【書評】辻真先『天使の殺人』 [書評]
良い意味での珍品ミステリである。
普通のミステリは、犯人がいて、殺人事件が発生する。常識的に考えて、この逆はありえません。犯人がいないのに殺人事件が発生するなど、そんなバカな。
ところが、このありえない設定の作品を書き上げてしまう天才が日本にいました。ぼくが勝手に速筆魔人と呼ぶ辻真先である。
この事件は、南海の孤島で事故による死者が発生するところから始まります。ところが、遠く離れた東京に伝わるのは北風みねこという役名のみ。実は同じ役を3人が争っていた最中だったため、3人のうちだれが死んだのか分からない。そこで劇団の主催者が真相を探るべく機上のひととなるが、そこで毒殺されてしまう。
地上があたふたしている一方で、天使たちもあたふたしていた。
天使は「北風みねこ」の魂を引き取るように天子界から命令を受けるが、肝心要の「北風みねこ」がだれなのか天使にもわからない。設定からして、北風みねこが犯人でなくてはならない。
そこで、天使はだれを「北風みねこ」にしたら殺人事件の辻褄があうのか推理を始める……という、常人では考え付かない奇抜なアイデアです。
もちろんアイデア倒れに終わるのではなく、しっかりとしたミステリ、謎がたまねぎの皮のように次々ともげていくこの爽快感は、さすが大御所とうなるしかありません。
アイデアをアイデアだけで終わらせるのではなく、きっちりと本格ミステリとして昇華させる作者の腕前に脱帽です。
普通のミステリは、犯人がいて、殺人事件が発生する。常識的に考えて、この逆はありえません。犯人がいないのに殺人事件が発生するなど、そんなバカな。
ところが、このありえない設定の作品を書き上げてしまう天才が日本にいました。ぼくが勝手に速筆魔人と呼ぶ辻真先である。
この事件は、南海の孤島で事故による死者が発生するところから始まります。ところが、遠く離れた東京に伝わるのは北風みねこという役名のみ。実は同じ役を3人が争っていた最中だったため、3人のうちだれが死んだのか分からない。そこで劇団の主催者が真相を探るべく機上のひととなるが、そこで毒殺されてしまう。
地上があたふたしている一方で、天使たちもあたふたしていた。
天使は「北風みねこ」の魂を引き取るように天子界から命令を受けるが、肝心要の「北風みねこ」がだれなのか天使にもわからない。設定からして、北風みねこが犯人でなくてはならない。
そこで、天使はだれを「北風みねこ」にしたら殺人事件の辻褄があうのか推理を始める……という、常人では考え付かない奇抜なアイデアです。
もちろんアイデア倒れに終わるのではなく、しっかりとしたミステリ、謎がたまねぎの皮のように次々ともげていくこの爽快感は、さすが大御所とうなるしかありません。
アイデアをアイデアだけで終わらせるのではなく、きっちりと本格ミステリとして昇華させる作者の腕前に脱帽です。
サイトー先生、私のブログにnice!を賜りありがとうございました。辻さんの小説は読んだことがありませんでしたが、自分では思いつかないようなアイデアで楽しそうですね。このアイデアにnice!ということで。私のブログの方も、お暇なときにまた覗いてやってください。もっとも家族問題だのパーソナリティ障害だの通級だのと小学校にまつわる話しかしないので、サイトー先生が読んで楽しいものか……?
by 自称隊長 (2013-02-03 08:48)
>自称隊長さん
辻先生の作品は、かなり突飛というか遊び心満載のアイデアがいっぱいです。
ユーモアもあるので、読んでいて楽しいです。
自称隊長さんのブログも参考になります。
なるほどーといつも唸っています。
by サイトー (2013-02-04 06:51)
サイトー先生、好意的な評価ありがとうございました。遅ればせながら、こちらのブログを私のブログに読んでいるブログとして登録させていただきました。明日は熱海、楽しんで下さい。東京の空の下からお祝い申し上げます。
by 自称隊長 (2013-02-04 22:12)