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【書評】『ドキュメント電王戦』 [書評]

第2回電王戦を、棋士、開発者、解説者などへのインタビューを通じて振り返ります。


ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

  • 作者: 夢枕獏
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/08/29
  • メディア: 単行本



棋士たちのインタビューは、かなり本音がでていたと思います。
船江恒平五段のコンピューター将棋への分析は鋭くて、「漠然とした局面での中盤はコンピューターが上」、「鬼と言われる終盤にも隙があり、数手後の詰めろや必死は苦手」など、多く対戦したからこそ理解できる特徴を指摘していました。
多くの棋士が、コンピューターの実力をたたえ、今後は研究のパートナーになると考えているようでした。
本として統一が取れた体裁ではなく、各自がかなり自由な意見を述べています。方向性のない本だからこそ、電王戦の意義が見えてくるような気がします。
電王戦についていろいろ考えるのですが、チェスのように、いつかは通らなくてはならない道だったと思います。
そのタイミングがどうだったか。
三浦九段は旧GPSには練習の結果、概ね勝てるようになったが、そのバージョンUPであるGPS FISHには、本番一週間前だったので癖を掴むことを重視していたとはいいながら、なかなか勝てなかったと述べています。
第3回電王戦で菅井五段が練習将棋でほぼ五分であることをみても、あと1年ないし2年早ければ、また違った展開になったかもしれません。
ギリギリのタイミングで踏み出した。そのような印象を持ちました。
電王戦をどう活かしていくのか。そして、電王戦後はどうするのか。
そのような難しい命題を、将棋界は突きつけられているような気がしました。
いろいろと考えさせられました。
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