SSブログ

【書評】岡本浩一『<能力主義>の心理学』 [書評]

社会心理学者として多種多様な著書を発表している著書による能力主義論です。


「能力主義」の心理学 (講談社現代新書)

「能力主義」の心理学 (講談社現代新書)

  • 作者: 岡本 浩一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 新書



本書は能力主義について社会心理学の立場から幅広い議論をしていますが、重要なのは第4章のリーダーシップ論と第8章の「自己実現」を問い直すだと思います。
特に第8章は逆境に陥ったときにどのような心理状態になるのか、また最悪な状態を脱するにはどうすべきが具体的に記載されていて、力づけられるひとが多いと思います。
また順調なときに注意すべきことも、社会心理学の立場から苦言を呈してくれます。
著者の言葉は単なる経験談ではなく、実験による理論に裏付けられていますので、説得力が違います。
逆境について少し書きますと、人間は逆境のひとを避ける傾向にあるため、逆境は逆境を深める性質があります。その結果、通常なら上手くいくこともいかなくなり、学習性無力感と似た状態に陥る可能性があります。
逆境を脱出するにはチャンスを掴むことですが、学習性無力感に陥ると、チャンスを逃したり、チャンスに気がつかない恐れがあります。
そうした状態に陥らないためには、仕事面における自己アイデンティテイの割合を低下させ、仕事以外の領域で自己アイデンティティを保つ必要があります。
つまり、家庭や趣味の世界を保つことが重要ということです。
こうした具体的な処方箋が満載です。
仕事に悩むひとは、または順調すぎるひとは、一読することをオススメしたいです。
きっと、よい薬になると思います。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0