『就職難の時代に』 齊藤 想

久しぶりに自作ショートショートをUPします。
といっても、一休とんち大賞の落選作なので、原稿用紙１枚です。
小噺……と呼んだほうが正確ですね。

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『就職難の時代に』　　齊藤　想


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「なに、就職が決まったと。それはおめでとう。大学を卒業しても就職先が決まらない時代だから、お父さんは心から心配していたんだぞ。
　それで、どうだ。手堅い会社なのか？　介護関係の会社か。それはいいことだ。これから高齢化社会に突入するから、きっと業績は伸びていくぞ。会社の成長に負けないように、健一もしっかりと成長するのだぞ。
　ところで、健一はどのような仕事を担当するのか。独居老人と会話して寂しさを紛らわす仕事なのか。孤独死が話題になる時代だから、それはとても大切な仕事だな。何度も自宅に通って早く顔を覚えてもらうのだぞ。
　なに？　家にも行かないのか。一人暮らしの老人宅に電話を掛けるだけだと。それも時代の流れなのかもしれないなあ。電話口でオレオレと息子の代わりに語りかけ、孤独な心を十分に癒したところで料金を振り込ませると。おい、それってもしかして……。
　
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一休とんち大賞の趣旨に合わせて風刺を入れましたが、旬が過ぎていますね（汗）



【注意喚起】 9/11に第13回大阪ショートショート大賞の紹介をしましたが、締切日が間違っていました。 10月7日（消印有効）　が正しい締切日です。 ぜひとも主催者のブログでご確認ください。 ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

　
記事：http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2011-09-11
主催者ブログ：http://writing-s.txt-nifty.com/osirase/
　

コメント 2

なかなか風刺が効いてて面白いですね。
去年だったらよかったかもしれません。

この息子が、まじめに就職を喜んでいるようなので笑えます。
by リンさん (2011-09-22 19:19) 

＞リンさん
実際にオレオレ詐欺の会社があったようですからね。
風刺のつもりですが、時期ズレだけでなく、現実社会と近すぎたというのもあるかもしれませんね。
by サイトー (2011-09-23 00:10)