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中西進 『万葉集全訳注原文付』 [書評]

これは力作です。


万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫 古 6-1)

万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫 古 6-1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1978/08/28
  • メディア: 文庫




万葉集 全訳注原文付(二) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(二) (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1980/02/13
  • メディア: 文庫




万葉集 全訳注原文付(三) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(三) (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1981/12/11
  • メディア: 文庫




万葉集 全訳注原文付(四) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(四) (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1983/10
  • メディア: 文庫



一冊に万葉集の読み下し文と、原文と、口語訳と、注解の全てが盛り込まれている。
ページを上段と下段にわけ、上段に読み下し文→原文、下段に口語訳と注解が入っている。
口語訳だけ読んでも良し、読み下しだけ読んでも良し、読者の力量に合わせて自由自在です。
ぼくがどう読んだかというと、読み下しと注解で自分なりに解釈してから口語訳に目を通しました。最初はチンプンカンプンでしたが、読みなれてくると、なんとなく万葉歌人が見た風景が浮かび上がってくるような気がします。

万葉集の名前は知っていても実際に読んだひとは少ないと思います。
収められている和歌のほとんどが、宮廷歌人たちの恋や風物を詠ったものです。
恋歌は激しいものが多いですが、当時の女性は経済的自立が困難で、親が死んだり、夫の心が離れてしまったりすると、たちまち困窮に陥るとかどこかの本で読んだことがあるので、もしかしたら悲痛な叫びではないのかと、いろいろと想像しました。
あまり想像を広げすぎてもダメなんでしょうけど。

万葉集で有名なものに、東歌があります。
数は少ないですが、防人たちの歌を集めたものです。
宮廷歌人の和歌は技巧が多く、正直、和歌の素人には詠みにくいのですが、防人たちの歌は素朴で、テーマも家族との別れを悲しむのが主なので現代人にも心が伝わってきます。
一見すると政府批判(天皇批判)にも取れる歌を収集し、なぜ収録したのだろうかと疑問を感じましたが、宮廷歌人にとり、「防人たちの悲しみ」が春になれば桜を愛で、冬になれば雪を楽しむのと同じように、一種の風物詩として定着していたのかもしれません。
万葉集そのものも、宮廷人たちが子孫のために日記を残した(慣例や儀礼を知ることが重要だった)のと同じように、子孫の家業のために作ったものかもしれません。
これは万葉集を読んだだけで書いている単なる感想なので、勉強を進めないとこのあたりは分かりませんね。

そんなこんなで、読んでいて面白い読み物ではないけど、歴史が好きならば目を通すのも悪くないと思います。
ただし、真面目に読もうとすると、めっぽう時間がかかるのでお覚悟を……。

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