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【SS】齊藤想『自殺アート』

第37回小説でもどうぞに応募した作品その3です。
これはキャラ小説に近いです。
自殺という深刻な行為を、にこやかにアートだと言い張って実行する少女。この異色な少女がテーマなので、必然的に主人公となる相方は真面目なサラリーマンになります。
具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は11/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!

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 『自殺アート』 齊藤 想

 自殺アートの存在を知ったのは、自分が自殺アートに巻き込まれたその日だ。
 出勤のために車を運転していると、突如として空から若い女性が降ってきた。激しい衝撃音。へこむ天井。どこからか炊かれ続けるフラッシュ。
 車を脇に寄せて慌てて外に出ると、後頭部から血を流している女性が、にこやかに話しかけてきた。
「私の自殺、美しかった?」

 病院に向かう車の中で、彼女の話を聞けば聞くほど、狂っているとしか思えなかった。
 彼女は「自殺アートは最新のストリート系アート」と主張した。彼女的にはバンクシーと同じらしい。
 彼女は熱意をもって語り続ける。
 自殺アートといっても、本当に自殺するわけではないから、着地点は柔らかな国産車の上でなければならない。確実に着地するために、運転者は毎日決まった時間に通過し、速度が遅く、急ハンドル急ブレーキをかけない模範的ドライバーである必要がある。
 そうした厳しい選別の末に、選ばれたのが自分の車というわけだ。
 飛び込まれた側としては、いい迷惑だ。自殺アートだかなんだか知らないが、そんなに自殺したいのなら、誰にも迷惑をかけない崖から飛び降りればいいのに。
「いい年して分かっていないわね。芸術は見られるからこそ、芸術なのよ」
 つまり、自殺アートを動画配信して稼ごうというわけか。それならばなおのこと、自動車の修理費は払ってもらわなければ。
「裕福な紳士が、自殺した可哀そうな女性に賠償を求めてくるなんて」
 自分は安月給の安アパート暮らしだ。動画で稼ぐ人間がなにを言う。
「車両保険ぐらいついているでしょ」
 それはそうだが、保険を使うと来年から保険料が上がるのだが。
「あなたは自殺志願者の命を救った英雄なのよ。もっと胸を張りなさい。それでこそアートの完成なのよ」
 自分は被害者だ。それなのに、気が付いたら加害者から励まされている。
 彼女の出血は止まらず、助手席のシートに赤い染みを広げている。クリーニング代を思うとため息しかでない。
 自分の携帯が鳴った。会社の上司からだ。車を止めて、怪我人を病院に連れていく途中と説明したら、人身事故と勘違いされた。
 なにしろ、自殺アートに遭遇したなんて上司も想定外だろう。
 彼女が言葉に詰まった自分から携帯を奪うと、いきなり叫びだした。
「この方は私の命を救った恩人です。芸術に理解のある紳士です」
 自分は慌てて彼女から携帯を取り返した。電波越しの上司は明らかに困惑している。上司からは報告は後でよい、とりあえず彼女を病院に連れと命令された。
「良かったわね。これで会社での貴方の評価は爆上げよ」
 絶対に違う。頭のおかしい彼女を持ったやばい奴と思われた。だが、彼女はまるで初デートのようにウキウキしている。
 ようやく病院についた。これで自殺アートとも手を切れる。
 私が病院のスタッフに説明して、そのまま立ち去ろうとしたら、男性の看護師に呼び止められた。私が立ち止まると、彼は喜色満面に尋ねてきた。
「自殺アートの対象者に選ばれた感想を聞かせてください」
 私は驚いた。自殺アートはそんなに広がっているのか。
「自殺アートの対象者に選ばれるのは凄い幸運なんですよ。例えるとしたら、霊柩車を3回連続して目撃したぐらいでしょうか」
 よく分からない例えに困惑していると、彼はうらやむような視線を私に向けてくる。
「私も対象者になりたいものです。こんなに応募しているのに、一度も選ばれなくて」

 とにかく散々な一日だった。上司からは大切な打ち合わせに参加できなかったことをこっぴどく叱られ、さらには自動車の修理費もクリーニング代も自腹だ。
 ふと、私は自殺アートの彼女の顔を思い浮かべた。少々おかしな女性だが、顔はかわいいしスタイルは抜群だ。
 こんな出会いではなかったら、もしかしたらワンチャンあったかもしれない。つくづく、自殺アートでの出会いが悔やまれる。
 私は誓った。
 もう二度と「人助けアート」には応募しない。今度こそ「恋愛アート」に応募しよう。
 人気アートなので、当選確率は低いかもしれないが。

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最近の金融・投資【令和6年10月第4週】 [金融・投資]

〔先週の株式市場〕
久しぶりの5連続マイナス。プラスは1日もなし。
ということで10月にはいって少しずつ上がってきたプラスを全部吐き出した感じです。
政権与党である自民党の過半数割れが現実味を帯びて、政局不安定になることを嫌ったようです。
まあ、なんで自民党は石破議員を総裁に選んでしまったのか。
人気の中心は自民党内野党というポジショントークからくる反自民界隈からの人気なのに、そんなひとを選べば自民党支持者は離れるし、反自民党はもちろん投票するわけないし。
こういうセンスのなさは、たぶん風を読む能力の欠如。
これからどうなることやら。

〔淺沼組の株式分割の通知がきた話〕
いま株式分割が一種のブームみたいな感じなっている。
単位株が高額な銘柄は分割して市場参加をしやすくするようにと東証が促しているのだが、淺沼組は一気に5分割です。
一般投資家としては、ありがたい話ですね。ちょこちょこ買えるので。
まあ投資としては購入時よりかなり下がっていますが、放置すればそのうち上がるかなあと。
そんな放置系投資家ということで。
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