『上の住民』 なににゅさん [ショートショートの紹介!]
今日はなににゅさんの『上の住民』を紹介します。
なににゅさんは僕が紹介してきた中でも、かなり旺盛な創作意欲をお持ちでの方で、ショートショートを中心に多数の作品を執筆されています。
また、粗挽派にも興味をお持ちで、粗挽派の作品も散見されます。
ちなみに本作は純然たるショートショートですので、粗挽派を知らなくとも楽しめると思います。
それでは、お楽しみください!
【FC2小説・なににゅさんのページ】
http://novel.fc2.com/user/5355223/
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『上の住民』 なににゅ
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上の住人がうるさい。
毎朝バタバタと足音がする。
それも毎日決まった時間だ。
3時40分から4時までの20分間。
深夜帰りの俺の睡眠を邪魔される。
足音がするようになったのは3ヶ月前。
もう我慢できない。
時計は3時30分を指していた。
あと10分。
今日こそは文句を言ってやる。
あと5分。
いったいこんな時間に何をバタバタしているのだろうか。
あと3分。
そういえば考えたこともなかったな。
1分。
まあいい、今日確認すればいいことだ。
3時40分。
バタバタバタバタバタバタバタバタ……
俺は勢い良く外玄関の扉を開けた。
待ってろ。
今日こそ文句を言ってやるからな。
エレベーターの前に立ち、上階ボタンを押そうとした。
俺はあることに気付き、一人大爆笑した。
なんだよ、そんなことかよ。
俺は笑いすぎてい膝を付いていた。
しょうもなさ過ぎた。
ゆっくりと立ち上がり、エレベーターに向かって叫んだ。
「ココが最上階じゃん!」
俺はまた笑い転げた。
エレベータの前に倒れ、笑い続けた。
息ができなくなった。
いままでこんな可笑しなことがあっただろうか。
そういえば玄関の鍵閉めてなかった。
テレビもつけっぱなしだった。
遠くから俺の笑い声が聞こえる。
今年一番の熱帯夜の出来事だった。
(初出:FC2小説 H23.7.7)
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いかがでしょうか?
最上階だったで終わるのではなく、「遠くから俺の笑い声が聞こえる」があることで、ホラー感をUPさせていると思います。
感情的に笑いと恐怖は近いとか、どこかで読んだ記憶があります。
そんなことを、思い出しました。
なににゅさんは僕が紹介してきた中でも、かなり旺盛な創作意欲をお持ちでの方で、ショートショートを中心に多数の作品を執筆されています。
また、粗挽派にも興味をお持ちで、粗挽派の作品も散見されます。
ちなみに本作は純然たるショートショートですので、粗挽派を知らなくとも楽しめると思います。
それでは、お楽しみください!
【FC2小説・なににゅさんのページ】
http://novel.fc2.com/user/5355223/
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『上の住民』 なににゅ
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上の住人がうるさい。
毎朝バタバタと足音がする。
それも毎日決まった時間だ。
3時40分から4時までの20分間。
深夜帰りの俺の睡眠を邪魔される。
足音がするようになったのは3ヶ月前。
もう我慢できない。
時計は3時30分を指していた。
あと10分。
今日こそは文句を言ってやる。
あと5分。
いったいこんな時間に何をバタバタしているのだろうか。
あと3分。
そういえば考えたこともなかったな。
1分。
まあいい、今日確認すればいいことだ。
3時40分。
バタバタバタバタバタバタバタバタ……
俺は勢い良く外玄関の扉を開けた。
待ってろ。
今日こそ文句を言ってやるからな。
エレベーターの前に立ち、上階ボタンを押そうとした。
俺はあることに気付き、一人大爆笑した。
なんだよ、そんなことかよ。
俺は笑いすぎてい膝を付いていた。
しょうもなさ過ぎた。
ゆっくりと立ち上がり、エレベーターに向かって叫んだ。
「ココが最上階じゃん!」
俺はまた笑い転げた。
エレベータの前に倒れ、笑い続けた。
息ができなくなった。
いままでこんな可笑しなことがあっただろうか。
そういえば玄関の鍵閉めてなかった。
テレビもつけっぱなしだった。
遠くから俺の笑い声が聞こえる。
今年一番の熱帯夜の出来事だった。
(初出:FC2小説 H23.7.7)
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いかがでしょうか?
最上階だったで終わるのではなく、「遠くから俺の笑い声が聞こえる」があることで、ホラー感をUPさせていると思います。
感情的に笑いと恐怖は近いとか、どこかで読んだ記憶があります。
そんなことを、思い出しました。
粗挽派(あらびきは)というのですね、はじめて知りました。確かに、ネット時代に紙の印刷物に縛られた形態の小説というのは、再考の余地があると思いました。
ぎっしり詰まった活字は、パソコンで見るには確かに目に優しくないのですが、一行ごとに空行を入れる(ダブルスペース)というのも、果たして最善なのか、疑問が残りますね。むしろ、段落ごとに空行を1つ入れるので十分な気もします。
さて、作品の方ですが、楽しめました。なににゅさんは、やはりホラーを志向して書かれたのでしょうか? あるいは、奇妙な味? 読んでいて、想像力を刺激されました。でも、ラストは他にも色々と可能性があるなあ、と感じました。
わたしだったら、主人公に屋上まで上がらせて、それから自分が最上階に住んでいたことにいまさらのように気づき、そして帰り方がわからなくなって立ちすくんでしまい、ああどうしよう、バタバタバタバタ...というような感じに仕上げたと思います。あんまり怖くないかな?
また、おもしろい作品をお待ちしています!
by 川越敏司 (2011-07-12 14:48)
どもども、なににゅです。
>サイトー 様
自分の作品がFC2小説外に載せてあるなんて、こんな経験初めてで、なんだか照れちゃってますw
最後どうなったのかは読者様の想像におまかせしますが、自分の予想では主人公が熱中症で見た(聞いた)幻っぽいものなのか? なんて思っています。
『39.5℃』もある熱帯夜は熱中症対策をしっかり取ることをオススメします。
>川越敏司 様
そんなラストもアリですね!
むしろそんなラストの方が面白かったのかもしれないですね!
ジャンルは『ホラー』にしましたが、『恐怖』を求めたと言うよりは主人公の『狂気』を求めました。
そして『熱中症には気をつけてね!』ってことが伝わっていれば、なお良しです。
また良かったら他の作品を覗きにいらしてください
by なににゅ (2011-07-13 21:17)
>なににゅさん
この度は作品の紹介に承諾をいただきありがとうございます。
ぼくは主人公が肉体と精神が分裂したと解釈したのですが、おーっと、ちょっと違ったようですね(笑)
これからもよろしくお願いいたします。
>川越敏司さん
お忙しい中、いつもコメントありがとうございます。
ぼくもいろいろなひとの作品を読みながら、自分ならラストをこうするな……とか想像しています。
これが、意外といい訓練になるのですよね。
by サイトー (2011-07-13 22:16)