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【書評】広瀬正『マイナス・ゼロ』 [書評]

広瀬正の処女長編にして、代表作といわれる作品です。
第64回直木賞の候補作。


マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)

マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)

  • 作者: 広瀬 正
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/07/18
  • メディア: 文庫



いわゆるタイムマシン物ですが、タイムパラドクスをどう処理するかが課題になります。
その課題に正面から取り組み、広瀬流の回答を出したのがこの作品です。
読んでみて、途中で中だるみ感はあるにしても、ひどく面白い。
昭和初期の描写が細かくて、大正15年生まれの著者だからこそ書ける部分が多かったと思います。資料を集めることはできても、時代の空気というものは、やはりリアルタイムで生きてきたひとが一番ですから。
最後の解答部分について、意見が分かれるかもしれません。
一部謎が残っていますし、反則気味と感じられるかもしれません。
が、タイムマシンとしてありえないことではありません。
このような発想をした作者に、盛大なる拍手を送りたい気分です。着想がすごいです。

すでにSF界の古典として扱われているかもしれませんが、タイムマシン史に残るような作品だと思います。
この作品を読むにつれ、作者の早逝が惜しまれます。
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