あさのあつこ『バッテリーⅠ~Ⅵ』 [書評]
あさのあつこの大ヒット児童文学です。
Ⅰ~Ⅵまでありますが、Ⅰは文句なしの名作だと思います。
Ⅱ~Ⅳ前半まで合わせても、傑作だと思います。
Ⅳ後半~Ⅵはあまりにストーリーが進まなくて微妙。
こんな印象を持ちました。
児童文学だけど、子供向けではなく大人向けの児童文学だと思います。
主人公は投手として天腑の才を持った中学1年生です。彼が片田舎に引っ越したことから物語が始まります。
裏の主人公の弟で、弟は体が弱く、いつも母親の庇護の元にあります。
それが、野球好きの祖父や、主人公の周囲に集まる野球少年の影響を受けて、徐々に外の世界へと足を向けます。
筋はいろいろあって、主人公と母との葛藤、母と祖父との確執、主人公と弟との関係、主人公がいることで広がる波紋……、これらの複雑な関係を、簡潔な文体ですっと読者に飲み込ませる力量は特筆すべきものだと思います。
Ⅱ巻から中学野球部の先輩が登場します。
そこでの話はやや月並みと思っていたら、Ⅲ巻になりそれらが伏線となり読者に迫ってきます。
とにかく人間の書き方が上手いんですよね。
キャラはそれぞれ信念というか考え方を持っているのだけど、ただ、その信念を守るだけじゃなくて、中学生らしくいろいろな出来事により揺れ動く。それが主要キャラだけでなく、キーポイントとなる人間それぞれに割り振られている。
これは並みの才能にできる芸当ではないと思います。
隣の強豪中学の中心選手である門脇と練習試合で対決。そこで門脇から三振を取るものの、そこから崩されてマウンドから下ろされてしまう。
ここまでがⅣの前半で、物語はピークを迎えます。
ところが、ここから物語が急に進まなくなる。
主人公がいる中学は強豪中学との再戦を目指していくのですが、心理描写を丁寧になぞるあまり、再選が実現するのがなんとⅥの最後。
おまけに結果はナゾのまま物語は閉じられてしまう。
テーマも途中からぼやけてしまったというか。
過剰とも思える心理描写には好き嫌いが分かれる部分かもしれませんが、前半が素晴らしいだけに、ぼく的には残念感が残りました。
Ⅰ~Ⅵまでありますが、Ⅰは文句なしの名作だと思います。
Ⅱ~Ⅳ前半まで合わせても、傑作だと思います。
Ⅳ後半~Ⅵはあまりにストーリーが進まなくて微妙。
こんな印象を持ちました。
児童文学だけど、子供向けではなく大人向けの児童文学だと思います。
主人公は投手として天腑の才を持った中学1年生です。彼が片田舎に引っ越したことから物語が始まります。
裏の主人公の弟で、弟は体が弱く、いつも母親の庇護の元にあります。
それが、野球好きの祖父や、主人公の周囲に集まる野球少年の影響を受けて、徐々に外の世界へと足を向けます。
筋はいろいろあって、主人公と母との葛藤、母と祖父との確執、主人公と弟との関係、主人公がいることで広がる波紋……、これらの複雑な関係を、簡潔な文体ですっと読者に飲み込ませる力量は特筆すべきものだと思います。
Ⅱ巻から中学野球部の先輩が登場します。
そこでの話はやや月並みと思っていたら、Ⅲ巻になりそれらが伏線となり読者に迫ってきます。
とにかく人間の書き方が上手いんですよね。
キャラはそれぞれ信念というか考え方を持っているのだけど、ただ、その信念を守るだけじゃなくて、中学生らしくいろいろな出来事により揺れ動く。それが主要キャラだけでなく、キーポイントとなる人間それぞれに割り振られている。
これは並みの才能にできる芸当ではないと思います。
隣の強豪中学の中心選手である門脇と練習試合で対決。そこで門脇から三振を取るものの、そこから崩されてマウンドから下ろされてしまう。
ここまでがⅣの前半で、物語はピークを迎えます。
ところが、ここから物語が急に進まなくなる。
主人公がいる中学は強豪中学との再戦を目指していくのですが、心理描写を丁寧になぞるあまり、再選が実現するのがなんとⅥの最後。
おまけに結果はナゾのまま物語は閉じられてしまう。
テーマも途中からぼやけてしまったというか。
過剰とも思える心理描写には好き嫌いが分かれる部分かもしれませんが、前半が素晴らしいだけに、ぼく的には残念感が残りました。
2012-03-13 17:14
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