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息子の発想より [日常]

幼稚園でカルタ作りがあった。
園児それぞれ50音を割り振って、文章と絵を描く。うちの息子は「い」が担当になった。
幼稚園からのお手紙には「文章はお母さんとお父さんも一緒に考えて下さいね」とあったので、家内が「イルカがね~」とか教えていた様子。
で、完成品。
他の園児たちが
「あけましておめでとうございます」
とか
「うさぎがピョンとはねる」
とか書いている中で、うちの息子は

「いしころさん おさけをのんで いかになる」

だって。
意味分からないんですけど。
家内の教えは完全に無視されているし(笑)

ということで、息子の意思を継いで?無理矢理ショートショートを作ってみた。


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『いしころさん おさけをのんで いかになる』 齊藤想


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「なにー、石をイカにする酒を開発しただと!」
「ええ事実でございます。この酒には強烈な還元効果があり、石の主成分である酸化ケイ素を酸素とケイ素に分離させ、さらに酒に含まれる特別なアルコール類がケイ素を触媒として炭素結合を伸ばして……ごたくは良いから、まずは現物をご覧ください」
 助手が石に酒を掛けると、不気味な泡につつまれた。石が割れる音がして、登場したのは紛れもない干からびたイカだった。一般的にはスルメと呼ばれる物体だ。
「これは……食べられるのかね?」
「もちろんです」
 助手は胸を張って答えた。
「イカですから」
 助手は足をつまむと、頑丈な歯でかじった。
「うーん、上手い!」
 大げさに喜ぶ声がする。その声に釣られて教授もかじろうとすると、スルメではなく歯が欠けた。
「なんだこれは、食べられる代物ではないぞ」
「元々が石ですからね。けど、そこは意識の問題ですよ」
 助手が口を動かすたびにスルメが吸い込まれていくのを、教授は信じられないものを目にしたような感じであっけにとられた。イカの足が完全に見えなくなった。口の奥から何かが砕ける音がする。助手は胸を張った。
「絶対に食べるのだという、意思の堅さが問題です」
 まあそうだな、と教授は首を縦に振る。
「石の硬さが問題だな」
「そうです。意思の固さが問題です。固いからこそ食べられます」
「いやいや、硬ければ無理だろう」
「固ければ可能です」
 二人で微妙に噛みあわない会話に、お互いは首を捻りあった。
 

(終わり)
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 すみません。オチが思いつきませんでした(涙)


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リンさん

子供の発想って面白いですね。
この感性、いいですね。将来有望?

それに、これ案外深い意味があるかもしれませんよ。
石のように意志が堅い人でも、お酒を飲めばどうでもよくなっちゃう。「まあ、いっか~」ってね(笑)

これもダジャレ落ち。日本語って面白いですね^^
by リンさん (2011-02-02 16:44) 

サイトー

>リンさん
うちの息子の発想は、どこか、独特というか、なんというか(汗)
ぼくが「イカスミで 柿を書くなり 法隆寺」(正岡子規のパロディーです)とかわけわからない提案をしたりしていたので、「イカ」がキーワードとして浮んだのかもしれません。

まあ、なんだか(笑)
by サイトー (2011-02-02 23:04) 

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