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【書評】槇幸『潜水艦気質よもやま物語』 [書評]

よもやま物語リリーズの第37巻です。


潜水艦気質よもやま物語 (〔正〕)

潜水艦気質よもやま物語 (〔正〕)

  • 作者: 槙 幸
  • 出版社/メーカー: 光人社
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 単行本



著者は伊25潜に聴音担当者として乗り込み、3回の出撃とも生還に成功します。
第1回が真珠湾攻撃に呼応し、ハワイ沖に進出してからオーストラリアまで転進し、搭載された飛行機で偵察任務をこなします。
第2回はアメリカ西海岸の奇襲砲撃、第3回は同じくアメリカ西海岸への奇襲空爆です。
奇襲砲撃や空爆は、アメリカが覇権を握ってから、テロを除いてアメリカ本土が攻撃された唯一の例です。
潜水艦の生活ですが、実際に勤務していただけに、具体的です。
ほとんどが日常の連続で、トビウオを捕まえたり、たまたまいた鳥を捕えて飼育したり、戦友とバカ話に興じたり、ほのぼのとしたものです。
潜水艦は沈むときは一蓮托生なので家族的雰囲気が強く、階級による上下意識が薄く、それをみんな楽しんでいるようです。
昼の潜航中は暇なのでみんな寝て、夜になると浮上して交代で見張りをする。
こうした日常も、ミッドウェーで大敗し、戦況が逼迫してくると、だんだんと危険な場面が目立ってきます。
一瞬の差が生死を分け、沈没する敵船に無常の思いを感じたり、日本が近づくと安堵したりと、人間らしい感情が淡々としたタッチの中で描かれていきます。
舞台となった伊25潜ですが、著者が退艦した次の出撃で沈没します。本当に運命は紙一重です。
このころの本は、著者の住所が書いてあります。
試しにYahoo地図で調べてみたら、いまは更地になっていました。時代の流れを感じます。

潜水艦乗りの気持ちを知りたいひとのために!
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