【書評】上橋菜穂子『獣の奏者(闘蛇編~王獣編)』 [書評]
長編ハイファンタジー児童文学です。
物語の舞台は中世前半をイメージした架空の大陸です。
2006年に闘蛇編、王獣編が出版され、物語としてはここで完結したのですが、ファンからの後押しもあり、2009年に探求編、完結編が出版されました。
さて、前半の感想です。
物語の舞台は架空ですし、闘蛇と王獣という作者が生み出した動物が物語の重要なキーとして登場しますが、基本的には現実世界と同じ生物が登場し、その行動原理も現実そのものです。
闘蛇と王獣についても、現実世界の生物から借用したと思われる行動原理に満ちあふれています。
作者の綿密な調査がうかがわれる設定ですし、ひとつひとつの行動が後で意味を持ってくる点など、作者の構想力の豊かさを感じます。
なにより素晴らしいのは、簡潔で分かりやすい文章です。
全てが作者の想像の産物であるハイファンタジーの場合、SFにも通じる部分がありますが、世界観を説明するために説明過多になりがちです。
しかし、作者は物語を進めるなかで、ゆっくりと世界観を読者の頭にそっと差し入れてくれます。
描写も視覚のみに頼るのでは無く、五感を刺激するように、適度にバランスを取りながら必要最低限の範囲で描いていきます。
大人が読んでも楽しめるというより、むしろ大人に読んで欲しい児童文学だと思いました。
物語の舞台は中世前半をイメージした架空の大陸です。
2006年に闘蛇編、王獣編が出版され、物語としてはここで完結したのですが、ファンからの後押しもあり、2009年に探求編、完結編が出版されました。
さて、前半の感想です。
物語の舞台は架空ですし、闘蛇と王獣という作者が生み出した動物が物語の重要なキーとして登場しますが、基本的には現実世界と同じ生物が登場し、その行動原理も現実そのものです。
闘蛇と王獣についても、現実世界の生物から借用したと思われる行動原理に満ちあふれています。
作者の綿密な調査がうかがわれる設定ですし、ひとつひとつの行動が後で意味を持ってくる点など、作者の構想力の豊かさを感じます。
なにより素晴らしいのは、簡潔で分かりやすい文章です。
全てが作者の想像の産物であるハイファンタジーの場合、SFにも通じる部分がありますが、世界観を説明するために説明過多になりがちです。
しかし、作者は物語を進めるなかで、ゆっくりと世界観を読者の頭にそっと差し入れてくれます。
描写も視覚のみに頼るのでは無く、五感を刺激するように、適度にバランスを取りながら必要最低限の範囲で描いていきます。
大人が読んでも楽しめるというより、むしろ大人に読んで欲しい児童文学だと思いました。
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