツ軍に貴重な補給物資を届け続けていた。ルジェンコは最初こそ敵パイロットの技量に感嘆の声を上げたが、こうまで続くと、いつまでも撃ち落とせない味方パイロットに対するいら立ちが募るようになった。時にはパイロットに手を上げることもあった。この失態がスターリーンの耳に聞こえたときの粛清も不安だった。
 スターリーグラード攻防戦は終末に向かって転がり続けていた。ドイツ軍は断末魔の悲鳴を上げようとしている。
 ドイツ軍占領区域に残された虎の子の飛行場であるビトムニクが、次にグムラクがソ連軍の手に落ちた。ドイツ軍に残されたのは、スターリングラツキーに急増された小さな飛行場のみ。この飛行場では大型機であるユンカースは離着陸できない。
 ヤツの出番はない。理論的にはそうなるはずだ。それなのに「スターリーグラードの雪女」は戦場に現れた。ルジェンコが望遠鏡で眺めると、補給物質を落とすのではなく、なんと小さな飛行場に向けて着陸態勢を取っている。
 いくらなんでも無謀だ。だが、ヤツの操縦技術ならやりかねない。
 ルジェンコは部下のパイロットに檄を飛ばした。
「絶望的な状況であるドイツ軍が降伏しないのは、あの雪女のせいだ。あいつが補給物資を届けるせいだ。あいつが着陸するたびにわが同志千人が命を落とす。撃ち落とせないお前らの腰抜けぶりは、犯罪行為に等しい」
 部下たちは目の色を変えて撃墜に向かった。いくら悪魔のような技術を持っていても、地上ではいかんともしがたい。指揮官は朗報を待ち続けた。
 ところが、間もなく戻ってきた配下たちの報告にルジェンコは耳を疑った。
「ユンカースの姿が見当たりません」
 エースたちがスターリングラツキーの飛行場に到着したころ、すでに同胞が飛行場の占領を完了していた。ドイツ軍機が着陸できるわけもなかった。
 「スターリーグラードの雪女」は忽然と消え去った。

 間もなくドイツ軍の第六軍は降伏した。ゲーリングが長々とした悲壮かつ創玄な「追悼の辞」を演説したが、自らの軍事的無能さを棚に上げたその調子に、ルジェンコは見下した笑い声をあげるとともに、このような男に指揮されたドイツ軍に同情した。
 戦闘終結後、ルジェンコは「スターリーグラードの雪女」の正体を確かめようと、ドイツ軍捕虜の尋問を繰り返した。その活動は戦後も続けられたが、だれもその正体を知るものはいなかった。
 疲労による幻影として切り捨てるには、あまりに記憶が鮮明にすぎる。
 捕虜に対する尋問を繰り返しているうちに、あるドイツ軍の伍長が疲れ切った顔でこうつぶやいた。
「補給を待ち望んでいたおれたちの願いが幻影となって、大空をかけていたんじゃないですかねえ」
 もしかしたら、この言葉が真実に一番近いのかもしれない。
 ルジェンコは余生を故郷のモスクワ郊外の村で過ごし、静かな生涯を終えたという。
「スターリーグラードの雪女」の伝説は、いまだにソ連を引き継いだロシア軍に言い伝えられている。

―――――

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