SSブログ

【書評】南原詠『特許破りの女王』 [書評]

第20回このミス大賞・受賞作で、弁理士が主人公という意欲作です。


特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 (宝島社文庫)

特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 (宝島社文庫)

  • 作者: 南原詠
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2023/02/07
  • メディア: Kindle版



弁理士とはなじみが薄いですが、特許の専門家です。
主人公は元々特許訴訟をチラつかせて大金をふんだくる仕事をしていましたが、いまは逆に特許侵害の訴えからクライアントを守る側にいるという設定です。
まず冒頭で軽い特許侵害トラブルが発生し、ほぼ解決させます。
ヒーロー物お約束の、冒頭の活躍でキャラ紹介という展開かと思います。
次の事件が本番で、人気Vtuberが使っている機材が、特許侵害のため使用差し止めの警告を受けるところから始まります。
徐々に警告者の目的が真の目的が判明し、特許権者と専用実施権者との関係性も見えてきます。
そして、意外な方法での解決へ、という流れです。
弁理士が主人公という設定が斬新だと思います。そこに専門的な知識がどんどんでてきて、経済小説のような味わいもあります。
サブストーリーがほとんどなく、本筋だけで突き進むという分かりやすさもあります。

個人的にはキャラの性格がいまひとつかなあ、という感じがします。
毒のあるキャリアウーマン系なのですが、元悪役の割には毒が薄く、設定が活かしきれていないような気がしました。
厳しいVtuber業界の争いも背景にあるのですが、その部分をサブストーリーとして独立させて欲しかったなあと思いました。
Vtuberたちの心情や生活を濃密に書き込んだ方が、ヒロイン役であるVtuberにもっと感情移入できたかも。

特許ネタで何作も書けるのかどうはか分かりませんが、新しい視点なので、次回作にも期待したいと思います。
少し変わった世界をのぞきたいひとのために!
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。